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僕“達”の政略結婚
1話から読む日本は、幼い頃から周囲に期待されて育った純粋で天然な青年。けれど今、日本が経営する大手企業は倒産の危機に瀕していた。突然決まったのは、陸・海・空――自衛隊を象徴する三人との政略結婚。会社を救うための表向きの取り決めだと説明され、戸惑いながらも受け入れるしかなかった。しかし、日本本人は「なぜ自分が選ばれたのか」を何も知らない。実は、陸・海・空はそれぞれが日本に一目惚れしており、誰よりも彼を守りたいという想いから結婚を望んだ。けれど三人とも不器用で、愛をうまく言葉にできず、日本に本当の理由を伝えられないまま結婚式の日を迎える。和装の婚礼の中、日本はただ、不安と緊張を胸に抱えながら、出席できない三人の代わりに走り回る無邪気な少年__お手伝い役のパラオと心を通わせていく。にほーん!と無邪気に呼ぶパラオに癒されながらも、「なぜ自分が選ばれたのか」という疑問は日に日に膨らんでいく。そして三週間後、ついに日本は初めて陸・海・空と対面する。そこで交わされる言葉と視線__それは、ただの政略結婚ではない“真実”への扉を、少しずつ開けていく始まりだった。