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ナギサノサナギ
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冬の足音が近づき始めた頃。
「ライ〜!」
「ん?」
「そろそろ決めん?」
ソファに座った緋八マナが、真剣な顔でノートを開く。
「名前?」
「そう!」
そこには、二人で少しずつ書きためてきた名前の候補が並んでいた。
「こんなに増えたん?」
「増えた!」
「悩むなぁ」
ライも隣に座り、一緒にノートを覗き込む。
「この子が大きくなって、自分の名前を好きになれるといいよね」
「うん」
「呼びやすくて、優しくて、笑顔の似合う名前」
「いいなぁ」
マナはお腹を撫でながら微笑む。
「どんな子になるんやろ」
「元気いっぱいかな」
「ライみたいに優しい子かも」
「マナみたいに明るい子かもしれない」
「どっちに似てもかわいい!」
「親バカだね」
「親やもん!」
二人は顔を見合わせて笑った。
その日の午後。
「お邪魔しまーす!」
今日はショウとカゲツが遊びに来ていた。
「わぁ、ベビー服増えてる!」
「みんなからいっぱいもらったんよ!」
「愛されてるなぁ」
ショウが嬉しそうに笑う。
「そういえば名前決まった?」
「それがまだなんよ〜」
「悩みすぎてる」
「大事なものだからね」
カゲツが優しく言った。
「二人が『この名前だ』って思えるものが一番だよ」
「せやなぁ」
するとショウが笑う。
「生まれて顔を見てから決める人もいるらしいよ」
「なるほど!」
「焦らなくていいってことか」
「うん」
四人でお茶を飲みながらのんびり過ごしたあと。
夕方。
ショウたちを見送った帰り際。
「次会う時には名前決まってるかもな」
「楽しみにしてる!」
「また連絡してね」
家に戻り、夕食を終えた夜。
「なぁ、ライ」
「ん?」
「この名前、どう?」
マナが指差したのは、
『陽向(ひなた)』
という名前。
「陽だまりみたいに、あったかくて」
「周りの人を笑顔にできる子になってほしいなって」
ライはその文字を見つめた。
そして、ゆっくり笑った。
「いい名前だね」
「ほんま?」
「うん」
「俺、好きだな」
「やった!」
「この子も気に入ってくれるといいな」
「きっと気に入ってくれる!」
二人は顔を見合わせて笑った。
「じゃあ決まり?」
「決まり!」
「陽向」
「うん」
「会えるのがますます楽しみになった」
静かな夜。
まだ姿は見えないけれど、もう名前を呼ぶことができる。
二人からの、最初の贈り物。
「陽向」
優しい声が、温かな部屋に響く。
その頃。
ウェンとロウの家にも、新しい家族を迎える準備が進んでいた。
そして、マナたちが陽向と出会う日も、もうすぐそこまで来ていた。
コメント
1件
わあ、第7話「君に贈る名前」、すごく温かいお話でしたね……!名字を決めるまでのマナちゃんとライくんのやりとりが、もう本当に愛おしくて。特に「陽だまりみたいに、あったかくて」っていうマナちゃんの言葉に、ふたりの願いがぎゅっと詰まっていてじんわりきました。陽向くん、きっと素敵な子に育つんだろうなあ。名前って最初の贈り物、ってフレーズが心に残ってます。ウェンさんたちのところも気になりますね!次が楽しみです😊