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第十五話
お見舞い
「と、とにかくお見舞いの品も買えたことだし……みんなで行きましょうか」
苦笑いを浮かべながら、御厨くんがお見舞いの品を見て固まってしまった私たちに声を掛けます。
「そ、そうだね……きっと……椥辻さん、喜んでくれると思うよ……た、たぶん……」
だんだんと皇刃くんの声が小さくなっていきます。
えぇ……私も、喜んでもらえると思った物を選んだつもりです。
「…………」
私は無言で手にしているレイピアを見つめ、小さくため息をつきました。
買ったものは仕方ありません。
「学園に戻りましょうか……。椥辻さんが決めるでしょうから。使う、使わないは……」
どうしましょう……。
もし椥辻さんがいらないと言えば、私がこのレイピアを……。
レイピア自体は使えると思いますが……ピンク。
私には無理です。
─────学園・医療棟
「失礼します。椥辻さんのお見舞いに来ました」
ドアをノックし、みんなで中へ入ります。
「なんや? 朔夜がいてるの珍しいな? どないしたん?」
「具合、どう……かな? 椥辻さん……み、んなで来た、よ」
皇刃くんが少し照れたような笑みを浮かべていると、神剣くんが無言で袋を椥辻さんに差し出しました。
「!? 何や……これ……」
「……見舞い」
「!? 朔夜が? うちに?」
椥辻さんは、とても驚いた顔で窓の外と神剣くんを交互に見ています。
椥辻さんの言いたいことは、よく分かります。
「あ、アタマ……打ったんか? ……いや、まぁ……ありがとぅ。なんやろ……」
袋を開け、取り出した椥辻さんは固まっていました。
「……ナタ?」
「好きだろ……ピンク」
「いや、そりゃピンクは好きやけども……ナタ?」
「はい♥️ これは、あたしからよ。早く元気なんなさいよ。待ってるから」
「ありがとぅ……か、金棒……?」
「あら? 好きでしょ? ピンク」
「いや……あのなぁ……うちが言いたいのは……」
……分かります。
椥辻さん……でも……ごめんなさい!
なぜか、こうなってしまったの。
「な、椥辻さん……あの、僕からも……受け取ってもらえると嬉しい、な……」
「……ハルバード……」
ぼそっと椥辻さんが呟きます。
そうですよね……。
誕生日のプレゼントとかではなく、お見舞いの品ですものね?
コレじゃないですよね……。
「……あ、綺?」
椥辻さんの視線が、とても痛い。
痛くて、まともに見ることができません。
でも……。
「……ごめんなさい……」
「ま、まさか……綺まで?」
私から受け取った袋を開け、手にしたレイピアを眺めています。
綺麗なピンク色です……。
「……あんたら、うちを何やと思ってるの?」
ベッドに並べられた武器を眺め、苦笑いを浮かべる椥辻さんに、合わせる顔がありません。
「あら? 好きでしょ、ピンク」
「ちゃうねん! いや、好きやで、ピンク……はぁ……」
椥辻さんは頭を抱えています。
言わんとすることは、よぉーく分かります。
「あ、あの椥辻さん……その……え、っと……」
「……ふはっ」
急に椥辻さんが笑い出したことに、私たちは驚きを隠せませんでした。
「いやー、あんたら、よぅ見てるな? うちのこと。びっくりしたわ」
ギプスをしたままでも、ベッドに並べられた武器を手にしながら、私たちを見つめます。
「この子ら、まだ迎えてない子たちばかりやねん。ほんま、ありがとな。退院したら使わせてもらうわ」
─────良かった♪
椥辻さんが退院して、これらの武器を使って立ち回るのが、今から楽しみです。
コメント
1件
わあ、もう最高でした(笑)!みんな揃ってピンクの武器攻撃…椥辻さんの困惑顔が目に浮かびます。最後に笑って「退院したら使わせてもらうわ」って言ってくれたのが本当に温かくて、キャラ同士の関係性がぐっと深まった回だなって思いました。退院後の立ち回りが楽しみですね🖤