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プリキュアになれるようになったゆらはポーロスにも秘密で、数週間かけてプリキュアの身体の魔改造を行った。
原子一つ一つに、脳と同様の機能と肉体を修復させる機能をつけた。
そのため、全身が粉々になったとしてもキュアジェネシスを構成する原子が一つでも残っていれば、通常の思考ができて肉体もすぐに修復されるのだ。
相変わらず人影のない化政公園へゆらは足を踏み入れる。
ゆらの右手には、小動物の捕獲用ケージを持っていた。
「あ、キュアジェネシスだポー。今日はどうしたポー?」
妖精は低空飛行が可能らしく、錆びたブランコの梁にポーロスが飛んで乗っていた。
低木の中だけでは退屈というポーロスの要望に応え、ポーロスは公園内ならどこにいても構わないことを先週にゆらは許可したのだ。
(公園に来た人にバレないのか……?あたしとしては、他の人もポーロスを発見してくれると有難いけど。)
「ポーロスが惑星フェアリから地球に行ったときに、忠相区のどこに転送されたんだい?」
「竹っていう植物がたくさんある場所だったポーね。妖精のほとんどが、その場所にテレポートされると聞いたことがあるポーよ。」
(やはり大岡竹林か。)
「一時的に公園から出ていいから、そこに案内してほしい。」
「確か、こっちだったはずポーね……そういえば、キュアジェネシスが持ってる檻みたいなのは何ポーか?」
ポーロスは地面から1m程の高さでゆっくりと飛んでいく。
「小動物を傷つけずに保護できる、踏み板式捕獲器だよ。」
ゆらは公園の柵を乗り越えて、ポーロスの三歩後ろぐらいをついていく。
大岡竹林の中へ入り、結構奥の方でポーロスは浮いたまま止まって周囲を見渡した。
「そうそう、初めての地球の景色はここだったポー。」
ゆらはポーロスの真下の地面に、捕獲ケージを設置した。
「ここに転送された妖精が、捕獲器にかかってくれるかもしれない。可能性は低いけどね。」
「これなら、妖精は怪我なく捕まるポーね。」
「極小のカメラも付けておいたから、捕獲器にかからなかったとしても転送された妖精の姿は見れるよ。」
今日の目的を果たしたゆらは、ポーロスを公園にまで送ってから帰宅した。
(エテルノラジオが手元になくて変身できない状況になるのが、致命的だな……)
キュアジェネシスを構成する原子が肉体を修復させる機能を持つように、エテルノラジオを形作る原子も、壊れたら自動で元の状態に戻るような働きをつくった。
家の自動車にある発煙筒から火薬を持ち出してエテルノラジオに入れ、プリキュアの力で脳と連動させる。
ゆらが任意のタイミングで命令すると、エテルノラジオを自爆させることが可能になった。
自爆したエテルノラジオは、ゆらの半径30cm以内に原子が集まって修復されるよう設定。
以上の性能を完成させるまでに、三日を要した。
____________後日
捕獲器に取り付けた極小カメラの録画内容をパソコンで確認する。
昨日の五時頃に急に真っ暗になって、そこからは録画されていなかった。
なるべく空気を抜けさせた小瓶と余った火薬とエテルノラジオの入った鞄を持って、大岡竹林へ足を運ぶ。
ポーロスも一緒に連れていくことも考えたが、もし公園から脱走するようなことがある際に周辺の道を把握されると面倒だから誘わなかった。
地面には獣の足跡等のような痕跡はない。
捕獲器は破壊されていた。
「『苦しみと悩みは、偉大な自覚と深い心情の持ち主にとって、常に必然的なものである。』っていうけれど……何日もかけてエテルノラジオを改造して疲れた先に、捕獲器が壊されて逃げられるのはしんどすぎるな……かなり金も使ったし。」
(壊れ方からして、捕獲器の内側からの破壊だろうな……もしそうなら、妖精はこの罠にかかったのか?いや、踏み板が作動した形跡はない。となると、惑星フェアリから地球への転送先が丁度捕獲器の中だった可能性も考えられる。どちらにしろ、妖精が捕獲器を壊したことに変わりないだろう。人間だとあんな壊し方は難しいし、捕獲器をこうやって壊せそうな動物は大岡竹林にいない。)
「さて、次はもっと質の良い罠にするか。」
ゆらはエテルノラジオのスイッチを押す。
「プリキュア!デイ·フェアヴァンドルング!」
視界は一時的にピンクの空間になり、イメージしなくとも自動的に肉体が変化する。
「凌駕する桜桃の大審問官!キュアジェネシス!」
ゆら改めキュアジェネシスは、プリキュアの力を使って固体の金属のようなものを生成する。
その金属を、クリップのような形状なバネ式の罠_____トラバサミに変形させた。
捕獲器があった位置にトラバサミを設置し、なるべく目立たないように三分の一を土に埋め込む。
トラバサミに反応があったら、即座に対象の妖精を檻で閉ざすようにした。
その檻も、キュアジェネシスのダイヤモンド並みに頑丈な肉体と同程度の硬さを持っている。
変身を解除して竹林から出たゆらは、化政公園へ足を運んだ。
「ポーロス、ここから惑星フェアリへあたしも転送できる?」
「人間はプリキュアであろうと、テレポートはできないポー。でも、ここだったらポーロスは惑星フェアリへ帰れるポーね。」
「惑星フェアリに瞬間移動して、この小瓶の蓋を開けてくれる?そしたら、蓋を閉めてから地球に戻ってほしい。」
手の平に収まるサイズの小瓶をポーロスに渡す。
「もちろんいいけど……小瓶の中には何も入れないんだポーか?」
「惑星フェアリの空気を回収して研究したいんだ。あと、この無線機も持っててね。」
「りょ〜かいポー!ついでに、友達のところにも訪ねるから少し遅くなるポーね。」
小瓶と無線機を持ったポーロスは、目を閉じて空中で一回転すると姿が消えた。