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鷹槻れん

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#極道
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「僕と日織さんが婚約していることは、周知の沙汰ですよ?」
修太郎さんは言いながら、私の左手を持ち上げると、婚約指輪にキスをなさって――。
それに驚いた私は、
「ひゃっ」
ドキドキして、またしても変な声が出てしまいました。
確かにそうなのですけれどっ。だからって急にそれは反則ですっ。
修太郎さんの堂々とした様子に、私は逆に心臓がバクバクです。
修太郎さんと腕を組ませて頂けて、あまつさえ婚約者然と振る舞って頂けるのはとても嬉しいのですけれど、やはり慣れなくて照れてしまいますっ。
余りに恥ずかしくて顔を隠すようにギュッと修太郎さんにしがみ付いた途端、修太郎さんが硬直したようにその場に立ち止まられました――。
「――修、太郎さん?」
きょとんとして彼のお顔を見上げたら、真っ赤になられた修太郎さんが、とても言い難そうに「日織さん……その、……む、胸が……」とつぶやいていらして。
「……むね?」
ぼんやりと修太郎さんのセリフを繰り返した後で、私は彼がおっしゃっている言葉の意味を理解して、
「わわわっ。す、すみませっ――!」
慌てて彼から離れました。
私、照れ隠しに修太郎さんに強くしがみ付く余り、気付かないうちに彼の腕に胸を押し当ててしまっていました……。
あーん。穴があったら入りたいのですっ。
二人で、何とも言えないこそばゆさに赤くなりながら、ぎくしゃくとした足取りで歩く羽目になってしまいました……。
本当に私、粗忽者で申し訳ないのです……。
***
市役所の正面玄関はもう閉まっていたので、私たちは裏手の夜間通用口――西側玄関――から庁舎の中へ入りました。
入るとすぐに守衛室があって、そこで立ち止まられた修太郎さんが、胸ポケットから一葉の書類を取り出されました。そうして私を守衛室横に置かれた机にいざなわれると、机上のペン立てからボールペンをとって、それとともに先の文書を手渡していらして。
「え? これ……」
用紙を広げて見て、私は驚いてしまいました。
「婚姻届です。日織さんのご署名などと捺印があれば、提出できるようになっています」
言われて、手にした紙をまじまじと見つめると、証人欄に修太郎さんのお父様である「神崎天馬」氏のお名前と、「藤原日之進」という、私のお父様の自署が並んでいて――。
「……どうしても今日提出したくて……実は少し前から根回しさせていただいていました。……勝手にすみません」
私がフリーズしてしまったのを見て、修太郎さんが頭をさげていらっしゃいました。
どうしても、今日?
その言葉が気になって、私は修太郎さんを見つめました。
「あの、今日って……」
何か大切な日で、もしかしたら私だけそれを忘れてしまっているのでしょうか? だとしたら……まずいのです。
おろおろしながら修太郎さんのお返事を待つ私に、彼が少し申し訳なさそうなお顔をなさいました。
「今日は……僕と日織さんが初めて出会った日なんです。貴女が覚えていらっしゃらないのは当然です、お小さかったので。なので……今日にこだわるのは僕のワガママです。……その、気持ち悪くてすみません……」
修太郎さんのその言葉を聞いて、私は少しホッとしました。
コメント
2件
記念日もバッチリ織り込み済み!♥
ああもう、修太郎さん…!「今日は僕たちが出会った日」って、そんなロマンチックな理由があったんですね…!全然気持ち悪くなんかないですよ、むしろその執着というか、大事な日にこだわる感じがすごく愛おしいです🥺 指輪にキスされた時の日織さんの「ひゃっ」という反応も可愛くて、胸元が当たって固まる修太郎さんも尊すぎました…この2人、見てるこっちが照れます🤍