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太中

五感損失

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私はまた彼の家まで脚を進める

最近、病状が悪化してきてる気がする

仕事とは無縁にさせ、ずっと休養を取らせているが、明らかに病状が重く、深刻になってきている

私の予想では今のところ、味覚、嗅覚、少しばかりの触覚が失われてきている

食事はしない、ペンや食器を良く落としてしまうなど、日常生活にも支障が出て来ている

最近では、私が食事を作る様になった

其れも無理して食べている

本当に一ヶ月も持つのかも不安なぐらいまできている

そして今日も彼の家に帰って来る

其れから簡単な料理を作る

太「どう?美味しい?」

なんて、嘘を付かないと成立しない様な会話を私達は続けている

そして、心からの喜びでは無い笑顔

中「あぁ、美味い」

同じく此方も

味がしないものなんか食べても、食べた気にもならないだろうに

中也なんかは生きるために食べる様なものだ

中也が食べ終わり、私が食器を片付ける

そして、このつまらない同じ様な生活を終わらせる話を持ち掛けたのは彼の方からだった

中「…なぁ あのな……」

太「…なに」

中「最近、味が感じないンだ…」

太「…」

中「すまん…」

「俺、疲れてるわ」

太「…うん、疲れてるだけだよ きっと…」

「今日は寝ようよ ほら」

私は、ソファーに腰をかけたまま、膝を軽く叩いた

其のあと彼は膝の上に頭を乗せてきた

そして、目の上に手を優しく置き、半ば強引に瞼を閉ざさせた

そして手を離した

暫くし、中也は口を開いた

中「俺、永くないだろ、」

太「……」

中「そうだよな 自分でも分かる」

そして中也は瞼をゆっくり開けた

中「…太宰の顔がぼやけて見えるんだ」

太「寝れば治るさ…」

中「あと、手前の声も霧がかって聞こえる」

「手前泣くなよ…ほら、ぼやけてても良く分かる」

そして、震える手で私の頬を撫で涙を拭った

中「もう、太宰を触ってるかどうかも曖昧だな」

太「うん…うん、もう良いよ」

中「本当はもっと触れていたかった」

太「うん…触れてるよ」

彼の頬を撫でている手を頭に回した

中「…おやすみ……太宰………」

太「…おやすみ……中也」

静かに死んでいる彼はもう、誰にも適うわけない程に端正な顔をしていた

口角だけを上げながら、涙を流している彼は、死化粧師も要らないのだ

君はもう寝る時間だ






〝そっとおやすみ〟


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お疲れ様でした

私も早く寝なくては(2024/08/13 03:57:34)

おやすみなさい

この作品はいかがでしたか?

523

コメント

1

ユーザー

私切ないお話とかちょっと好きなので結構お気に入りの作品になりました!!最期中也と太宰さんが中也の死に際?に愛を囁きあってるのとかめっちゃ好きです!お互いに涙を流しあってるのもたまりません!!これから応援してます!頑張ってください!

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