すーっとかすかな音が、白い部屋に響いた。
目を閉じたままの日本は、まだ毛布にくるまったまま小さく体を丸めている。
「……日本、起きてる?」
とっても柔らかく、少し眠そうな声…三男の空だった。
日本は小さく反応するだけで、まだ動かない。
空はそっと布団の端をめくり、頭を優しく撫でた。
「まだ寝てていいよ。ご飯とお薬、ここに置いとくね。」
そう言って小さな盆を置く音が、コトコトと床に響く。
「ぅん……ご飯?」
日本がぼんやりと目を開ける。
「うん、食べられそうになったらでいいよ。あと、お薬もあるから安心して」
空は微笑みながら、静かにゆっくりと日本の頭を撫でた。
「今日僕たち会議だから、帰るの遅くなるけどちゃんと待っててね」
日本は小さく頷いた。
まだ現在の時間や外のことをよく知らないけれど、兄たちの言葉だけは確かに心に残る。
「……うん、気をつけてね」
空はにこっと笑い、静かに立ち上がり扉の方へゆっくり歩き出す。
空が出ていくのをゆっくりと見送ったあと、また再び深い夢の中に入っていった。
「終わったか?」
低く落ち着いた声は陸だった。
「あぁ。終わったから行こ」
空は振り返り、興味がなさそうに答える。
「絶対に会議は行かないといけないのか」
と海がボソッと言う。
「まぁ、最近やってなかったし国連からもメールを受け取ったわけだし…仕方ないよ」
空は嫌々そう言った。
「まぁ、早く行くぞ」
陸が2人に声をかけて、3人とも真っ黒の車を乗り車を走らせた。
重いドアが「――ギィ……」と音を立てて開く。
陸が先に足を踏み入れ、海と空が後に続く。
白い照明がまぶしいほどに天井から降り注ぎ、円卓にはすでに各国の面々が座っていた。
「Hey!やっと来たな!君たちがいないと始まらないじゃないか!」
アメリカがニヤつきながら3人を見つめる。
「……時間どおりだ。何か問題あるか?」
陸の声は低く、軍人らしい威圧を帯びていた。
「ふん、相変わらず無愛想だな」
ナチスが眉をひそめる。その隣ではイタ王が無言でペンを回していた。
「喧嘩しないでください…今から会議ですよ?」
イギリスがため息をつくが、アメリカと軽口を交わすようにして笑う。
「で?何を議題にするんだ、今日は」
海が穏やかに口を開く。
国連が立ち上がり、淡々とファイルを広げた。
「最近、裏の世界で“ある暗殺者”が再び動いています。情報では、過去に“神隠し”のように姿を消した者だと」
その言葉に、陸の眉がぴくりと動く。
空は視線を伏せ、海は表情を変えぬまま黙って聞いていた。
「へぇ~……その人?、そんなにやばいの?」
カナダがぽつりと呟く。
「記録上は、世界で最も正確に殺す何か…誰も顔も性別も分かりません」
ソ連が氷のような笑みを浮かべて言う。
「……面白いな。もしまた現れるなら、興味があるな」
「やめてほしいんね、物騒なのは」
イタリアが情けない声を出し、ドイツはゆっくりと配られた書類をペラペラとみる。
「情報収集は続行中です。ですが、もし接触があった場合__」
国連の声が少しだけ低くなる。
「……報告を怠らないようしてください。特に“東”の方面、監視を強化を」
その言葉に、陸・海・空の三人は一瞬だけ、互いに目を合わせた。
空気が張りつめる。
「……了解」
陸が短く返す。
「まぁまぁ、そんな顔すんなって。どうせガセだろ?」
アメリカが軽く笑うが、海の声が静かに遮った。
「……そうだといいですね」
会議の空気が一瞬だけ冷える。
その沈黙を破るように、北朝鮮と韓国が同時に言葉を発した。
「“裏の世界”って、結局誰の管轄なんだ?」
「……ま、うちのとこじゃないよね」
「どこの国の人間かもわからないあるヨ」
中国が扇子を開いて、ため息をつく。
「でもねぇ、もし関係があるなら……やっかいなことになるネ」
その一言に、陸の手がわずかに震えた。
「……今日の会議は以上です」
国連が立ち上がり、閉会の合図を出す。
「……少し面白くなってきたな」
ナチスが口元を吊り上げ、ドイツが冷ややかに睨む。
「……行くぞ」
陸が背を向けると、海と空も静かに立ち上がった。
___帰らねばならない。
あの白い部屋で、彼らを待つ小さな「日本」のもとへ。
終わり
頑張った、ハートとコメントよろしくお願いします
コメント
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おっふ
わぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ蜘蛛さん文才凄すぎます!!!少し私に分けてほしいくらいです(?)次の話も全裸待機しときますね✨️(?)