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ぴくと


























「ナマエちゃん」

『! ぴくと』


学校に行く途中、幼馴染のぴくとが後ろから声を掛けてきた。


『おはよう』

「ん、おはよ」


今日は涼しいね。秋だからね。たしかに。なんて会話をしながら、いつもの道をふたりで歩く。

こうしてぴくとと登校するの、いつぶりだろう。幼馴染とは言えど、ふたりとも高校生いい歳であるし、お互い、友達だっているから。一緒に登校なんて小学校で終わっていた。…たまに中学校も一緒に登校していた……かな?


『そろそろテストだね〜』

「ナマエちゃん、勉強やってる?」

『どーだろ?』

「その反応はやってないなー?」


そう言うぴくとは?と聞き返すと、顔を俯かせるぴくと。


『やってないんじゃん』


ふ、と笑って返すと、ナマエちゃんには笑われたくないんだけど!?と言われた。なんだと。



靴箱でぴくととは別れ、各々自分のクラスへ行く。


『おはよー』


がらがら、と教室のドアを開けながら挨拶をすると、いつも聞こえてくるはずのみんなの声が聞こえなかった。


あれ、私、挨拶したよね?と不思議に思い、みんなを見ると。


「うわ、来たよ」

涼川すずかわさんのこと虐めたのに、よく学校来れるよな」


みんな蔑むような目をこちらに向けていた。


…え?


『いじめ、?』

「まさか…、教科書ぐちゃぐちゃにしたり涼川さんの上履き捨ててたくせに、いじめてないなんて言わないよな?」

「マジー?ミョウジさんそれはやばいって」


ぐさり、ぐさり。

クラスメイトの視線と言葉が、心に突き刺さる。

これ以上いるのは無理だと思い、少しの希望を持って 親友のはな千草ちぐさにもおはようと声を掛けたが、「いじめっ子と仲良くする気はないから」「もう私たち親友やめよ」と言われ、涼川さんに目を向けると、涼川さんはぐすぐすと声を出して泣いていた。


なんで?


わたし、なにかしたっけ。

昨日は……普通に、花と千草と一緒に帰って……、?

それから、…それから……家で本を読んで、ゲームして、お風呂に入って、ご飯を食べて、寝た。

朝はぴくとと一緒に登校した。


…その前?


いや、なにもしてない。そもそも、涼川さんとは一言二言くらいしか話したことがない。


どうして私がいじめたことになってるの?


「ナマエ〜、ごめん!古文の教科書貸してくれない!?」


がら。


『ぴくとっ』


ドアが開き、ぴくとがあらわれる。


「どしたの?」

『あ、えっと、あの、……、…やっぱりなんでもない。古文だよね、ちょっと取ってくる』

「ん、わかった」


言おうとして、やめた。これを言ったところで、私がいじめなんてしてないってぴくとは信じてくれるだろうけど、私はぴくとを頼ってしまう。ぴくとに迷惑を掛けてしまうと思うから。


急ぎ足で自分のロッカーに向かい、古文の教科書を取り出す。


やっぱり、みんな私を軽蔑しているようだった。


『…はい、古文。』

「ありがと。昼休み、返しに来るわ」

『じゃあ待ってるね、またあとで』

「…ナマエ」

『ん?』

「いつでも頼っていいからね」

『…ぁ、』

「じゃ、あとでね」


…、見透かされていた。


……昼休みに、相談しようかな。



「ナマエー」

『あ、ぴくと』


約束通り、ぴくとは私に教科書を返しに来た。


「マジで助かった」

『それはよかった。…戻してくるから、まってて』

「ん」


ささっと教科書をなおして、ぴくとのところへ急ぐ。


『いこ』

「屋上?」

『…うん』


その会話だけして、ぴくとの手を取り、無言で歩く。

何も言わずに着いてきてくれるぴくとには感謝しかない。……あぁ、もう、涙が出そう。わたし、涙もろくなったなぁ。



「…で、なにがあったの?」


ぽつり、ぽつり。


ぴくとと別れてから朝の出来事を口から吐く。

最後まで聞き終わってから、ぴくとは口を開いた。


「ッはぁ!?なにそれ、ナマエがいじめなんかするわけなくね!?」

『…っぴくとぉ…!ありがとう……』


自分で思っていたより、みんなの目が怖かったんだろう。安心したのか、涙がぽろぽろとあふれる。


「…ナマエには、俺だけでいいよ」

『…ぅ、う……』

「俺は信じてるよ」

『わたしっ……なんにもしてないのに…っ……ぐす……』

「うん。ナマエがするわけない」


そのまま、昼休みはぴくとの腕の中で泣いていた。














ぴくと side


はは、気付かないなんて……!

ナマエったら鈍感だな〜♡


腕の中にいるナマエを見つめながら、俺は頬を緩ませる。


あれは全部、俺が仕組んだ。だってあまりにもナマエは人気すぎるから。

小学校のときは俺についてまわってくれてたのに、中学校に入ってからは友達を作って、俺か離れて。

高校生になった今も…いや、昨日までは中学校のときと変わらず、友達と仲良くして、…男とも、仲良くして。

そんなの、危ないに決まってる。


ナマエには俺だけ、俺にはナマエだけでいいんだから。


…な?


だから、これからは全部、全部……ずぅっと、俺に頼ってね♡



















激重幼馴染みだいすき

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