テラーノベル
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朝、目が覚めると、いつもより少しだけ安心してる気がした。見慣れない天井のはずなのに、昨日よりも冷たく感じない。滉斗さん……お兄ちゃんはもういないか。ちゃんと、自分の部屋で寝れたんだ。
「元貴、起きてるか」
タイミングを見計らったみたいに、扉の向こうから声がした。
返事、してみようかな。……うん、起きてるよ
「入るぞ」
カチャ、と音を立てて入ってきたお兄ちゃんは、もう着替えも済ませていて、いつも通りの落ち着いた顔をしていた。でも、少しだけ目の下が暗い気がする。
「ちゃんと寝れたか」
……寝れた、と思う。
本当は何度か目が覚めたけど、それでも、昨日までよりはずっと寝れた気がする。
「そっか。まぁ最初はそんなもんだ」
無理に聞かないのも、優しさなのかな。
「朝飯のあと、少し時間ある。昨日言ってたの、話すか?」
昨日言ってたの?……僕の話するやつか。少しだけ間を置いて、こくりと頷いた。怖いわけじゃない。でも、なにを話せばいいのか分からない。
「今日も裏庭行く~?」
ごはんの後、涼架さんがいつもの調子で言った。
でもお兄ちゃんが、少しだけ首を横に振る。
「悪い、今日は元貴と話す」
「あ、そっかそっか!約束だもんね。じゃあ僕はお仕事してるね~」
本当は寂しいはずなのに、涼架さんはいつも通り笑って、手をひらひら振りながらいなくなった。申し訳ないけど、お兄ちゃんとの約束だから……。
「……どこがいい」
どこって言われても、分からない。僕はどこが良いんだろう。少し迷ってから、ぽつりと答える。
「……お庭の、温かいとこ」
「日向ぼっこか。いいな」
レジャーシートを広げて、二人で並んで座る。
あったかい。風も気持ちいい。しばらく、何も話さなかった。でも昨日みたいな気まずさはなくて、ただ静かだった。
「好きな食べ物は?」
お兄ちゃんがポツリと言った、とても普通の質問に、少しだけ驚いた。好きな食べ物か……フルーツサンド美味しかったな。
「そうか、やっぱ甘いの好きなんだな」
やっぱり、って。あ、あとスブタ?も美味しかったよ。
「そっか」
短い返事なのに、なんだか嬉しそうだった。その顔をみて、なんだか僕も嬉しくなった気がする。
「嫌いなもんは?」
……音、あとピカピカするの
他は耐えれるけど、その2つだけはどうしても、どんなに頑張っても、無理だった。
「……そっか」
さっきと同じ言葉なのに、今度は少しだけ重たく聞こえた。
「怖いものは」
……怒られること。
やっぱり変だったかな。
「……そりゃ怖ぇよな」
少しだけ、ほっとした、笑われるかなって思ったけど、全然そんなことなかったから。
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コメント
3件
続き楽しみにしてます!!
大森さんが若井さんのことを、ずっと“お兄ちゃん“って呼んでいる…!!2人の血の繋がった兄弟という関係性が本物になって欲しいです!!最高です!!