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いやあ、昨日は酷い目に逢った。
あれ程の目に逢ったのは、上泉師匠の、
「我が剣は天地と一つ、故に剣は無くとも良いのです」
と言う教えに、反抗して、太刀と弓と薙刀と火縄銃で挑んで、薙刀を払い飛ばされ太刀を奪われて慌てて弓を構えた所で脳天から唐竹割りされ、未熟者扱いされ、
以降30日程藁束に括りつけられ、門下生の練習台にされた時以来……
あれ、割と最近……?
取り敢えず嫌な思い出を振り払って、1階に降りて、リビングに向かうと、
「おはようございます!旦那様!」
と蛭子ちゃんが、続いて母さんが
「あら守、おはよう。アンタ、良い娘捕まえたわねぇ、今日の朝食はこの子と二人で作ったのよ」
「は、はい。頑張って作りました!美味しく出来ていれば良いのですが……」
「姉さんが作った料理が美味しくない訳ないでしょう?」
淡島ちゃんはテレビの前に居た。
昨日は何だかんだとイロイロあったが、エインセルによる現代基礎知識のアップロードは上手く行ったようだ。これなら今日は行けるか……!?
「父さん、例の書類だけど……」
「ああ、もう行くのか?大丈夫なのか?結構合格率は低いらしいが……」
「うん、昨日は色々あったけど、一般常識が憶えられているなら通るはずだからその辺りは役所に向かいながら確認するつもりだよ。ダメそうなら今日は自分の手続きだけで終わらせるから」
「そうか。後、この間の報酬の件だが大半は父さんたちが預かっておくって事で本当に良いのか?」
「うん、事業を本格的にする時は必要になるかもしれないけど、あんな大金持っていたら血迷って変な事に使いかねないし、大きな金額を使う時は二人に相談してからにしようかと」
「そうか。それはそうと、もうご飯食べないとな。黄泉大毘売命ちゃん、5時に起きて母さんと一緒に朝食と昼の弁当作っていたぞ」
「ジャンヌちゃんも手伝おうとしていたけど、現代の調理器具は扱いに慣れていないようでな……」
神様も慣れてはいないんじゃないかなー……
そして向かった食卓では。ご飯とみそ汁、ベーコンエッグな目玉焼きと、オムレツ……オムレツ? うん。オムレツ。
俺の席に在ったのはオムレツだが、テーブルの隅の席で俯いて丸くなっているジャンヌちゃんの前のは、
オレ外道オムレツコンゴトモヨロシクなやつだったので、自分のオムレツとジャンヌちゃんの墨塊を半分に割って、
お互いの分を半分こに交換する。した。
「ま゛も゛る゛ざん゛~~」
ええい、朝から号泣するな。鬱陶しい。
父さん母さんもニヤニヤしない!
蛭子ちゃんは人の右腕の服の裾を摘まんで上目遣いで何を訴えかけているのかな?
「蛭子ちゃんも朝早くから母さんを手伝ってくれてありがとう。君が作ってくれた現世風の料理は初めてだけど、見るからに美味しそうだね」
困った時は取り敢えず褒めてみる。
今回は正しかったようで、蛭子ちゃんが両手で口元を抑えて目を見開くと、パアァ、と言う感じで彼女の背後から後光が……
「守、イチャついていないで早く食べないと折角のご飯が冷めるぞ」
「あらあら、お父さんったら。私達の新婚時代もああだったのに………思い出したら恥ずかしくなったのかしら?」
蛭子ちゃんが興味本位で聞きたそうにしていたが、彼女の口に指をあてて顔を横に振ると言いたい事は伝わった様で、若干顔を赤らめながらコクコクと頷いてくれた。
蛭子ちゃんが一人の時に聞く分には止めないけど、一旦質問したが最後、馴れ初めから結婚に至るまでの一大スペクタクルを”見せられる”。
そう、聞かされるだけじゃなくて見せられる。二人語りから始まって、アルバムに綴った写真とビデオテープからDVDに焼き増した結婚式の映像まで見せられる。
今日は待ち合わせもあるし、聞きたければまた今度一人で聞いてほしい。
「それじゃあ、3人とも9時までに準備しておいてね」
今日は甲正山政府管理講習用ダンジョン施設前で四天王(イロモノ)達と合流して全員一緒にランクアップの手続きをする流れである。
俺はその後、黄泉大毘売命達とジャンヌちゃん・エインセル・佐助の一寸した手続きをするつもりだが。
そして待ち合わせの11時、施設入り口前にて彼らと合流したのだが……
「何か、凄い見られてるね……」
「ああ、俺らが集まり始めてから何か遠巻きに見てくる奴らが出始めてな……」
「何か気分悪いよねー……」
露理葉さんが気味悪げに呟くが、
「エインセルー」
「はいは~い」
「周りの奴らって何か悪意持ってる?俺の勘だと多分そんな事は無いと思うけど」
「無いわね。物珍しさから見ているだけよ。〇×四天王?の集結が珍しいとかどうとか考えているけど」
「だってさ、露理葉さん」
「一寸待って。さらっと師匠のエラくエグい能力を見せつけられても困るんだけど」
「それな」
「小野麗尾君はあとどれだけ手札を隠しているんですかね……同世代の僕らの影がすっかり薄くなりましたよ」
十文字君と神橋君が追撃してくる……
「はっはっは。僕なんて召喚モンスターが凄いだけの一般人+α程度の駆け出し冒険者だって」
「冗談キツイぜ。こないだのスタンピードの映像見たけどデケエ猪の首を右手で切り飛ばしていたじゃねぇか」
「あの映像見たDM社の俺の担当からオメエに顔繋いでくれって鬼の様に連絡が来てんだが」
「ああ、しばらく学校も休校だし、明日以降ならいつでも大丈夫だって伝えていいよ」
「おう、じゃあ、今日の用事の後、連絡するからちょっと時間作って貰っていいか?」
「いいよ、僕はこの後も用事があるからその後でよければだけど」
「おう、サンキュ!」
等々適当な雑談やら近況報告やらした後、纏まって施設に入る。
受付で全員ランクアップの手続きに来たことを伝えると、初回講習の時に使われた部屋に通され、待つ事しばし、
初回の時とは別の職員の人が来て今日の説明を始めた。
まず全員の冒険者証を預けてEランクへのランクアップの手続きをしてもらい、その間、ランクアップに伴う諸々の説明を受ける事に。
・冒険者証明書にクエスト・ミッションが見れる追加機能の説明及び・これらの意義として近年増加するダンジョンに対する冒険者の義務云々~
・貢献不足によるランクダウンの可能性がある場合はミッション画面で通知がある事
・Dランク以上の冒険者には防衛軍の対IFL作戦への参加義務が発生する事
・召喚モンスターに対する召喚制限の制限緩和措置が与えられる事
→Cランクでは最低限の制限(人間への危害の阻止・召喚者から100㎞以内に留まる事)
・Cランク以上から、一定の手続き・試験を経て召喚モンスターに戸籍を作る事が出来る事。(要住所・保証人)
……何でEランクのランクアップの説明でDランク以上の説明が含まれているんだろう。フシギダナー……
そして説明後に帰ってきたはずの俺の冒険者証だけはブラックメタルからシルバーメタリックな輝きにアップデートされて包まれていた。
フシギダナー……
そして、ジト目で見つめてくる四天王(イロモノ)達一旦と別れて黄泉大毘売命達とジャンヌちゃん・エインセル・佐助の手続きを受付をして試験室に放り込んだ後、しばらくして回収・食堂に先行していた四天王(イロモノ)達と再度合流した。