テラーノベル
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一次会の賑やかな居酒屋を抜け出し、二人がたどり着いたのは、路地裏の地下にひっそりと佇む隠れ家バーだった。
カウンター越しに灯るかすかな琥珀色の照明が、グラスの中に浮かぶ丸氷を静かに照らしている。
誰も立ち入れない、二人だけの落ち着いた時間。
マスターが二人の前に、美しい層を描いた特別なカクテルのグラスを静かに置いた。
kwmr「これ、マスターに頼んでおいたんだ。福良の誕生日のための、特別なカクテル」
fkr「わぁ、綺麗……! ありがとう、河村。すごく嬉しい」
ふにゃりと和やかに微笑む福良の横顔を、河村はどこか愛おしそうに見つめる。
世間的には『QuizKnockのプロデューサーと初期メンバー』であり『同い年の腐れ縁』。
けれど、この薄暗いバーのカウンターで肩を並べている今の二人は、誰にも教えていない秘密の関係——互いを唯一無二と認める恋人同士だった。
言葉に出さずとも、相手が何を考えているのか、次に何を求めているのかが手に取るように分かる。長年積み重ねてきた信頼と愛着が、二人の間に心地よい静けさを作っていた。
kwmr「……改めて、誕生日おめでとう、福良」
fkr「ありがとう、河村。今年も一番近くで祝ってくれて嬉しいよ」
グラスを静かに合わせ、カチンと小さな音を鳴らす。
カクテルの芳醇な香りを口に含んだあと、河村はポケットから小さなリボンのついた小箱を取り出し、福良の手元へ滑らせた。
fkr「えっ、プレゼントまで? みんなの前でももらったのに……」
kwmr「あっちはみんなから。こっちは、俺から。……あとで一人になった時に開けて」
悪戯っぽく微笑む河村に、福良の胸がキュッと温かくなる。
そのままウイスキーのグラスに手を伸ばした河村は、ふと、遠くを見るような目をして氷をカラリと鳴らした。
kwmr「……時々さ、思うんだよね」
fkr「ん? 何を?」
kwmr「もしあの時、QuizKnockが始まってなかったら。……もっと言うなら、俺が福良と出会ってなかったら、俺は今頃どうなってたんだろうなって」
いつもの捉えどころのない笑みとは違う、どこか浮世離れした静かな声。
河村という人間が持つ、放っておけばどこか遠くへ消えてしまいそうな危うさを、福良は誰よりも理解していた。
QuizKnockという場所があり、そこに福良がいたからこそ、河村は社会と繋がり、ここに存在している。
kwmr「たぶん……この世にいなかったんじゃないかな。」
自分の存在理由そのものを福良に預けるような、重く、けれどあまりにも純粋な愛の告白。
普通なら返す言葉に窮するような言葉を、福良は驚きもせず、ただ温かい眼差しで受け止めた。
fkr「……そうだね。河村はどこかに行っちゃってたかもしれない」
福良は優しく微笑むと、カウンターの下で、そっと河村の手に自分の手を重ねた。
指を絡め合わせるわけでもなく、ただ温もりを分け合うように、静かに包み込む。
fkr「でも、現実にQuizKnockはあるし、僕らはこうして一緒にプロデューサーをやっていて、隣にいる。……僕が、河村をここに繋ぎ止める理由になれているなら、プロデューサーとしても、恋人としても、これ以上の幸せはないよ」
言葉の裏にある深い信頼。
二人にしか分からない絆の強さに、河村の目元が和らいだ。
kwmr「……本当に、勝てないな、君には」
河村は重ねられた福良の手をキュッと握り返すと、引き寄せるようにして、誰にも見えないカウンターの陰で、福良の指先へと静かに唇を落とした。
kwmr「俺をここに引き留めてくれたお礼に、この先の一生も、全部君にあげるよ。誕生日、おめでとう」
fkr「ふふ、最高の誕生日プレゼントだね。……じゃあ、責任を持って、ずっと僕の隣にいてもらうよ」
大人の落ち着いた空気感の中、特別なお酒とプレゼント、そしてお互いへの深く重い愛を静かに確かめ合うように、二人は再びグラスを傾けた。
(おわり)
福良さん誕生日おめでとうございます🎊
雨音♪
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#ご本人には関係❌
タブラ・ラサ
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ごま油ぬりぬりんちゅ
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コメント
1件
第76話、読ませていただきました。隠れ家バーの琥珀の灯りと、カクテルのグラスが織りなす大人の空気感がとても素敵でした。特に河村さんが「この世にいなかったかも」と自分の存在理由を福良さんに預けるような告白をした場面、胸が締め付けられました。それを驚かずに「僕が繋ぎ止める理由になれているなら」と静かに受け止める福良さんの優しさに、お二人の積み重ねてきた圧倒的な信頼が滲んでいて……。カウンターの下での手の重ね方、指先へのキス、全てが無駄のない大人の恋愛で、読後感がとても温かかったです。素敵な作品をありがとうございます🌷