テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
⚠グロ、胸糞悪い展開有り⚠
story start…
#璃亜 前編
生まれたときから、私は感情表現が苦手だった。
それに、痛みや空腹、睡眠といった基本的なものを感じない、「不老不死」という、特別な体だった。
今思うと、そこが狙いだったのかも知れない。
数カ月後、知らない大柄の男の人達が家に訪問した。
私の母は、必死に止めようとしてくれたが、投げ払われた。
私は連れて行かれてそのまま、もう何年も会っていない。
連れて行かれた場所は、とても快適な場所だった。
監視員に監視される以外は。
たまに、体を弄られることもあった。
解剖実験で、私の特異体質を研究するつもりらしい。
だが、麻酔も使わないため、天井のシミを数えているだけで、いつの間にか終わっている。
メリットなのか、デメリットなのか…。
そんな私は、ある日国に直接管理・監視される対象になったらしい。
あと、「不老不死」だからという理由で軍事学校にも入学させられた。
まぁ、別にいいけどさ…。
軍の基本的な訓練や、狙撃練習などは他の人よりも、覚えが良く、また、才能があった。
「おめでとう。これで、君は軍事学校を卒業する」
誰かも知らない、おじさんが褒め称えてくれる。
誰だよ…。
それから何事もなく、穏やかな日々が続いた。
しかし、隣国が攻めてきたという知らせに、私は飛び出した。
戦場に付くと、黒煙や焦げ臭い匂い、幾多もの人間の死体…。
それを見ても、私はなんとも思わなかった。
圧倒的に軍事力も人数も技術面も、こちらの方が上。
淡々と相手の頭を銃で狙って、任務を遂行させる。
数日にわたって、反撃をしているうちに、とある、街まで来てしまった。
人影は見当たらない。死体が転がっている、小さな街。
立ち去ろうとすると、パキッと小枝を踏む音がした。
璃亜「ッ!!」
そこに姿現したのは、痩せ細った親子だった。
すぐさまに銃を準備する。
撃ち殺してやろうと、スコープを覗いた瞬間、気付いた。
璃亜「人間じゃ、ない…!!」
自分以外の人外を初めて見た私には衝撃の瞬間だった。
思わず焦点がずれる。
母親だろうか?顔を真っ青に染めて、遠くからでも分かる程に震えている。
母親に抱きしめられる、子供は状況が理解できないという、困惑した表情。
でも、私は軍人だ。殺さなければならない。
使命だ。命令だ。絶対だ。
15cm超えの銃弾を充填する。
こんなのが当たったら、人外であろうと肉塊になるだろう。
最後まで、大事にあの二人の人生を見届けてやろう。
スコープを覗く。
周りの音が一気に静まり、感情は無に帰る。
引き金をひいた。
大きく鈍い音が響いた。
空気を切り裂き、飛んでいく銃弾。
その銃弾の大きさと、発射されるスピードは非装甲車両をも破る威力のある、衝撃波を放つ。
璃亜「今日のスコアは何人だっけな…」
また、立ち去ろうとすると、声が聞こえた。
「貴方は生きなさい!!お母さんの分まで!そして…この世を平和にして…!!」
璃亜「ッ!!?」
驚いて振り向くと、顔面の目と鼻が吹き飛ばされた母親が、息子の肩を掴んで叫んでいる。
璃亜(マジか…!?)
また、銃弾を充填しようとする間に、母親の体はグラリと倒れ、動かなくなった。
「え…?ねぇ、どうしたの?起きてよ?ねぇ、ねえってば!!なんで…!!?」
子供は母親の死を認められないかのように、体を揺さぶっている。
なんて、哀れな子供だ。
「………」
その瞬間、数百メートル離れているのに、その子供と目があった。
璃亜「…ッ!!」
殺意に満ちた化物のような迫力だった。
背筋に冷や汗が伝う。
ドス黒い殺気が、母親を奪われた悲しみが、言葉にできない程の憎しみが、一気に襲いかかる。
首元に手を掛けられているような感覚が襲う。
視界が点滅し、荒い呼吸が心拍数を上げる。
その時私は自分で最低だと思いながら気づいてしまった。
ものすごく自分は気分が高揚して興奮していた。
大切なものを奪われた弱者の憎しみや殺意、その表情。
璃「嗚呼。なんて君は良い表情をするんだ____。」