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#渡辺翔太
クリオネ?
638
zetsu.
3,014
#一般人
クリオネ?
109
ラウールに腕を掴まれたまま連れて行かれた先は、廊下の奥にある場所だった。
扉の横には【服飾部】と書かれた木札がぶら下がっている。
❤️「(ここに、目黒が……!)」
宮舘の身体が、カチコチに強張った。
10日間、必死になって避け続けてきた相手。
顔を合わせることがひたすら怖くて、校内のあらゆる場所に逃げ続けてきた。
そんな目黒が、この先にいる。
そう思っただけで、宮舘の心臓が嫌なほど大きく鳴った。
――ガラガラッ
❤️「……?」
恐る恐る扉の中へ足を踏み入れてみても、そこに目黒の姿はなかった。
静かだった。
机や椅子、布地や裁縫道具。
服飾部らしい道具が整然と並んでいるだけで、人の気配はどこにもない。
❤️「……あれ?」
思わず声が漏れる。
目黒どころか、他の部員の姿すら見当たらなかった。
宮舘の頭の中に、いくつもの疑問符が浮かび上がる。
どうして、ここへ?
何のために連れてこられた?
そもそも、目黒はどこにいる?
そんな宮舘の様子を見て、ラウールが「あ」と声を漏らした。
🤍「ごめん」
今まで掴んでいた腕を、慌てて離す。
🤍「腕、赤くなっちゃった……」
見ると、ラウールに掴まれていたところがうっすらと赤くなっていた。
🤍「ごめんなさい……」
❤️「大丈夫だよ。気にしないで」
宮舘がそう答えると、ラウールは少し安心したように微笑んだ。
🤍「ありがとうございます。改めまして!俺、ラウールっていいます!」
人懐っこい笑顔だった。
その表情は、宮舘が知っている現実の世界の彼と、驚く程良く似ていた。
宮舘はもちろん、ラウールのことを知っているが、この世界では初対面だ。
だから宮舘も、この世界のルールに合わせるように静かに頭を下げた。
❤️「……宮舘涼太です」
🤍「宮舘さん、ですね!」
ラウールの無邪気な笑顔を見ていると張り詰めていた宮舘の心がほんの少しだけ緩んだ。
それでも、どうしても気になり宮舘は、意を決して口を開いた。
❤️「……何で俺をここに連れてきたの?」
核心を突く問いに、ラウールは一瞬だけ口を閉ざした。
それから、少し気まずそうに頭を掻く。
🤍「えーっとね……」
❤️「……うん」
何か言いにくいことがあるらしい。
🤍「めめ……」
その呼び方に、宮舘の肩がぴくりと揺れた。
🤍「……目黒が、すっごく落ち込んでて」
❤️「目黒が……?」
🤍「うん」
ラウールは小さく頷いた。
🤍「あなたのことを怒らせちゃったって、どうすればいいか分からないって。俺、相談されてたんだ」
❤️「…………」
一瞬、本当に何も考えられなくなった。
頭の中が真っ白になる。
❤️「(……目黒が、落ち込んでいる?)」
10日間も会わなかった。
いや、違う。
宮舘が一方的に避け続けていただけだ。
その間ずっと、宮舘はこう思っていた。
きっと嫌われた。
もう呆れられた。
自分との関係なんて終わった、と。
🤍「……それでさ、めめが『舘さんに似合いそうな物をラウールに作ってほしい』って」
❤️「……え?」
🤍「『それでお詫びして、仲直りしたい』って言ってきたの」
その言葉が、胸の奥へ静かに落ちていく。
🤍「でも、俺には宮舘さんの好みとかサイズが分かんなくて……強引に連れてきちゃった」
その瞬間、胸の奥で何かが大きく揺れた。
目黒が自分と、仲直りしようとしている。
自分に嫌われたと思って、落ち込んでいた。
諦めずに仲直りする方法を考えて自分のために何かを贈ろうとしている。
その事実が、あまりにも愛おしくて。
ぎゅう、と宮舘の胸がいっぱいになった。
❤️「……っ」
視界が滲む。
一度溜まった涙は、もう止まらなかった。
ぽろり、と大粒の涙が頬を伝う。
その次から次へと、堰を切ったように溢れ出してくる。
❤️「……俺が、悪いのに」
🤍「……宮舘さん」
❤️「俺が勝手に拒絶して……逃げ回ってたのに……」
涙を手の甲で拭う。
しかし、拭っても拭っても止まらない。
❤️「……俺も、目黒と仲直りしたい」
その言葉を口にした途端、また涙が溢れた。
ラウールはそんな宮舘を暫く見つめた。
そして、ふっと優しい笑みを浮かべると部屋の奥にある、もう一つの扉へ視線を向けた。
🤍「……だってさ、めめ!」
❤️「……え?」
宮舘が顔を上げた瞬間だった。
――カチャリッ
部屋の奥にある服飾準備室の扉が開いた。
🖤「…………」
ゆっくりと姿を現したのは、目黒だった。
かなり、ばつが悪そうな顔をしている。
2人の目が10日ぶりに合った。
❤️「……目黒」
名前を呼んだだけで、胸がまた苦しくなる。
目黒も何か言おうとしても、すぐには言葉が出てこなかった。
やがて、大きな身体を少しだけ縮こませるようにして、口を開いた。
🖤「……俺、舘さんが落ち込んでるみたいだったから、元気付けたかった」
宮舘は黙って、その言葉を聞いていた。
🖤「なのに……『いきなりキスするなんて絶対に間違ってる!』って、ラウールにめちゃくちゃ怒られた」
🤍「そんなの当たり前だよ!バカ!」
🖤「……驚かせて、ごめんなさい」
❤️「………目黒」
素直な謝罪だった。
その姿を見つめていると、宮舘の胸の奥にあった固いものが、少しずつ溶けていく。
自分だけが傷付いていたわけじゃなかった。
目黒もまた、あの日からずっと悩んでいたのだ。
宮舘は、涙で濡れた頬をそっと拭って小さく息を吐く。
❤️「俺こそ、ごめん……」
🖤「……舘さん?」
❤️「俺達の関係って【フリ】だから……キスしちゃいけないよなって、急に不安になって……」
言葉にしてみると、あの日の自分がどれだけ臆病だったのか分かる。
❤️「……突き放して、本当にごめん」
本当の理由は、違う。
渡辺の『どうせ、フラれるぜ』という言葉が、ずっと頭から離れなかったからだ。
いつか捨てられるのなら、傷付く前に自分から距離を取ってしまえばいい、と思ってしまった。
でも、同時に【恋人のフリ】という関係そのものに臆病になっていたのも事実だった。
目黒は宮舘の言葉を黙って聞いていた。
そして、ほんの少しだけ眉を下げる。
けれど次の瞬間には、口元に悪戯っぽい笑みを浮かべた。
🖤「……じゃあ」
❤️「……?」
🖤「なんで、ザリガニ釣りの時……ご褒美のキス受け取ってくれたの?」
❤️「違っ……!」
宮舘の顔が、一瞬で真っ赤になる。
❤️「あ、あの時は……!」
🖤「うん」
❤️「不意打ちだったから……っ!」
🖤「うん」
❤️「反応、出来なかっただけ!」
必死になって言い訳する宮舘を見ていた目黒の肩が僅かに震えた。
🖤「……ふっ」
堪えきれなくなったように笑い声が漏れた。
🖤「ははっ……!」
久しぶりに聞く、目黒の楽しそうな笑い声。
その声を聞くと宮舘も、つられるように笑ってしまった。
❤️「ふふっ」
涙の跡が残る顔で、宮舘が笑う。
10日間、ずっと胸の中に重くのしかかっていたものが、まるで嘘だったかのように消えていく。
笑い声が、静かな服飾部の部室に響いた。
その様子を見ていたラウールも、嬉しそうに笑う。
🤍「良かったぁ、仲直り出来て!」
そして、ぱん、と両手を合わせた。
🤍「じゃあ俺、2人に似合うお揃いのモノ作っちゃうね♡」
❤️🖤「「お揃い……?」」
宮舘と目黒が目を丸くしてラウールを見る。
そして、ふと2人の視線が重なった。
🖤「…………」
❤️「…………」
なぜだか、気恥ずかしくなって2人の頬が、ぽっと赤く染まる。
――その瞬間だった。
【目黒蓮との絆が深まり、好感度が10%上昇しました】
頭の中に、久しぶりの音声が響いた。
無機質なはずなのに、今はどこか晴れやかに聞こえる。
【現在の好感度は45%となりました】
❤️「(…………!)」
好感度が、また上がった。
今回はただ数値が上がっただけではない。
10日間、すれ違った。
傷付いて、逃げ回った。
それでも互いに相手を想っていた。
そのことを知れたからこそ、以前よりも少しだけ、相手の心が近くに感じられる。
❤️「…………」
宮舘は、そっと目黒を見つめた。
🖤「…………」
目黒も静かに宮舘を見つめ返している。
悲しいすれ違いを乗り越えて。
2人の心は、また1歩――
以前よりも深く、優しく近付いていた。
コメント
9件
お互いを想い合っていますよね🖤❤️
もうこれは両思いでいいですよね⁉️
ぜっちゃーーーん🫶💕 キュンキュンしたぁ💗 🖤❤️が仲直り出来て良かったよぉ😭✨️ それでもまだ好感度45%!? コレ、100%になったらどうなるのよ!? 楽しみです✨️✨️✨️ 私もキュンキュン書きてぇー!!←苦手…