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(俺は……ただの教育係だ)
律は胸の奥でそう繰り返した。
桜坂財閥の令嬢と、貧乏大学生あがりの自分。
背負ってきたものも、立っている場所もまるで違う。
(この距離を勘違いしちゃいけない……)
そう自分に言い聞かせるのに、視線はどうしても華の寝顔から離れなかった。
長いまつげが影を落とし、規則正しい呼吸が胸を上下させている。
「……ほんと、無防備だな」
小さく呟いた声は、静かな部屋に吸い込まれていった。
胸の奥のざわめきは、どうしても抑えきれなかった。