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もふくんとの幸せ旅行計画の打ち合わせが良い雰囲気で終わって、俺はとっても上機嫌だった。鼻歌なんか歌っちゃいながら自室に戻る途中、ふと目線を感じてリビングを見ると、えとさんが頬杖を付いてじっとこちらを見ていた。
「…えとさ、」
「よぉどぬちゃんツラ貸せや」
「…ハイ…」
えとさんも旅行に参加したいって言った時、俺はどう考えても歓迎している態度じゃなかった。えとさんに嫌な奴だって思われた?怒ってる?彼女の表情はいつもと変わらないけど、ここに呼ばれた理由がさっきの態度以外に思いつかなかった。えとさんはポンポンとソファを叩いて、座りなよと言ってきた。
「えとさん、さっきは」
「さっきはごめんね?」
「えっ?」
「あたし、折角のもふくんとの旅行邪魔しそうだったじゃん?」
「えっ⁉︎⁉︎⁉︎」
ーーー折角のもふくんとの旅行ーーー
驚いて声が出ない俺に、えとさんは悪戯っぽく笑って言った。
「どぬちゃんのその大きな耳!もふくんがあたしを誘ったあたりからどんどん垂れ下がってきてたよ!」
「ええっ!!」
耳で全部俺の気持ちがバレてたってこと⁈と思わず叫んだ俺に、えとさんが堪えきれなかったように吹き出した。顔が熱い。俺めちゃくちゃみっともない。えとさんに全部バレちゃってたなんて。
「大丈夫、もふくんはこっち見てたから気付いてないよ!…好きなの?もふくんのこと」
「うぁ………うん………」
「やっぱりー!応援する!!!」
「えっ…俺ももふくんも男でしょ、えとさん気持ち悪くないの?」
力強く宣言するえとさんにびっくりして思わず言葉がこぼれてしまった。でもえとさんは一瞬きょとんとした後、カラッと笑って言ってくれた。
「言ったでしょ、あたしもふどぬ好きなんだよね!」
「えとさん…」
あたしあんま恋愛経験無いから頼りにはならないかもだけど、愚痴とか惚気とか全然付き合えるからさーと偏見ゼロで言ってくれる彼女はもしかしたら女神かもしれない。後光が差して見える、気がする。
「ありがとえとさん…色んな味の八ツ橋買ってくるね」
「いらねぇいらねぇ、八ツ橋から離れろー?」