25 甘関節
「ちょっとちょーだいよ」
まさか、先生の口からそんな言葉が出るとは思わなかった。
だって、私が口付けたストローだよ?
先生はそんなの気にしないのかな。
そんなことを気にして私は
『 え、』
としか言葉が出せずにいると、
「え、くれないの?ケチー」
『 あっ、』
『 …飲みますか?』
先生に差し渡すと、先生は口角を上げて、嬉しそうに笑う。
さっきまで私が飲んでいたストローに先生が口付けている。
喉が、コクンとなる。
「あっま」
『 これでも少し薄くなってますけど』
「いや、これでも十分よ。甘いよ。」
そう言ってもう一口。
「やっぱ、甘い。ふはっ」
笑った先生の手元にある私のカップを先生が私に返す。
「余計に喉乾かねぇの?」
『 …多少、』
「ふはっ、そーなんかよ」
隣にいる私が
先生と関節キス、
だなんて考えていることに先生は気づいてないだろう。
・
ドキドキが止まらなかったけど、結局先生と一緒にいられたのは1駅だけ。
先生はまだまだ都会なその街で、降りていった。
帰り際に「寄り道しなずに帰れよー?」と言われて私は『 はい』と返事をした。
ふはっ、って何故か笑いながら降りていく先生を電車を降りてからも眺めていた。
見えなくなるまで、ずっと。
そこから何駅か先の、私の最寄り駅。
いつものように改札を通った後、
『 …あっ…..』
自分のやらかした事に気がついた。
私、約束があるから暇潰しに…って先生と本を読んでたのに、そのまま帰ってきてしまった。
しかも、「寄り道しなず帰れよー?」って言葉に『 はい』と返事をしてしまった…..。
『 あぁ、、』
だから、笑ったんだ。先生は。
きっと、嘘つき、って。
手の中にあるいちごミルクが入ったプラスチックカップ。
キスだってまともにしたことがない私にとったら関節キスなんてものすごい衝撃で
でも、嫌いな人となんてできないよね!?なんて都合よく捉えて胸が熱くなる。
私からこのストローに口をつけるのは、どーしてもまだ、勇気が出ないけど、
少しづつ、高校生だった私よりは先生に近づけてるのかなって。
あの時、諦めず、全部を先生に賭けた私が間違ってなかったんじゃなかったって思ってる。
コメント
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は わ 、 最 高 な ん だ け ど 、 😩 ⸝⸝