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この世界には、ヴィランが沢山存在する。各々がヴィランになることを望み、力を得るために物体と契約を結んだ。そんな正義と悪が曖昧な者、世界をどうぞご覧あれ。



一面に咲き誇る怪しげな蓮華畑の中に寂しげに建っている屋敷があった。そんな屋敷に客人が訪れたのはまだ夜明け前の頃。

トントン

ドアをたたく音に今や屋敷の主人である年若い少年はまどろみの中にいる己の脳を起こしながら玄関へと向かった。扉を開けるとそこには艶のある銀の髪を斜め横にだんごのようにまとめ、同じく銀の瞳をした女性が1人立っていた。

「どちら様ですか?」

「君はこの屋敷の主人?」

怪訝そうに少年は彼女に問いかけたが、問いには答えてもらえなかった。

「えぇ。そうですけど何か?」

そう答えると彼女は寂しげな表情をその美しい顔に浮かべ、言った。

「あの噂は本当だったのね。あぁ、悲しいことだわ。」

少年には、訳がわからずもう一度何者なのか尋ねた。

「ごめんなさいね。私はアミル・シルヴァー。アミルと呼んでちょうだい。ここは蓮華の魔女の屋敷よね?私は彼女の友人だったの。」

「えぇ。ここは蓮華の魔女の屋敷ですよ。今はもう、魔女はいませんけど。」

「魔女狩りに殺された魔女」

アミルが少年の言葉に一言呟くと少年はアミルを睨み付け、警戒する眼差しを送った。

「あら、そんなに警戒しないで。私はあなたの敵ではないわ。話したいことがあってきたの。中にいれてちょうだい。」

少年は半信半疑だったが、必死に訴えかけてくる瞳におれ、彼女を中に入れた。



「どうぞ」

ぶっきらぼうだがアミルを応接間に通し、茶を差し出した。

「ありがとう。でも、私、毒を飲む趣味は生憎ないのよ。」

アミルは茶を一瞥した後、微笑を浮かべながら茶を突き返した。

「よく気づいたな。流石は蓮華の魔女の友人。」

「信じてくれた?」

「いや、あんたを信じる気はない。」

「残念ね、ふふ。」

少年が嫌味たらしく毒入りの茶を肯定するとアミルはまた笑みをうかべた。

「さてと、本題に入らせて頂くわね。私は蓮華の魔女ことコゼットの友人だったわ。あの蓮華畑もこの屋敷もコゼットが大切につくったもの。そして、あなたは数年前にコゼットに拾われた戦争孤児よね?コゼットはあなたを大切に育て、愛していた。自分の命を差し出すほどに。」

「やめろ!!」

少年は、アミルの言葉を遮るように叫んだ。

少年は蓮華の魔女のことを母のように慕っていた。だか、彼女は少し前に魔女狩りによって亡くなっていた。

「あぁ、俺は母様に拾われた孤児だ。俺の名はアレン。実の両親が失くなったときに拾われた。母様は俺を最後まで助けてくれた。そして、死んだ。俺のせいだ!お前は俺のせいで母様が死んだって言いたいんだろ!」

頭を抱え込み、縮こまるアレンの肩に手を置き、アミルはそっと言った。

「いいえ、あなたのせいではないのよ。コゼットはあなたを守りたかった。私は真相が知りたくて来たの。悪いのはあなたじゃない。悪いのは…魔女狩りの兵士たちに密告した裏切り者よ。」

その声は穏やかだったが、表情は穏やかではなく、怒りが滲み出ていた。アレンはその怒りが自分に向けられているものではないことを分かっていたが、彼女の表情や最後の言葉に驚き、目を見開いていた。

「どういうことだよ!」

アレンはアミルにつかみかかった。アミルはそんな態度に怒りもせず、唯々冷静に事の経緯を語り出した。

「まず、改めて自己紹介するわね。私は、アミル・シルヴァー。またの名を銀の花の魔女よ。名の通り、銀の花を司る魔女でね。コゼットとは、ずっとずっと昔からの仲だったの。コゼットは、昔から警戒心が人よりちょっと強くて、ここに屋敷を建ててからは彼女が心を開いたものにしかたどり着けないように結界を張っていたわ。あなたも知っているでしょう?蓮華畑の周りに強力な結界が張られていたことを。そして、それは先ほど言ったように極一部の者にしか道を示さない。だから、あの日兵士たちがここに来れたのは可笑しいのよ。コゼットは力が弱まっていた訳ではなかった。だとしたら、急に結界が切れはしない。何者かの介入がなければ。その何者かはこの場所に入れた者。すなわち、裏切り者よ。」

アレンは頭を殴られたような感覚だった。何故、自分はそれを今まで気づくことが出来なかったのか。コゼットの身近にいてずっと一緒に過ごしていたのに。自然と涙が出てきた。”あの時”以来涙を流すことはなかったのに。この涙は悔しさ故か、突然現れた裏切り者への憎しみ故か理解するには情報が多すぎた。困惑するアレンを宥めるためか、本来の主人を恋しく想いてか、外の蓮華畑の花々は風に揺れ、いくつかは花びらを屋敷の方へと飛ばしていた。

「アレン。辛いことを言うけれど…お願い。コゼットが殺された日のことを教えて。」

アミルの真剣な眼差しにアレンは少しずつ口を開いた。

「あの日、俺たちは…コゼットは…。」





あとがき

はじめまして!結~むすび~です!今回初投稿で変なところもあると思いますが、温かい目で読んで頂けると嬉しいです!作者は豆腐メンタルなのでどうかお手柔かにm(_ _)m

本作品は駄作ですが、もし続きを!という奇特な方がいらっしゃれば、書いていきたいと思っています。機会があれば、よろしくお願いします!長々とお話ししましたが最後まで読んで頂き、ありがとうございました!

では、次回はもしもがあれば、アレンとコゼットの過去の話を中心に書いていこうと思います!


see you again !

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