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最近、よく見る夢。
パチパチと暗闇の中に爆ぜる小さな火花
昔、小さい頃に見た事があるようなその光景にどこか懐かしさを感じながらその火花が終わるまで見続ける。
でもその火花が終わりそうな所で夢から覚めてしまう。
「かんとくせぇ〜!」
授業が終わり、疲れたような声を出して監督生に抱き付いて項垂れる赤髪の少年エースの丸い頭を撫でる。
『ふふ、なぁに?エース』
愛しいものを見る目をする監督生に目を潤わせ上目遣いで監督生の目を見てエースは言う。
「授業の内容全然分かんねえ〜」
『あららぁ、それは大変だ』
『私でよかったら教えるよ』
「やりぃ!」
「ダメに決まってるだろ!」
「それに、寮長にも言われてるだろ」
「[監督生の力に頼らず自分の力で問題を解決おし]って!」
青い髪の少年デュースはそう言い放つ。
「監督生もだ!エースに時間を使わずに自分の時間に使えって」
『ふふふ、はぁい』
「子分!早く飯食いに行くんだゾ!」
「オレ様腹減って腹減って、胃がなくなりそう何だゾ〜」
そう言ったのは監督生と二人で一つの生徒として学園に通っている魔獣のグリム。
『あら、それは大変だ』
『じゃあ、食堂に行こっか』
監督生はいつもの様にグリムを腕の中に収めて席を立ち、食堂へ向かう。
食堂、ワイワイと話し声が聞こえる。
グリムはカツサンドとチョコパン
監督生はミニあんぱん。
「それだけで足りるのか?」
『うん、あんまり食べ過ぎるとこの後の授業で眠くなっちゃうからね』
「そうか」
パンと食べながら時々会話をする、先に食べ終わった監督生が席を立つ
『先に教室に戻ってるね』
「ああ、分かった」
教室には戻らず、学園の中庭
リンゴの木の元で眠っている銀髪の少年に近寄る。
少年周りには動物たちが心配そうに彼のそばに居る
監督生が近付くと動物たちは散り散りに移動するが近くで彼の様子を見守る。
『……ああ、やっぱり』
監督生が彼の頭に手を近付ける
額に汗をかき、少し息が荒くなった彼の頭に手を乗せる。
『ダメだよ、生きてる人を連れていっちゃ』
いつも通り、小さな火花の夢を見るはずだった
だが、今回の夢はいつもとは違った。
「ねぇお兄ちゃん!」
そう、この少女が夢に出て来た
『あっ、あぁ、なんだ…?』
「今度はりんご飴食べたい!」
少女の左手には先程取った金魚掬いの金魚が水と共に袋に入り泳いでいる
少女の右手は俺と繋いでいる。
『あぁ、分かった』
少女の服装は、確か東の国のキモノと呼ばれる服を着ている
髪も東の国のどうなっているのか分からないがカンザシと呼ばれもので纏ってある。
露店街の様に様々な店が並んでいる、その中のりんご飴と書かれてある店に行く。
「おじいさん!りんご飴二つ頂戴!」
「おぉ!二つだな、じゃあ400円だ!」
円、と呼ばれる硬貨は持っていないが先程金魚掬いでマドルが使えると分かったので400マドルを差し出す
「丁度だな!夏祭り楽しめよ!」
店主はそう言って二つのりんご飴を俺たちに渡した。
「美味しいね!」
かなり食べずらいが、美味い
『あぁ、そうだな美味い』
「次こっち!」
俺の手を取って少女が走り出す。
『いきなり走ると危ないぞ』
『ここは……』
先程の露店街の様な場所から少し離れた高台
人は誰もいない、静かだ。
「神社だよ!」
「あ!ほらほら!見て!」
『っ!』
見て、と言われたのは空だ
ひゅー、と言う音がしたと思えば大きな爆発音と共に空に花が咲いた
花は更に多くなり、空には満天の花が咲く。
『綺麗だ…』
ふと、感じた事”懐かしい”
俺はこの光景を、どこかで……
「終わっちゃったね」
少女のその言葉で、空に花がもう咲いていない事に気付いた。
『そう、だな』
もう少し見ていたかった。
少女の顔を見ると悲しそうに眉を顰めていた
と思えば何か思いついた様で顔はパッと明るくなり、話しかけてくる。
「お兄ちゃん!これやろ!」
少女の手に持っていたのは二つの紐
『これは…?』
「線香花火!」
「こっち!こっちでやろ!」
と言って少女と共にジンジャの真ん中でセンコウハナビをする事にした。
「ここにね、火を付けるんだ!」
「付けて!」
『あぁ』
マジカルペンを持ち、小さな火を付けてセンコウハナビの先に当てる
するとパチパチと先程の花とは別の小さな花が出来る。
『これは』
夢で見ていた光景と合致するが夢とは違う、少女と俺の二つの火花がある事だ。
「ねぇお兄ちゃん」
『なんだ?』
「綺麗だねえ」
『ふ…あぁ、そうだな』
先程の派手な花とは違う、儚くすぐに消えてしまいそうな花
だがそれでもこの花は存在している。
「ねぇ、お兄ちゃん」
『ん?』
「ずっとここに居て」
「そしたらさ、花火もずっと見れるしりんご飴も食べれるし金魚掬いも出来るよ」
『それは…魅力的な事だが、すまない』
『俺には学友や親父殿が現実にいるんだ』
『だから、夢には居られない』
『本当に申し訳ない』
「そっかぁ……お兄ちゃんも断るんだ」
ぽと、とセンコウハナビの光が落ちて消える
周りが暗闇に包まれる。
『ッッ!』
「1莠コ縺ッ縺輔∩縺励>繧医?√□縺九i荳?邱偵↓螻?※?」
少女が俺に抱き付き、意味不明な言語を話す。
『ぐぅッ』
パキ、パキと骨の折れる音がする
喉に熱い何かが昇っている。
『げほっ!』
血を吐いてしまった、コポコポと喉から血が出続ける。
ふと、頭に温かいものが触れた感覚がした
意識が遠くなる、体が温かいものに巻かれている感覚だ。
意識が遠のく前に聞こえた一つの声
___ダメだよ、生きてる人を連れていっちゃ___
『はっ!』
「あ、起きた」
「おはようございます」
『あ、あぁ…おはよう』
「じゃあ、私はこれで」
『っ!ま、待ってくれ!』
その声、さっき聞いた
「また今夜、夢の中で会いましょう」
そう言って、どこかへ向かう
『……』
キミが助けてくれたのか、と聞きたかったのだけれど聞けなかった。
今日の夜、夢の中で会えるのか…?どうやって?
夜、空は暗くなり大量の星がキラキラと輝いている。
『……ふふ』
腹を無防備に晒して眠っているグリムに布団を掛けて隣に寝転がる。
『おやすみ、グリム』
目を瞑り、意識を夢へと移す
夢の中
最近お気に入りの英国風の内装になっており、壁を埋め尽くす大量の本棚に入っている本達
その中の一つ、分厚い本を手に取りアンティークの椅子とテーブルに向かい椅子に座る。
向かい側には誰も座っていない椅子、パチパチと暖炉から火の爆ぜる音
一つのティーカップを出してティーポットを使い紅茶を入れる。
湯気が立ち、部屋に本特有の匂いに満ち、心地よい暖炉の音、窓から覗く青色の空。
数分ほど本を読みながら待っていると部屋の中央に銀色の髪をした少年が現れる。
「ん……ここ、は」
『いらっしゃい、私の夢へ』
「!キミは、昼間助けてくれた」
「ありがとう、君が助けてくれなかったら今頃俺は夢の中で死ぬ所だった」
『いえいえ、目の前で死ぬなんて気分が悪いので助けただけですよ』
『それより私に聞きたいことがあるでしょう?』
『そんなところで立っていないでどうぞ椅子に座って下さい』
「ありがとう、そうさせて貰う」
銀髪の少年は監督生の目の前の椅子に座る
監督生はもう一つのティーカップを出して、ティーポットで紅茶を入れる。
「ありがとう」
銀髪の少年は紅茶を一口飲むと首を傾げてもう一口飲む
『味がないでしょう?』
「あっ、あぁ」
『矢張り私が感じたことないものは夢では再現できないんですね』
「っ!味覚がないのか…?」
『えぇ、そうですよ』
『ですが食事とは目で見て楽しむ物と認識してますので』
「それは、素敵な考えだな」
『ありがとうございます』
『では本題に入りましょうか』
『まずは自己紹介から』
『私はオンボロ寮の監督生、よろしくお願いします』
「俺はディアソムニア寮のシルバーだ」
「早速ですまないが、なぜ監督生はあの時、あの夢の中どうやって俺の助けたんだ?」
『簡単ですよ、夢とは脳が作り出す幻想』
『怪異…あの少女があなたの脳に干渉してあの夢を見せていた』
『だからあなたの脳に干渉した部分を元の状態に戻した、ただそれだけですよ』
「凄いな……」
『ありがとうございます』
「あぁ……これは、聞いてもいいのか分からないが」
「お前は一体、何者なんだ…?」
『……ふふ、私はただの物好きな人間ですよ』
「…そう、か」
「……俺は、お前がどんな人間かはまだ理解出来ていない」
「だが、いい人という事は分かる」
「助けてくれて本当にありがとう」
『ふふ…はい、ありがとうございます』
『では、良い夢を』
シルバーを元の場所に戻す、目の前からは消え残ったのは少し減った湯気の立っている紅茶のみ。
『ふふ……いい人、か』
『ふ…あはは!』
『シルバー…うん、シルバー先輩』
『あなたはとても良い人ですね、優しい人です、懐かしい人です、ふふ』
口元を押さえて笑う、「いい人」という言葉を噛み締める
目尻を綻ばせ、目を細める
まるで懐かしい人に出会ったかの様に、嬉しそうに笑う。
手に持った本を元の場所に戻して、他の本を取る
本のタイトルをなぞる「日記」と書かれた本は他の本より薄く、よくコンビニに置いてある普通のノート、それはこの部屋には似つかわしくない物だ。
『……』
懐かしい物を見る目で日記のページを捲る
その速度は遅く、文字の一文字一文字を噛み締めて読む。
『…』
読むのを途中でやめ、本棚に入れる
『起きましょうか』
今起きてもきっと夜だ、だが監督生は意識を夢から切り離す。