到着したのは高級住宅街のマンションの一室。
モデルルームかと思うような洗練された綺麗な部屋だった。
高層階で景色がよく、夜景も綺麗に見えるらしい。
詳しくはこちらに、とマニュアルを手渡され、スタッフは引き上げ、部屋には俺と村上だけが残された。
ちらりと村上を見ると部屋を1つずつ確認し、さっさとクローゼットに自分の服をかけている。
💙「村上」
🤍「はい」
💙「お前、何でそんな馴染んでんの」
🤍「えぇ?せっかくなら楽しもうかなって」
言いながらこんな綺麗な部屋に住めるなんてなかなかないじゃないですか〜と嬉しそうに見渡すけど、俺はとてもそんな気分じゃなかった。
行き場もなくソファに腰をおろしたら、急なイベント疲れでウトウト寝てしまったらしい。
コーヒーの香りで目が覚めた。
🤍「起きました?飲みます?コーヒー」
💙「ん…欲しい」
俺が寝ている間に村上はもう家の中の使い方をおおかた把握したようで、慣れた様子でコーヒーを淹れていた。
🤍「どうぞ」
💙「ありがと…」
当たり前のように隣に座り、ひとまず一緒に映画を見て過ごした。
🤍「渡辺さん」
💙「なに?」
🤍「俺たち新婚夫婦なんですよね、一応」
💙「よくわからんけど、そうらしい」
新婚生活はおいといて、とりあえず村上と1ヶ月共同生活を送る事に関しては始まってしまったのでもう受け入れざるを得ない。
俺の反応に、村上は少し身を乗り出して嬉しそうにこっちを見た。
🤍「じゃあ俺のこと、ラウって呼んでください」
💙「え?」
🤍「村上って、なんか他人行儀でやだなって」
呼び方だけでも距離縮めたら楽しく過ごせるかも、と言う。
💙「ラウ…」
🤍「わぁ、嬉しい」
村上、いやラウに大輪の笑顔の花が咲く。
そんな顔されて断れる奴いないだろと思う。
💙「じゃあ俺のことも…翔太って」
🤍「はぁい♡翔太くん♡」
その後一緒に買い物に行き、お互いの好みを聞いたりしながら今日のメニューを決めてラウがご飯を作ってくれた。
ずっと一人暮らしでサラダばっかり食べて芋虫みたいな生活を送っていたので、ラウの料理は多かったけど心底美味くて久しぶりに食べすぎた。
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!