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第二十六章
地脈開道
砂が崩れ続けています。
上へ登ろうとしても、足元から砂が流れ落ちてしまう。
「やーん服に砂が入っちゃうわ!」
「あんたは、ノースリーブやろ!どこに入るとこあるんや!」
「二人とも、今はケンカしないで、っ」
「早乙女さん、の言う通りだ、よ…砂、がジャマ…」
みんなが必死に手足を動かしています。
けれど、さっきの歌の影響も残っています。
気力も。
思考力も。
まだ完全には戻っていません。
私は周囲を見回しました。
……普通に登るのは難しそうです。
「!!神剣くん、っ神剣くんは大丈夫?」
静かすぎて忘れていました!神剣くんの事を!
すると…
「何して遊んでるの?」
ムカつく…いえ、とても眠そうな声が背後から聞こえてきました。
「神剣くんには遊んでるように見えるのかな?」
「……ああ…砂場で遊んでる子ども…」
……神剣くんに心配はいらないようです。
神剣くんは手を伸ばし砂に触れ何かを確認しています。
「少し、待ってて…」
「え?何するの?」
「道を作る…」
は?何を言ってるのでしょうか…道を作る?…!!まさか
「大地よ、我が意に応えよ。
砂を鎮め、道を開け――地脈開道」
地面が、大きく震えました。
崩れていた砂が止まります。
そして――
私たちの足元から、地上へ向かって道が伸びていきました。
「……え?」
「道ができた……?」
「う、そやろ…」
呆然としてるみんなを気にすることなく何事も無かったかのように神剣くんは先を歩きます。
みんなも慌てて後を追ってきました。
『そんな……!』
背後から、夢堕蟻牢の声が響きます。
『私の巣を……!』
神剣くんは振り返りました。
「巣なら、地形を変えれば終わりだ」
『そんな簡単に……!』
私たちは、そのまま地上へ脱出しました。
砂の上に立った途端。
「……はぁ」
みんなが、その場に座り込みます。
まだ、ぼんやりしています。
「頭が……重い」
「なんや、幕が張ってるみたいになってるわ…」
「さっきの歌が原因かしら」
神剣くんが一人ずつ顔を見ています。
なんでしょう…黄色い眼で見られると…違和感しかありません。
「症状は浅い…それなら」
ぱんっ。
「痛っ!?」
一瞬、何が起こったかわかりませんでした。
チカチカ目の前が光ったような…そこでようやく鈍い痛みが頬を襲ってるのを感じ神剣くんからビンタされたのだと理解できました…痛いです。
ぱんっ。
「えっ!?」
ぱんっ。
「ちょっと、何すんの!?」
最後の一人にも、ぱんっ。
「……痛っ」
みんなが顔を見合わせます。
「……あれ?」
「解放された感じだわ♥️」
「ほんまや」
そのとき。
ズズズ……。
地面が震えました。
砂の中から、巨大な身体が現れます。
四本の大顎が、月明かりの下で開きました。
『……よくも』
夢堕蟻牢が、私たちを睨みつけています。
私は腰の太刀を抜きました。
「では――」
一歩、前へ出ます。
「今度は、ちゃんと退治しましょう」
夢堕蟻牢が咆哮しました。
夜の砂漠に、その声が響き渡ります。
そして――
数分後。
砂漠には、静寂が戻っていました。
「……終わったわね」
夢堕蟻牢は、もう動きません。
私たちは、無事に討伐を終えました。
……さて。
長期討伐車両の引き上げ作業です(泣)
コメント
1件
ああ、第26話読み終わりました!神剣くんの「砂場で遊んでる子ども」発言には思わず笑ってしまいましたよ。あのマイペースさ、相変わらずですね。でも「地脈開道」で地面を操るシーンは圧巻でした。彼の魔力ってどこまで底があるんだろう…まだまだ隠してそうでワクワクします。そしてビンタで洗脳解除する強引な方法も神剣くんらしくて好きです。最後の「引き上げ作業です(泣)」のオチも含めて、テンポよくて楽しかったです!