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【第五話】新しい世界
どれくらい眠っていたのだろう。目を開けると。また空を飛んでいた。
「前と同じだわ。でも着地しないと。どこがいいのかしら…あそこがいいわ。
あそこはたしか五号館だわ。いきましょう。」
私は目的の場所にたどり着いた。
「ここはどこ? 校舎が多いわ。学校みたい…大学ね。料理系みたいだわ。
この状況だと大学二年生ね。つまり成人式が近いってことだわ。
まずは何かあったらいけないから仲間を作らないと。あいつから逃げるために。」
私が歩き続けていたとき。
声がした…。
「おはよう。」
振り返るとショートカットの髪をした少女が立っていた。
私は尋ねた。
「あなた誰?」
「何言ってるの? 私よ。人美だよ。」
「人美?」
私は現代の大学時代を思い出してみた。その瞬間、私が彼女と友たちだったということに、
そして一緒にご飯食べたりしていたこと。そして、大好きな事務の職員とお話ししたり、
三年の時にゼミの先生に図書館のインターシップに参加させていただいたりしたことを思い出した。
(それが、私がたどり着いたこの世界と同じだということに。)
「覚えてないの?」
「覚えてるよ。だって初めてできた友だちですもの。ところで香奈梅ってさ。
空から降ってきたんでしょ?」
「なんで私が空から降ってきたってわかるの?」
「見たからよ、降ってくるの。それに香奈梅ちゃん、そんなシンプルな服着てないし。」
「さすが私の親友ね。人美の言うとおり、私が空から降ってきたのは確かよ。
服装が違うのも。でも自分で飛びたいって思って飛んではいないの。」
「どういうこと? 私には魔法をかけられたようにしか想像がつかないんだけど。」
「確かに。魔法かもしれない。でも本当のことを言うとね。
悪の魔法にかけられ現代から過去の世界に飛ばされた。」
「誰に飛ばされたの?」
「願い主」
「ひどいことをするわね。邪悪な願い主はどんなことができるわけ?」
「人を殺したり、時空へ飛ばしたりする。それ以外は知らない。
だからこの世界で幼なじみを見つけ、奴らを倒し、この世界から脱出し元の世界に帰るの。」
「待って一人じゃ無理よ。」
「大丈夫。仲間がいるわ。」
「そうだけど。誰がいるの。」
「豊田先生と愛野美由紀先生と赤城先生、原井、三保、佐藤亜由美ちゃんがいるわ。
私が掛け合うからついてきて欲しいの。」
「わかった。でも私たち人間よ。」
「例えそうであっても絆があれば勝てるの。そしたら私はこの世界から去り、
別世界で救いを求め合い、帰ることができるから。もし足止めされたら? 」
「誰かに私たちと力を合わせて戦っても相手が強かったらの話。その時は彼に助けてもらうわ。」
人美は尋ねた。
「彼って誰? 香奈ちゃんの恋人?」
「違うわ。幼なじみよ。幼少期の頃から一緒だった浩雪君よ。
彼はね。未来から降ってきた私を助けてくれたの。」
「そうだったの。その人、今でも助けてくれてるの?」
「そうだよ。彼はね、私が別の空間に連れて行かれたときも、
別の空間から救い出す道を作ってくれたの。彼は強いわ。」
「私をこの場所に命がけで戦って、守りながら私を連れてきてくれたの。未来の世界に。」
「そうだったの。ごめんね。変な勘違いして。」
香奈梅は言った。
「気にしなくていいわ。それより仲間を集めましょう。」
「うん。ねえ、どんな奴が襲ってくるの?」
「悪魔ね。そんな悪魔、私が退治する。でも契約は結んでるの。
この世界だけの恋人でいようと。それが彼との契約。」
人美は言った。
「なるほど。でも戻っても恋人でいようとは思わないの?」
「そんなことはない。友だちでいようという約束はしたわ。目印はしてるわ。」
人美は尋ねた。
「どんな目印?」
「喉に目印よ。そうしないと戻れない。だから私は彼といないといけないの。」
「じゃあその彼も後から行けるのね。」
「彼は来ないわ。」
「どうして?」
「いざという時にしかこちらに来れない。彼の力は私を守るための力。
だからこの世界の時空の道に私を連れてくることしかできなかったの。」
「そうだったの。でもどういうときに現れるの?」
「私に何かあったら。だから今は自分の力で歩くしかないの。だから力を借りたい。」
「納得したわ。じゃあまずはどうしようか。」
「力を持つ少女がいるわ。その子は私がいた世界でも支えになってくれた人なの。
性格はまじめで明るく、優しいけどすごく頭がいいのよね。」
「頭脳的な力を持つ人よ。同じ学科よ。急ぎましょう。食堂にいるはずよ。」
「いいわよ。何ていう人?」
「佐藤亜由美ちゃんよ。」
「どんな力を持つの?」
「それは知らない。向こうでは普通の子よ。この世界では知らないけど…
でもまじめな子は確かよ。」
「そうなんだ。」
私達はその子がいる聖徳天にいった。
「いたいた。亜由美ちゃん。久しぶり。」
亜由美は言った。
「久しぶりじゃなくてはじめまして、でしょう?」
香奈梅は言った。
「なによ。昨日会ったのに。」
亜由美は言った。
「別人だから。それに昨日会った香奈梅はそんな格好してないし。」
「すごいね。亜由美ちゃんは」
「…別に」
「あっ、紹介するね。私の友だちの人美。教育学科の。」
人美は挨拶した。
「よろしく。」
亜由美は言った。
「はじめまして、佐藤亜由美です。よろしく。」
人美は頷いた。
香奈梅は亜由美に言った。
「早速の話だけど私、亜由美ちゃんの言うとおり別世界から来た香奈梅だよ。」
亜由美は言った。
「ほらな。」
香奈梅は言った。
「でも自分で来たわけじゃないから。」
亜由美は言った。
「確かに。誰かの攻撃で来たんでしょ。それをする奴は何でも願いどおり変える敵。
願い主でしょう?」
香奈梅は驚いて言った。
「ちょっと! なんで詳しいの。まだ何も話してないのに。」
「そうだよ。」
亜由美は言った。
「決まってるだろ。私はあいつと強敵同士なんだぜ。」
香奈梅は尋ねた。
「どういうこと?」
亜由美は言った。
「簡単に言うと、あいつは時空と君を自由自在に邪悪に操ることができる。」
香奈梅は言った。
「亜由美ちゃん。話してくれてありがとう。あなたなら力になってくれるって思ってる。
だから力を貸してほしい。」
亜由美は言った。
「なるほど。まずは仲間だな。私は力貸すけど。彼女の力も必要だし。」
香奈梅は言った。
「三保を探さないと。」
人美は言った。
「その人を探しに行くのね?」
香奈梅は言った。
「学生会に所属してるはずよ。この時間だと授業前よ。行きましょう、彼女を探しに。」
人美は言った。
「これで仲間が私と亜由美ちゃん、合計二人になったね。」
亜由美は言った。
「これだけじゃだめだ。まだまだ集めないと。」
人美は言った。
「そうだね。この戦い、終わること可能なの?」
亜由美は言った。
「可能だろ。今度は倒す。だって奴と同じ能力持ってるし。逆に言うと、
私は時空を自由に操り、香奈梅を元の世界に戻せるってことだよ。」
人美は言った。
「なるほど。前に戦ったことあるの?」
亜由美は言った。
「あるよ、時空間で。陣取ろうとしてきたけど、私の方が強かったから。
奴は撤退し新たな支配の道が作った。だから今度は私が押され、時空は半分になった。
まあ時空は私が作り上げたようなものね。」
香奈梅は言った。
「それが原因で私、未来から消えたのね。」
亜由美は言った。
「うん。ごめんよ、巻き込んで。」
香奈梅は言った。
「いいよ。そのおかげで幼なじみと会えたし。」
亜由美は言った。
「まじで! じゃあ、例の救世主に!」
香奈梅は言った。
「まあね。でもまた助けてくれるの、この世界で。で、亜由美ちゃんにお願いがあるんだ。」
彼女は尋ねた。
「なに?」
香奈梅は言った。
「成人式の世界に連れて行ってほしいの。彼に会わないといけないから、帰るために。」
亜由美は言った。
「いいけど。今の私の力じゃ無理だけど、仲間と身内と君をここまで連れてきて
くれた彼にも頼まないと。」
香奈梅は尋ねた。
「どうやって?」
亜由美は言った。
「まずは先生に頼んでみるんだ。きっと力になってくれる。
他の奴はそれから集めればいい。先生の力は特別だから。」
香奈梅は言った。
「わかった。あと頼むね。」
亜由美は言った。
「おう。俺たち、ここで待ってる。」
香奈梅は言った。
「ちょっと待って。行く前に聞きたいことがあるの。」
人美は言った。
「なに?」
香奈梅が尋ねた。
「蘭ちゃんは、どうして言葉がおかしいの?」
人見は笑いながら、「ああ、それね。亜由美ちゃん、兄が二人もいるからその影響かもね。
でも亜由美ちゃん、女らしいところもあるから大丈夫。」
「そうなんだ。」
香奈梅は言った。
「じゃあ私、行くね。」
人美は頷いた。
私は笑って先生の元に行った。
亜由美は言った。
「私たちも行こう。私たちからも頼めば信じてくれるはず。」
人美は言った。
「そうね。行こう。」
人見と亜由美は香奈梅が向かった事務所に行った。
「こんにちは、豊田先生。」
先生は言った。
「こんにちは。あれ? 香奈梅さん、服装変わった?」
香奈梅は言った。
「うん。でも先生は変わらないね。」
先生は言った。
「ですね。それで、授業の単位は取れていますか?」
香奈梅は言った。
「まだ取れていないのが必修科目に何教科か残っています。」
先生は言った。
「卒業は難しいですね。あと半年ですよ。」
香奈梅は言った。
「知っています。」
「よろしい。それで、今日は何しに来たの?」
香奈梅は言った。
「先生に助けてもらおうと思って来たんです。」
先生は言った。
「そうですか。内容によりけりですが、私が何を助けるの?」
香奈梅は言った。
「私、時空に行きたいんです。」
先生は尋ねた。
「難しいことを言うんですね。ちなみにどうして時空のことを知ってるんですか?」
香奈梅が答えを考えていたその時、亜由美たちが来た。
「着いたぜ、人美。あの先生に声をかけてみてよ。そうすれば道は開ける。」
人美は頷いた。そして先生に声をかけた。
「…先生。」
私が後ろを振り返ると亜由美たちが立っていた。
「亜由美ちゃん。」
亜由美は先生に言った。
「私達は彼女を助けたいと思っています。」
先生は言った。
「あなたたちは?」
亜由美は言った。
「香奈梅の友だちの亜由美と人美です。香奈梅はこの世界の人ではないです。
それは先生もご存じのはずです。」
先生は言った。
「そうですね…。」
亜由美は言った。
「香奈梅は化け物により飛ばされてここに来たのです。幼なじみの助けを借りて。
今も香奈梅は家族や友たちの力を借りながらここにいます。香奈梅を助けてください。
私達も香奈梅を助けるためにここにいるんです。」
香奈梅は言った。
「みんな…。先生、お願いします。時空のことは聞いたことがあるでしょう?」
先生は言った。
「そうですか。わかりました。ではみなさんを信じて助けてあげましょう。」
香奈梅は言った。
「では助けてくれるんですね。ありがとうございます。」
先生は言った。
「けれど先生の力には難点があるんですよ。」
香奈梅は尋ねた。
「難点とはいったい何ですか?」
「先生は別の時空で瀕死状態になっている人を助け、力を与えることしかできないの。
仮に、もしけがが癒えて歩けるようになっても、その世界を出ることができない。連れ出すことも。
本人の力と最も大切な人の救いがないと不可能なの。ごめんなさい。」
香奈梅は言った。
「それでもいいです。助かります。」
先生は笑って言った。
「ええ。生徒のためなら何でもしますよ。ではまた連絡ください。」
香奈梅は頷いた。亜由美は言った。
「これで一人確保ね。」
「そうね。じゃあ後は三保ね。たぶんまだ食堂にいるはず。行ってみよう。」
「先生ありがとうございました。また連絡します。」
先生は頷いた。
私達は食堂を目指した。そして、食堂にたどり着いた。
「こんにちは、香奈梅。ずいぶん変わった服着てるね。褒めてるのよ、これ。」
振り返ると少女が立っていた。
「ちょっと気になってただけ。」
私は少女に言った。
「これ未来の服よ。」
少女は言った。
「だと思ったよ。見かけない服だから。」
亜由美たちは少女に言った。
「私たちさ、香奈梅の付き添いで動いてるんだ。」
少女は尋ねた。
「そうなんだ。それで、みんなしてどうしたの?」
亜由美は言った。
「君には関係ない。行こう。」
少女は言った。
「…わかった。」
香奈梅は頷いた。
私たちは再び事務室の前に行った。その時、先生が再び声をかけてきた。
「香奈梅さん。」
香奈梅は言った。
「先生。先ほどはありがとうございました。」
先生は言った。
「いいえ。何かできたらと思って言っただけです。」
香 奈梅は言った。
「先生。ありがとう。」
先生は言った。
「力不足ですが助っ人に沙織先生も連れて行くよ。赤城先生は扉を開けることも
できるから連れて行くよ。三人先生がいれば安心でしょう?」
亜由美は言った。
「ありがとうございます。」
先生は尋ねた。
「いいえ。それで決行はいつですか?」
香奈梅は言った。
「あしたの十二時です。池の前です。扉の入口が開きそうな場所なんですが、
明日お伝えします。今、亜由美ちゃんが調べてくれています。」
先生は言った。
「了解です。」
香奈梅は言った。
「それと、あと二人来ます。原井三保ちゃんと美由紀先生が来てくれます。」
人美は言った。
「赤城先生は調理の先生よ。きっと力になってくれるはず。」
香奈梅は言った。
「そうよね。」
先生が言った。
「ただし、卒業単位も取ることですよ。」
香奈梅は言った。
「わかっています。ではまた明日会いましょう、先生。」
「では、また明日。赤城先生にはあなたたちが頼みに行くといいですよ。
明日は連れて行きますけど。」
人美は言った。
「わかりました。」
事務室を私たちは去った。香奈梅は言った。
「ひとまず揃ったかな?」
人美は言った。
「いや。あと一人赤城先生が。紗綾と豊田先生は揃ったけど。三保もなんとかなるわ。」
人美は言った。
「そうね。とりあえず実習室に行こう。」
私は頷いた。
実習室にたどり着いた。
「ほら、席についてください。」
私たちは赤城先生のところへ行った。
「先生、こんにちは。あの、話があるんですが。」
赤城先生は言った。
「授業が終わってからです。」
香奈梅は言った。
「はい。わかりました。」
亜由美が来た。
「何やってるの、香奈梅?」
私は言った。
「授業を受けないと聞いてくれないみたい。」
亜由美は言った。
「わかった。人美、あんたは自分の授業を受けに行っててくれない?
終わったら合流よ。五号館で合流ね。」
人美は言った。
「わかったわ。」
授業が始まった。
亜由美は三保に授業中に尋ねた。
「三保、ちょっと聞いていい?」
「なに?」
「剣だよ。ただし、もし手伝えるなら魔法になるけど…。」
亜由美は言った。
「その魔法戦争だよ。」
三保は言った。
「じゃあやるよ。私の能力はこの剣よ。召喚魔法少女も出せるのよ。」
三保は剣を出してくれた。
「手から剣が出てきた。どうやって手から剣が?」
三保は言った。
「それはね、私は、昼間は勇者で朝は普通の学生なの。でも学生が本来の姿なのよ。」
亜由美は言った。
「へー。いろんな姿するんだ。」
三保は笑って言った。
「これは勇者の剣。人助けの剣だけど、敵を倒すのにはちょうどいいかな。」
香奈梅は言った。
「どう? 役に立つかな?」
b三保は言った。
「立つわよ。」
亜由美は言った。
「三保は強い。前回の戦いも助けてくれたから。」
香奈梅は言った。
「そうね。亜由美ちゃんの言うとおりだわ。三保ちゃん、じゃあ明日、あの池の前に来て。
明日詳しいことは連絡するから。」
三保は言った。
「了解。ねえ、どうしてそこまでするの?」
香奈梅は言った。
「世界を浩雪君が救ってくれるから。」
三保は言った。
「なるほどね。」
一方、反対側の世界では大学生の浩雪が空に向かって香奈梅に想いを伝えていた。
「君が望み過ぎたら君を返せなくなり、君はこの世界に閉じ込められるはめになる。そんなの僕は嫌だよ。
だから俺を信じてくれ。別の空間にいるんだろう。香奈梅、もしいるのならこの場所まで名前を呼んでくれ。
香奈梅…俺は君を救いたいんだ。」
一方、私は三保の話を聞きながら窓を見ていた。
誰かが私を呼んでる声が聞こえたからだ。
「浩雪君…。」
新たな仲間達と共に願い主と戦う日が近付いていた。
三保は私の様子が変だと思い、肩を叩いた。
「香奈梅、香奈梅!」
私は我に返った。
「なに?」
三保は私の様子が変だと思い、肩を叩いた。
「香奈梅、香奈梅!」
私は我に返った。
「なに?」
三保は言った。
「どうしたの。ボーっとして。なんか名前呼んでたけど。」
香奈梅は言った。
「なんでもない。誰かの声が聞こえたような気がして…でも、気のせいだったみたい。」
三保は言った。
「そうなんだ。それよりこのあと先生と打ち合わせよね。何があるの?」
亜由美は言った。
「明日のことだよ。」
三保は言った。
「わかった…どうすればいい、私?」
「とりあえず、授業が終わったら一緒に来て。まず授業が終わってからね。」
「わかったわ。」
「私さ、人美のところに行ってくる。明日の打ち合わせ。すぐ戻る。」
香奈梅は言った。
「うん。気をつけてね。」
亜由美はうなずき、人美のところへ行った。
人美はまだ近くにいた。
「人美。」
人美は振り返って言った。
「亜由美ちゃん。どうしたの?」
亜由美は言った。
「明日十二時に池の前で集合だ。それと先生が二人参加する。あと、原井三保も参加する。
先生はこれからするところだ。」
人美は言った。
「わかった。明日、予定どおり行くね。」
亜由美は言った。
「ああ。よろしく頼む。」
「うん。あっ、香奈梅。私、子供教育の授業があるから行くね。また明日。」
亜由美は言った。
「うん。また明日。」
亜由美は人美と別れ、授業に参加した。
「今日は何作るのかな?」
亜由美は言った。
「あっ、今日はハンバーグとプリンだよ。あと炒飯かな?」
香奈梅は言った。
「じゃあ私、プリン作るよ。」
亜由美は笑って頷いた。
私は思った。
( ああ、こんな世界でみんなと過ごすのも久しぶりだな。ずーと過ごせたらいいのに。)
…声がした。
( そんなふうにのぼせたらだめだ、香奈梅。)
私はあたりを見渡しながら尋ねた。
「懐かしい声…。誰?」
彼は言った。
「俺だよ。」
「浩雪君…。」
「ああやっと連絡がきた。今、俺は君を助けるために世界を光で包み込んでる。
ああ、時間がきた。また後で話す。」
私は手を伸ばし叫んだ。
「ちょっと!」
声は消えた。
三保が来て私に言った。
「香奈梅、今誰と話してたの? 叫んでたけど?」
香奈梅は言った。
「別に…話してないよ。」
三保は言った。
「いやさ。行動が止まっていたときがあったから。もしかして過去の人と話してたかなって。」
香奈梅は頷いた。三保が尋ねてきた。
「なんて言ってたの、その声の人?」
「話はそれからだ。また後で必ず連絡するって。」
「わかった。それってなにか事件が起こりそうってことかもよ。」
「…うん」
料理とプリンが完成した。
「おいしい。香奈梅が作ったプリンも美味しいぜ。」
香奈梅は言った。
「本当? ありがとう。」
亜由美は言った。
「お菓子作るの好きなんだな。」
香奈梅は笑って言った。
「お母さんが作ってるからかな。」
三保は言った。
「親の影響か。じゃあ将来はお菓子屋にでも勤めるの?」
「違うよ。掃除だよ。」
亜由美は尋ねた。
「なんで掃除? もしかして香奈梅、未来では掃除の仕事についてるの?」
「…うん」
亜由美は言った。
「だからか。いいよ、その答えで。帰る道が開けるなら。なあ、三保もそう思わない?」
三保は言った。
「まあ、さっきも話したからいいか。」
亜由美は言った。
「…まあね。人と話してるのかなって思ってさ。」
香奈梅は言った。
「亜由美ちゃんには隠せないよ。亜由美ちゃんの言うとおり、過去の人と通じてたんだ。」
亜由美は言った。
「もしかして例の契約した幼なじみ?」
香奈梅は頷いた。三保は言った。
「で、なに話したんだ?」
香奈梅は言った。
「まだ。でも彼は今、光をこの世界に送り続けてるの。私の帰る道ができるように。
それが仕事らしいよ。」
三保は言った。
「なるほどね。で、他には?」
香奈梅は言った。
「また後で話すと。授業が終わってから。」
三保は言った。
「了解。私たちも香奈梅を助けるから、聞く権利はあると思うの。聞いてもいいかな?」
香奈梅は笑顔を振り巻きながら言った。
「もちろんよ。」
亜由美は言った。
「サンキュー!」
【授業終了後】
私たちは先生のいるゼミ室に行った。
「先生、お願いがあります。」
先生は言った。
「授業が終わってからでしたね。用件はなんですか?」
香奈梅は言った。
「私を助けてください。」
先生は言った。
「急に言われても困るわ。原因を言ってからにしてもらえない?」
亜由美は言った。
「原因ならあります、香奈梅に。根拠は香奈梅がこの世界の香奈梅でないことです。」
赤城先生は言った。
「それが原因ですか。ではどう助けてほしいの?」
香奈梅は言った。
「道を作る手助けをお願いしたいのです。」
赤城先生は言った。
「わかりました。でしたら、協力します。大した能力ではありませんがよろしいですね?」
亜由美は言った。
「構いません。」
赤城先生は言った。
「ありがとう。ではまた明日。」
私たちはお辞儀をしてゼミ室を後にした。
【帰り道】
「緊張したよ、先生と話するの。」
亜由美は言った。
「まあしょうがない。でも協力してくれるんだし、ありがたいじゃん。」
香奈梅は言った。
「うん。」
三保は言った。
「ねえ、例の幼なじみから連絡きた?」
香奈梅は言った。
「まだだよ。でももう来ると思う。」
再び声がした。
私は耳を澄ませた。
「浩雪君…。」
彼は言った。
「その声は香奈梅か。すまん、敵の影響で連絡がうまく通じなくて時間かかった。」
香奈梅は言った。
「いいよ。だって私のために動いてくれてるんだから、罪ないよ。」
彼は言った。
「ありがとう。ところで現状報告を頼めるか。今どんな様子だ?」
香奈梅は言った。
「仲間を集めたところ。で、明日みんなで別空間の入口の扉を開く予定。」
浩雪は言った。
「そうか、順調だな。今から君の援助に行く。」
香奈梅は言った。
「大丈夫だよ、私は。」
彼は言った。
「大丈夫じゃない。危険なんだ。」
香奈梅は言った。
「どういうこと?」
彼は言った。
「光の糸が出ないからだ。」
香奈梅は驚いた。
「そんな!」
「おそらく奴の仕業だ。」
香奈梅は窓を眺めながら言った。
「願い主…。」
一方、願い主は別空間の支配を考えていた。
時空間】
「さあ我が妹よ。邪魔者は消えたわ。セイ二ア、一緒に彼女を殺し、迷宮に封印しましょう。」
セイ二アは言った。
「はい、お姉様。さあ参りましょう。おほほ…。」
その戦いは終りが来るのだろうか。未来と過去に…。
香奈梅は仲間と浩雪君とともに兄を救うことができるのであろうか。
姉と連絡を通じ合うことができるのであろうか。
運命の闘いが迫っていた…。
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