TellerNovel

テラーノベル

アプリでサクサク楽しめる

テラーノベル(Teller Novel)

タイトル、作家名、タグで検索

ストーリーを書く

シェアするシェアする
報告する

大葉たいよう岳斗がくとから、『荒木あらきさんの家のすぐ近所にある居間猫いまねこ神社で杏子あんずちゃんと出会いました』と聞かされたのだが、羽理うりにはそれが言えなかった。


『実は……余り言いたくないんですけど、杏子ちゃんの住んでるところ、荒木さんの家の物凄い近くなんです。それこそくらいの場所なんで……僕としては出来れば荒木さんを大葉たいようさんの家に引っ越しさせちゃって欲しいんですよね。正直な話、たまたまとはいえ杏子ちゃんと大葉たいようさんが出会っちゃったりしたら……杏子ちゃん、心がかき乱されてしまうと思うんです。僕はこれ以上大葉たいようさんには杏子ちゃんに干渉して欲しくないですし、実際問題荒木さんだって大葉たいようさんのお見合い相手が自分のすぐ近くに住んでるって知ったらきっといい気はしないでしょう?』


電話の切り際、岳斗から言われた言葉が頭の中をぐるぐる回って……それがどうしても歯切れの悪い言動に繋がってしまった。恋心にはめちゃくちゃうといくせに、変なことには鋭い羽理に不審がられていることにも気付けないまま、大葉たいようはぼんやりと考える。


(杏子の家が居間猫神社の近くって……実際どの辺りなんだよ!)


居間猫神社といえば、大葉たいようと羽理を結び付けた猫神様ねこかみさま御座おわします有り難ぁーい神社だ。


場所的には羽理の住んでいるアパートから目と鼻の先。そこで杏子と出会ったとなると、本当に羽理の住まいと近いところに杏子は住んでいるんだろう。


岳斗は杏子の家がどこなのかだけは大葉たいように明かしたくないみたいで、そこは最後までぼかし続けた。


(って言うか……出会ってすぐに気になる子の家突き止めてるって……すごくねぇか、倍相ばいしょう岳斗がくと!)


自分は羽理と特殊な出会い方をしてしまったからともかくとして、それがなければ羽理の家なんて未だに知らないままな可能性もあるくらいだと自認している大葉たいようは、好きな相手から個人的な情報を聞き出すのが物凄く下手なのだ。


だからこそ羽理が飲むコーヒー牛乳に砂糖が入る時と入らない時があるだなんていう些細なことを知っているというだけで、小さな幸せを見出せるわけなのだが……。


居間猫神社とは全く別方向に住んでいる岳斗が、その辺りにいたことも不思議に思った大葉たいようだったが、そこは『大葉たいようさんに釘を刺そうと思って荒木あらきさんの家に行こうと彼女に連絡したら、電話が通じなかったんです。また何かあったのかと心配になって荒木さんの家まで行くことにしたからですよ』と説明されてひとまずは納得した。


今日羽理は体調不良という名目で仕事を休んだのだ。岳斗が言ったように自宅療養していると思うのが普通だろう。


そうして羽理のことを溺愛しているのがバレバレな自分が、終業後いそいそと彼女の見舞いに行くのは当然の流れだと岳斗に認識されていたのにもうなずける。


羽理に電話が通じなかったのは自分のせいでもあるわけで、大葉たいようはそれ以上何も言えなかったのだけれど。


結局岳斗は岳斗で、『荒木さんの家へ向かう道すがら、杏子ちゃんと出会ってしまって……。何かもうそれどころではなくなってしまったんです』という状況になってしまったらしい。


電話口、申し訳なさそうに岳斗から『お二人をサポートするとか言っておきながら……ホントすみません』と謝られた大葉たいようは、「気にするな」と答えつつ。羽理に電話が通じないと思うや否や、すぐに家まで来てしまう岳斗の行動力には、感服するばかりだった。


(岳斗が本気で羽理にぶつかってたら、俺、到底敵わなかったんじゃねぇか?)


そう思うと、居間猫神社の猫神様〝様様〟だと思ってしまった。


実際のところ、杏子との出会いというハプニングに見舞われず、岳斗が無事羽理の部屋にたどり着けていたところで、自分たちはそこにはいなかったわけだが、それはまぁ結果論だ。


『そうだ。さっきもちらっと言いましたけど……法忍ほうにんさんも僕も結構限界なので……これ以上荒木あらきさんがお休みになるようなこと、しないでくださいね?』


あのっ、とりあえず服着ませんか!?〜私と部長のはずかしいヒミツ〜

作品ページ作品ページ
次の話を読む

この作品はいかがでしたか?

159

loading
チャット小説はテラーノベルアプリをインストール
テラーノベルのスクリーンショット
テラーノベル

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい!がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。

Apple StoreGoogle Play Store
本棚

ホーム

本棚

検索

ストーリーを書く
本棚

通知

本棚

本棚