微ifルートです。
「お !お前その尻尾いいな!」
「えっ?」
急に知らない男が話しかけてきた。
ある日の夜、たまたま見つけたバーのカウンター席で飲んでたら、隣に座った精神年齢の低そうな男が興味津々にこちらを見ていた。
「あ。突然ごめんな。俺エリス・ポラリスって言うんだ。エリスって呼べ。」
「ああ、え、エリスくん?よろしく…俺はソル。」
お互い指無し手袋を装着した手で握手を交わした。
エリスくんはバーテンダーにウィスキーを注文してからこっちに向き直った。
「ソル、この尻尾なんだ?すげえイカしてる!よく見たら角も生えてる!」
「えっと、俺ドラゴンなんだ。だから尻尾とか特殊な耳とか角とか生えてる。」
子供みたいにわいわいはしゃぎながら、触っても良い?と彼は頼み込む。許可すると下の方から持ち上げて表面を指でなぞる。
「鱗ついてんだなー」
「まあね。」
「翼はあるのか?」
「秘密。」
「俺はあるぞ!名残なら!」
「名残?」
「学生の時に無くしちまったんだ!」
「そうなんだ…」
かっこいい面白いと言いながらエリスくんは俺の尻尾をいじり倒す。
いつの間にかエリスくんが注文したウィスキーは彼の前に用意されていた。
「乾杯しない?」
そう誘うとパッとまた顔を明るくしてウィスキーが注がれたグラスを差し出してきた。
「かんぱーい!」
「乾杯ー」
ガラス同士がぶつかる音が小さく鳴った。
自身のグラスに注がれたハイボールをあおる。エリスくんも嬉しそうにウィスキーを一気飲みした。
「好きな食べ物何?俺はねーコロッケ!」
「ピザ。」
「ピザ良いよな!ビルダーブラザーズピザ?」
「そうそう。あそこ美味しいよね。」
「あーわかる!めっちゃわかる!あそこのな!ちーずぴざがうまくてなー!ほーむぱーてーのときにちゅーもんしてみんなでくうんだーーーー!」
話しながら、数分もしないうちに彼はべろべろになってしまった。
「…大丈夫?」
「らいじょおぶーーー!そんなことよりめあどくれよーーともだちになろーぜ!!」
「ああ、わかった。」
メールアドレスを交換して、彼のために水を頼もうと思ったら、
「あちらのお客様からです。」
と、端の方の席から水が注がれたグラスがスライドしてきた。そちらの方を見てみると、淡いピンク色の大きなリボンとパステルカラーのヘッドホンを身につけている人が怖い顔で俺たちを見ていた。いや、多分エリスくんを見ている。
「んーー?あ、え、うわれぐ!おまえきょうはきづかれないとおもったのにー!」
レグと呼ばれた彼は席を立つと俺たちの方に近づいてきて、エリスくんの財布からウィスキー代を取り出してカウンターに置き、
「すみませんこいつ僕が引き取りますんで…迷惑かけてすみません…」
と、丁寧な態度で挨拶をすると、エリスくんを引きずってバーから出ていった。
嵐のような出来事だった。
しかしまあ
新しい友達ができたことは良かった。
Soruさん:でぃーがすさん宅の子
レグさん:のどあめでもなめてろよ‼️さん宅の子
なんか性格違う!とかあったらすみません…