テラーノベル
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ふん……やって来たか」
キャンバスに向かっていた人物が、ゆっくりとこちらへ振り返った。
絵の具で汚れついたスケッチブックを抱え、冷ややかな視線を投げてくる。
「私は『挿絵画家』。言葉にならない感情や痛みに『色彩』を与え、世界の背景として刻み込む者だ。尊(みこと)から話は聞いているよ、助手くん」
挿絵画家は僕の全身を品定めするように見つめると、鼻で笑った。
「君がこれまでどれほど賢く立ち回り、あの男のボケを『ツッコミ』で払いのけてきたとしても、ここでは一切通用しない。言葉や理屈なんてものはね、この圧倒的な『現実の重み』の前では、絵の具のひと刷毛で塗りつぶされる程度の紙片にすぎないんだ」
彼が黒い画筆を大きく一閃させると、キャンバスからドロリとした漆黒の絵の具が溢れ出した。
それは津波となって押し寄せ、朱塗りの橋も、桜の木々も、僕の視界全てを容赦なく塗りつぶしていく。
『……助けて』『痛い』『見ないでくれ』
耳元で、何千人もの怨嗟の叫びが響き渡る。
これまで出会ったどの試練よりも重く圧倒的な泥が、僕の全身にまとわりつき、喉の奥へと流れ込んできた。
「ぐっ……ぁ……!」
息ができない。胸のポケットでルービックキューブを握りしめようとしたが、指先が激しく震えて力が入らない。必死にあの人の呑気な声を探したが、押し寄せる悪意の色彩の前にあっさりと掻き消されていく。
「君にあの男の代わりなど務まりはしない。君がやってきたのは、ただの探偵ごっこだ」
挿絵画家の冷酷な声が、暗闇の頭上から降ってくる。
「……さあ、自分の無力さを噛み締めて、そのまま沈むといい」
膝から崩れ落ち、僕は冷たい地面に手をついた。
泥のような黒が視界を奪っていく中で、僕はただ荒い息を吐きながら、自分の中の「執筆者」としての心が静かに折れていく音を聞いていた。
ただいまぁ
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ばーい
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ぬいぬい
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#下手なりに頑張る
ぬいぬい
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コメント
1件
挿絵画家の「言葉にならない感情や痛みに『色彩』を与える」という設定、すごく好きです。その圧倒的な悪意の表現が、まるで読んでいるこっちの視界まで塗りつぶされるかのようで、ぞっとしました。ルービックキューブすら握れない絶望感と、主人公の“折れていく心の音”が切なくて……。この重さからどう立ち直るのか、続きが気になります!