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私は、亜優と千愛ちゃんを登校班の集合場所へ送ってから家へ戻ると、長Tから七分袖のオーバーブラウスに着替えた。
そして、その長Tを洗濯乾燥機に入れると電源を入れてから、一駅離れた場所にある喫茶店へ向かう。
亜優は千愛ちゃんのことが大好きで、千愛ちゃんも亜優のことを面倒がらずによくお話してくれる。
昨日は放課後、一緒に公園へ行って二人とも楽しかったようで、私も安心だ。
いいお隣さんでよかった。
そう思いながら、家を出て珈琲大陸へと向かう。
珈琲大陸で、私は夫の言いつけ通り、カウンター内で働いている。
言いつけを守っているのはマスターなのかもしれないけれど。
カウンター内で、サンドイッチなどの軽食の下ごしらえはほとんど任せてもらっている。
マスターこだわりのコーヒー関連だけは、一切触らない。
「直美さん、テーブル移動、手伝ってもらえる?」
「はい、行きます」
まだ営業時間前。
アキさんが、店内から私に声を掛けた。
今日はここ、珈琲大陸でイベントが行われる日。
それは、既婚者合コン、というもの。
そのために、少しテーブルを動かすのだ。
カウンターの外に出るのはこの時だけ。
お客様のいない時だから問題ない。
それよりも……
「あの溺愛夫クンに、何も言われてない?」
一緒にテーブルを動かすアキさんの声に、私は一瞬固まった。
「……何も……」
「だよね。既婚者合コンって、うちにすればただの集客イベントだけど、接客させたくない夫クンからすれば、いかがわしいってなりそうだもの。近所の方も来られるくらい、うちはオープンにやっているけど」
既婚者合コンという半年前から始まったイベントを、夫が知らないこと。
これは、知られたくないこと。
だって、知ったらアルバイトをさせてもらえなくなるのが目に見えている。
幸いなことに、夫は良く知ったマスターの店のことを改めて調べることなどせずに、私の仕事を決めたようで、今もまだ知らない。
私は……自分からは絶対に言わない。
既婚者合コンの時間の方がカウンターに座る人もおらず、接客ゼロ状態。
何も問題はない。
何より、アルバイトという外出まで出来なくなると息が詰まる。