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#スプランキーOC
ベルリウム
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ベルリウム
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赤は激怒した。必ず、かの邪智暴虐の運営を除かなければならぬと決意した。赤には情勢がわからぬ。赤は、宇宙の流離人である。アイスを吸い、サイヌロプスと遊んで暮して来た。けれども邪悪に対しては、人一倍に敏感であった。
つまりどういうことかというと、カードスワイプを10回成功させないと出られない部屋に閉じ込められた。
「終わった」
絶望そのものである。赤に与える苦難としては最も、あるいはその次くらいに相応しい。
ローテーブルことちゃぶ台に座布団を添えて。和風なそれらに見合わないカードリーダーだけが、異質な雰囲気を放って鎮座している。
赤の手の中にはいつのまにやら薄い板が10枚。嫌というほど見慣れた、例のタスクに使うカードである。
「…………」
生粋の元気っ子たる赤もこれには絶句。赤はカードスワイプを割り当てられてしまった日だけ寝る時間が2時間遅くなることに定評があるのだ。
部屋には誰もいない。依然として気配は赤とカードスワイプの機器のみで、誰かに頼ることも難しいようだ。
そもそもなぜカードを10枚読み取る必要があるのか。これは誰の分のカードなのか。赤は手元のカードを広げ、一枚一枚数えていく。その結果として、カードは10枚あるという事実がより確かなものになった。
深い溜息が部屋に染み渡る。大仰にカードを掲げた赤は、慎重にそれを端末へ差し込み、折れ曲がらないよう慎重に角度を調整した。目を見開く。長年の経験から身につけた時間感覚を基に慎重に、速すぎないよう、遅すぎないよう見極めて。
ビッ
「は?」
赤の口からどす黒い音が零れた。たぶんオレンジが聞いたら卒倒するだろう。
「今のは当たりじゃん!!!」
もちろん自暴自棄になって何度もカードをスワイプしたって、速すぎるというエラーが出るだけである。それと読者の皆さんはご存知だろうが、電子機器はなるべく叩かないほうが良い。
「もうやだ!!」
早くも嫌気が差したものの、タスクを放棄するということはこの空間からの脱出も放棄するということだ。それは敗北に他ならない。
赤はギュッとカードを握りしめた。
その後、リズミカルなエラー音は、いつまでも部屋に響き続けていたとさ。
ちなみに100万年後。
「赤!」
「……あはは……」
かなり元気が消失している赤が、真っ白な部屋から出てきた。オレンジは赤に駆け寄り、お茶を取り出したり苺オレを差し出したりして、甲斐甲斐しく赤の帰還を喜ぶ。
「君なら大丈夫だと思ってたけど、たくさん精神力を鍛えられる試練だったんだね。生きててくれて嬉しいよ。ゆっくり休んで」
「うん……心配してくれてありがとう……」
「今の意味通じるのすげぇな」
水色が横槍を入れたような気もするが、もはやふたりには届いていない。忙しなく己の周りを右往左往するオレンジをじっと見つめる赤。
勇者は苦笑した。
コメント
1件
ベルリウムさん、第16話読みました〜! 「赤は激怒した」から始まるパロディっぽい文体が癖になる…!笑 普段元気な赤がカードスワイプ10回でここまで絶望するの、めっちゃギャップ萌えです😂 「今のは当たりじゃん!!!」って自暴自棄になるところとか、エラー音が永遠に響くオチもツボでした。 100万年後に出てきた赤をオレンジが甲斐甲斐しく世話するシーン、尊い…水色のツッコミも好きです🤍 重すぎず、でもちゃんと時間経過のロスを感じさせる切なさと笑いのバランスが絶妙でした!