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夢主の設定
名前:シンディ・ブレンダ
容姿:赤毛の緩やかなカーリーヘア/青い瞳
第104期のみんなと同期
エレン、ミカサ、アルミンと幼馴染み
リヴァイ班もいます。
平和な日常が書きたかったのです。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
メイクアップ!
『ねぇ〜!アルミンお願い! 』
「いやだ!いくらシンディの頼みでもそれは無理だよ!」
ある日の調査兵団宿舎。
昼食を終えて誰もいなくなった食堂で両手を合わせて懇願するシンディと、それを拒むアルミン。
「どうしたの?」
「何騒いでんだよ」
幼馴染みのエレンとミカサが顔を覗かせる。
「聞いてよ2人とも!シンディが僕に化粧させてくれって言うんだよ!」
「「化粧?」」
見事に声が重なるエレンとミカサ。
『昨日お給料が入ったでしょ?今までのお給料で少しずつお化粧品を買い揃えてきたの。で、一式手に入れたからアルミンにお化粧させてほしくて頼んでるんだけど』
困ったように事情を説明するシンディ。
「自分の顔ですればいいじゃないか!なんで僕なの!?」
最もだ。
『私の顔にしたって面白くないじゃないの!アルミン可愛い顔してるから絶対映えると思うのよ。』
「いやいや僕男だよ!?そんな趣味ないよ!」
「いいじゃねえか、ちょっと化粧してもらえよ」
「え!!??」
同じ男として自分の味方をしてくれると信じていたエレンの言葉に、仰天するアルミン。
藁にも縋る思いでミカサを見ると、
「私も、アルミンが化粧されてるとこ見たい」
まさかの彼女もシンディ派だった。
「ぜってえ可愛いって」
「私もそう思う」
『でしょ?…ほらアルミン観念して』
「う…。そんな……」
追い詰められたアルミン。
「…っ。そうだ。僕に化粧をするなら、シンディもしてよ。自分で自分の顔にしてもらうのがつまらないなら、エレンでもミカサでも他の人にでもいいから化粧してもらってさ」
『え〜』
不満そうなシンディ。
『こんな赤毛のブサイクにお化粧しても変わらないよ〜』
「「「ブサイクじゃない!!」」」
今回は3人の声が重なる。
「シンディ。自分でそんなこと言うのはよくない。その赤毛もお人形みたいで可愛いし、目だって綺麗」
『…う……』
ミカサに真顔で言われて口ごもるシンディ。
「そうだぞ。お前鈍いから知らないと思うけど、同期にも先輩方にもお前のこと可愛いって狙ってる奴いっぱいいるんだからな」
エレンまで。
急に私の褒め大会始めないでよ。
「それにシンディのこと好きなのはアル──」
「わーーー!!」
ミカサが何かを言いかけ慌ててそれを遮るアルミン。
「てめぇら何騒いでやがる」
「何なに〜?楽しそう!」
リヴァイ兵長とハンジ分隊長もやってきた。
「あっ、兵長!ハンジさん!聞いてくださいよ!シンディが僕に化粧させてくれって言うんですよ!エレンとミカサまでそれを見たいって」
「え、化粧?」
助けを求めるようにリヴァイとハンジに訴えるアルミン。
ハンジは「見ていい?」とシンディに断りを入れて彼女の化粧道具を袋から取り出して眺める。
リヴァイも物珍しそうに見ている。
「わ〜いいじゃない。これちゃんと質のいい化粧品だよ。安物じゃないから肌荒れとか心配しなくていいよアルミン」
「いや、僕は肌荒れを気にしてるわけじゃないんですよ」
そもそも男の自分が化粧されるのに抵抗があるのだから。
『僕に化粧するなら、私も他の人にされればいいって言うんです。私は可愛いアルミンがさらに可愛くなるとこを見たいだけなのに』
シンディが口を尖らせて上官2人に訴える。
すると今まで黙っていたリヴァイが口を開く。
「…まあ、何だ。同じ男としてアルミンの立場で言うなら、趣味でもねえ化粧を自分の顔にされるのはいい気分じゃねえな。」
『あ……』
そっか、というようにシンディが申し訳無さそうな表情になる。
「ただ、こっからは個人的な意見だが、俺も化粧されてるの見てみてえ」
「「「「『え!?』」」」」
リヴァイの意外な言葉に彼以外の全員が揃って驚きの声をあげる。
「そうだね、私も見たい!アルミン、もう観念して化粧してもらいなよ。嫌なら、うーんそうだな…。シンディにも他の人から顔のパーツごとに1人ずつ化粧してもらうのはどう?」
ハンジの提案に、
「それ面白そうですね!」
「いいと思います」
「クソメガネにしては面白い考えじゃねえか」
と賛成するエレン、ミカサ、リヴァイ。
『え…あの……』
「よし、そうと決まったら早速始めよう!エレンとミカサは同期の女の子集めて来て。先輩でもいいから。シンディに化粧してもっと可愛くするんだ。男も来ていいけど、下手な化粧を施して彼女を愉快な顔にされるといけないから男は見てるだけね」
「「了解」」
ああ…。とんでもないことになってしまった…。
自分が抵抗しているうちにどんどん事が大きくなって、アルミンはがっくりと肩を落とす。
隣のシンディを見ると、自分の希望が叶って嬉しい反面、自分も複数の人間から化粧をされるのが複雑、というような顔をしていた。
『アルミンごめんね、なんか大事になっちゃって。』
「ほんとだよ。これからたくさんの人たちに化粧された自分の顔を見られるくらいなら、大人しくシンディにされてればよかった」
普段優しいアルミンが珍しく悪態をつく。
ほんとね、とシンディも困り眉で笑う。
しばらくして。
エレンとミカサの声掛けに集まった、化粧要員のヒストリア、ユミル、サシャ、ナナバ、ペトラ。
野次馬として見物に来た、ライナー、ベルトルト、コニー、ジャン、グンタ、エルド、オルオ。
忙しい筈のエルヴィン団長まで、書類が一段落ついたからと見に来た。
アルミンとシンディはギャラリーに背を向けた形で椅子に座っている。
「さあ、始めよう!第1回メイクアップ大会〜!」
ハンジが高らかに声をあげる。
まずはシンディが立ち上がり、1人でアルミンに念願の化粧を始める。
アルミンの長い前髪をクリップで留め、スキンケアから始めるシンディ。
それを済ませ手際よく化粧をしていく。
『絶対可愛くするから、心配しないでねアルミン』
「いや……僕は…」
どうしよう。うるさいくらいに心臓がバクバクいってる。シンディに聞こえませんように……。
『目、閉じて』
瞼に何かをつけられて、いいよと言われアルミンがそっと目を開けると、そこには想い人の真剣な顔。
「…っ!」
あまりの距離の近さに、さらに鼓動が速くなる。
当のシンディは。
あれ?アルミンったらチークしなくていいくらいほっぺの血色いいなあ。羨ましい。
と思っていた。
『よし、できました!』
「アルミンお疲れ!完成形は2人同時にみんなにお披露目ね!…じゃ、次はシンディの番だ。女性陣よろしく頼むよ!あ、アルミンはまだシンディのほうも見ちゃだめだからね」
ついにか〜、とシンディが笑いながら皆に背を向けて椅子に腰掛ける。
まずはペトラがシンディにスキンケアをする。
そしてその後にファンデーション。
次にハンジが眉を描く。これは誰もが不安を覚えた工程だ。(←失礼)
アイシャドウをミカサが、アイラインをナナバが、マスカラをユミルが、リップをヒストリアが、チークをサシャが(これもちょっと心配した)、それぞれ担当する。
シンディ本人も、完成するまで自分の顔がどうなっているか分からない。
男たちもわくわくしながら2人がこちらを向くのを待っている。
……!
私たち、こんな可愛い生き物を生み出したの!?
元々お人形さんみたいに可愛い顔してるけど…!
これは化粧映えどころじゃないんじゃ……。
完成したシンディの顔を見て、思わず息をのむ女性陣。
「できました!」
ペトラの声に胸を高鳴らせる見物人たち。
「よし!じゃあまずはアルミン、こっちを向いて」
アルミンが渋々こちらに向き直り、見物人たちにどよめきが起きる。
「おぉ〜!!」
「可愛いじゃねえかアルミン!」
「惚れるかと思ったぜ」
「これで女じゃないのが惜しいな〜」
口々に感想を述べる男たち。
そしてそれを恨めしそうに見るアルミン。
男たちが大喜びするのも無理はない。
シンディによって化粧を施されたアルミンは、本当に可憐な乙女のような容姿に変身していた。
持って生まれた光り輝く金色の髪。
ブルーグレーの瞳を縁取る、 くるんとカールさせられた長い睫毛。
細かいラメを含んだ淡いピンク色のアイシャドウ。
優しげな目元には、少々垂れ目気味にアイラインが引かれ、余計に可愛らしい雰囲気を醸し出している。
きゅっと結ばれた唇を染める、ローズピンクのリップ。
瞼と唇の色に合わせて頬に塗られたチークは、自然な血色感を演出していた。
「ひゃはははは!!アルミン超絶美人じゃないか!もう最っ高!!」
笑い転げるハンジ。
「いやほんとに可愛いぞ、アルミン!」
「美少女コンテストに出られそうよね!」
「それだったら満場一致で優勝ですよ!」
「シンディいい仕事したな〜!」
「めっちゃくちゃ可愛いぞ!」
「悪くねえな」
「ここまで化けさせるとは感心したものだな」
口々に褒めるギャラリー。
リヴァイやエルヴィンまで。
アルミンは恥ずかしさでプルプルと身体を震わせている。
『そうでしょ?可愛いですよね!』
皆に背を向けたまま嬉しそうに声を弾ませるシンディ。
「さ!次はシンディの番だよ。こっち向いて!」
『はぁ~い。…笑わないでくださいね』
そう言ってシンディがこちらに向き直る。
……!!!
その場にいた全員が息をのむ。
その姿を初めて見た男性陣はもちろん、一度完成形を見ている女性陣まで。
アルミンもチークを塗っていないところまで真っ赤にさせてシンディを見つめている。
『…あの。やっぱり皆で言葉を失うほど変ですか?』
「「「いやいやいや!!」」」
困り眉でたずねるシンディを、全員で否定する。
女性陣1人ひとりからそれぞれ化粧をしてもらったシンディ。
ゴールドの微細なラメのアイシャドウは、ふわふわの赤いカーリーヘアと対象的な、明るい青い瞳を星のように輝かせている。
アイラインはアルミンとは反対に、目尻を跳ね上げ妖艶な雰囲気を作り出している。
唇は艶めくコーラルピンクのリップで縁取られ、頬も唇と同じ色に染められていた。
大人っぽいような、あどけなさを残したような、絶妙な仕上がり。
男性陣だけでなく女性陣でさえ頬を赤らめる。
「シンディもめちゃくちゃ綺麗じゃねえか!」
「一瞬息するのを忘れたぞ!」
「でしょでしょ!彼女は私たちの手によって生み出された美の女神よ!!」
「元々可愛いけどこの破壊力はやべえな!」
大盛り上がりだ。
『えへへ…。ありがとうございます』
照れたように笑うシンディと、その笑顔に心臓を射抜かれる仲間たち。
「いいねいいね!じゃあ、今日のところはこれで終わるとしようか。次するとしたらヘアセットも服装も込みでやろうよ!」
「面白そう!また誘ってくださいね!」
「次は俺も化粧してもらいてえな」
「お前は化粧したって女に見えないからやめとけ」
ハンジの提案に、またも大喜びのメンバー。
皆、口々に感想を述べながら解散し部屋へと戻っていく。
食堂に残ったアルミンとシンディ。
アルミンは早々に化粧を落とし、いつもの顔に戻った。
「はあぁ……」
盛大なため息をつくアルミン。
一方、シンディは
『疲れちゃったけど、楽しかったね。アルミンほんとに可愛かった〜。』
と呑気に笑っている。
「僕は楽しくなんかなかったよ!ただただ恥をかいた時間だったさ!」
『う…ごめんねアルミン……。もうしないから』
声を荒げたアルミンに、シンディはしゅんとしてしまった。
それを見て慌てる。
「あっ…いや。ごめん、僕は恥ずかしかったけど、……まあ、嫌なことばかりじゃなかったよ」
『え?』
アルミンはそっと、シンディの頬に手を添えた。
真っ直ぐに、ゴールドのラメが煌めく青い瞳を見つめる。
「シンディ。ものすごく綺麗だ……」
『…っ。アルミン…?』
突然、男の顔をしたアルミンに驚くシンディ。
「僕のこと可愛い可愛いって言うけど、僕だって男だ。キスできちゃうような至近距離で見つめられたり、そんな綺麗な姿見せられたら堪らないよ」
ゆっくりと近づいてくる幼馴染みの顔に、今度はシンディが慌てる。
「ハンジさんもみんなも、次のこと話して盛り上がってたけど、僕はシンディのこんな綺麗な姿、自分以外の人にもう見せたくない」
『あっ…アルミン…ちょっと……っ…!』
ぎゅっと目を閉じるシンディの額に、アルミンがそっとキスをする。
「少しは僕のこと、男として意識してくれた?」
アルミンの問いかけに、耳まで真っ赤にして押し黙るシンディ。
「可愛い。もうこの際だから言ってしまうよ。…シンディ、僕はずっと、君のことが好きだった」
突然の告白にシンディは目を見開く。
それを見て、先程までの気分の悪さがどこかへ吹っ飛んでいってしまったアルミンは、いつもの優しい笑みを浮かべて彼女の頭をぽんぽん、と撫でた。
「返事は急がなくていいからね。あとこれからも今までと変わらずよろしく」
まだ顔を真っ赤にしてあわあわしているシンディの手を引き、僕たちも部屋に戻ろう、と声を掛ける。
可愛い可愛い幼馴染みは、いつの間にか身長も伸びて、立派な青年になっていた。
そして、今日突然、男として意識させられることになった。
こんなのずるい……。
それからシンディがミカサやヒストリアたち同期の女子組に恋愛相談を持ちかけるようになるまで、そう時間は掛からなかった。
end