テラーノベル
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アカネは、未来のアカリと並んでスクラップゾーンを進んでいた。歩きながら、ふと思う。
「ねえ、“未来のわたし”って、何年後のわたしなの?」
「正確には“数週間後”。だけど、その世界線は、まだ確定してない。」
「世界線……?」
「うん。あなたがどんな選択をするかで、未来は分岐する。でも今、このままだと――世界そのものがクラッシュしかけてる。」
「クラッシュって、ネットの話じゃなくて……?」
アカリは無言でうなずいた。
やっぱり、この異変は現実にも影響してる。
「だから、一緒に調べよう。原因の中心に近づけば、わかってくるはず。」
そのとき――バシュン!と空間がまた歪んだ。
目の前に現れたのは、崩れたデータの山。その中から、一本の青い柱のような光が立ち上がっていた。
「なにこれ……?」
「データの“断片”。たぶん、あなたの記憶が一部、ここに流れ込んでる。」
アカネは近づいて、そっと手を伸ばす。
*ピコン*
光がはじけて、映像が空中に浮かび上がる――
中学の教室。窓際で泣いてる、ひとりぼっちの自分。
「……これ、わたし?」
「うん。あなたが《Re:Layer》を初めて知ったきっかけの記憶。」
アカネの胸に、ぽっと小さな灯がともる。
「あのときのわたし、すごく寂しかったけど……ネットの世界で、誰かに話しかけてもらって、すごく救われたんだ。」
「そう。その“気持ち”が、世界をつないでる。
バグじゃなくて、“想い”が世界を混ぜ始めてる。」
ふたりは顔を見合わせて、ふっと笑った。
「なんか、ちょっとだけわかってきたかも。」
「うん。少しずつでいいから、前に進もう。」
青い柱の残像が消えると、遠くに浮かぶ都市のシルエットが見えてきた。
あれが、次の目的地――《Layer:ゼロ》
ネットと現実の境界が一番薄い場所。
「よしっ、行こう!」
明るい笑顔と一緒に、ふたりの“アカリ”は走り出した。
コメント
2件
おぉ!めちゃ良い!
すご…✨ (創造力すご)