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シャワールームから水圧の音が聞える。
買い置きしてあった歯ブラシや着替え用にシャツやタオルを脱衣所に置きリビングに戻るとスマホが震え出した。
画面に表示された森川彩香の文字にため息が出る。
「こんな時間にどうしたの」
「ごめんなさい、今からでもちょっとだけ会えないかな?それが無理なら明日とか」
今からって、いったい何時だと思っているんだ?
「今からって、明日だとしても会うつもりはない」
「でもわたし達は」
「君は本当は違うだろ」
「わたしは本当にしてもいいの、それよりどうしても会って相談したいの」
「あまり自分だけで完結するな、相談なら新二にすれば」
「うっ・・・うっ・・・お願い、食事会の前にどうしても、急いで賢一さんに相談したいの」
「悪いけどもう切るよ」
「まっ・・・」
何を聞いても平行線になりそうで通話を切った。
帰国してから少しずつズレが生じてきたようで小さなズレは日を追うごとに大きくなってきた。
ため息がでる、右手を広げ親指と薬指でこめかみを押さえながら息を吐いた。
バスルームから出てきた雪は俺のだぶだぶのシャツから細く長い足が艶めかしく覗いていた。
「ヤバい欲望が迸りそう」
そのまま襲いかかりそうになるのをグッと我慢して、肩を抱き寄せるとベッドルームに向った。
テレビのリモコンを雪に手渡してからシャワーを浴びに行った。
俺の部屋でシャワーを浴びた雪が俺のシャツいわゆる彼シャツを着てるとか、天国かっ
と、幸せな気分で雪の待つベッドルームに戻るとサイドテーブルに置いておいたスマホが震えていた。
森川彩香の名前を見て電源を落とした。
雪は布団の中にすっぽりと入っていて眠ってしまったのかもしれない。
寝ているなら起こしてしまうのも悪い気がして、小さな声で「雪?寝た?」と聞くと「寝てない」と返ってきた。
「よかった」
掛け布団を引き剥がし、雪に覆い被さろうとすると体勢が逆転していた。
気がつくと雪の形のいい乳房が目の前に迫ってくるので両手でそれを受け止めた。
積極的な雪に欲情し、まるで俺が獣になった様な気がした。