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チャイムが鳴り、朝の会が始まる。出席を摂ると、山根がいなかった。
「先生、ズバリ!! 山根くんがいないでしょう。 」
また胃腸なのかと杉山が思っていると、どうやら体調不良で欠席したしい。
「梅雨の時期は天気の変化により体調を崩しやすいです。皆さんも気を付けてくださいね。」
朝の会が終わり、授業までの数十分。教室の中は話し声で、少しずつ賑やかになっていった。
「山根みたいに、体の弱い奴は大変だな。」
俺らからしたら想像もできないことだぜ、という杉山の声に、大野もそうだよなと返す。内心複雑な気持ちになりつつ、授業の準備を始めた。
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学校での一日を終えると、それぞれが帰り始める。ランドセルに教科書を詰めながら、まる子が言った。
「たまちゃん。折角晴れてるし、今日公園寄ってかない?」
「いいねそれ。何して遊ぼうか。」
話がまとまると教室を出て、帰っていった二人に反し、大野は杉山の誘いを断っていた。
「悪い杉山、明日は用事あるんだ。」
それは、サッカーの誘いだった。
絶好の機会だが、 健康診断の結果からその日はきっと、病院に行くだろう。 親の仕事は休みで、日曜日ともなれば学校も休み。紙にも病院に行くよう、書いてあったことを大野は覚えている。きっとと思いつつ、それは確信に近いことをどこかで理解しながら、大野は言った。
「今日は半日だし、これからじゃ駄目か?」
二つ返事で了解を得ると、二人並んで教室から出て行った。
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外に出ると、前の大野達に続いて歩きながら藤木が言った。
「長沢くんは、明日は暇かい?」
「ふん、生憎僕は、 君と違ってちゃんと用事があるのさ。」
一緒にされたら困るよという長沢の反応に、ちょっとした問いかけのつもりが、藤木は焦る。
「そ、そんな〜……。酷いよ長沢くん。」
そこからは他愛のない会話が続き、分かれ道で別れを告げた。