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ショッピングモールのフロアは、もはや戦場だった。崩れた柱。
砕けた床。
煙に包まれた空間。
その中心で、黒崎レイは静かに立っていた。
体から放たれる雷は、これまでとは違う。
青白い稲妻の中に――
黒い雷が混ざっている。
バチ……バチバチ……
空気が震える。
ルナが呆然と呟いた。
「……レイ?」
ミナも驚いた顔をしている。
「雷の性質が変わってる……」
少し離れた場所で、ドクター・カインが興奮した声を漏らした。
「素晴らしい……!」
「ついに覚醒したか!」
「No.0の第二段階!」
レイはゆっくり拳を握る。
黒い雷が腕に絡みつく。
「……うるさい」
視線はカイだけを見ていた。
カイは少しだけ楽しそうに笑う。
「面白い」
「兄さん、そんな力持ってたんだ」
レイは低く言う。
「俺も今知った」
その瞬間だった。
ドンッ!!
レイが消えた。
いや――
速すぎて見えない。
カイの目が一瞬だけ大きくなる。
「速――」
ドォン!!
次の瞬間、衝撃が走った。
レイの拳がカイの腹に突き刺さる。
空間が歪む。
だが――
黒雷はその歪みを突き破った。
カイの体が吹き飛ぶ。
バキィィン!!
壁を突き破り、瓦礫の中に叩きつけられた。
ルナが叫ぶ。
「レイ!!」
ミナも信じられない顔をしている。
「空間操作を……突破した?」
煙の中からカイがゆっくり立ち上がる。
口元に血がにじんでいた。
「……なるほど」
彼は初めて本気の顔になった。
「黒い雷」
「空間干渉型か」
レイはゆっくり歩く。
雷が床を焦がす。
「知らねえよ」
「でも」
拳を構える。
「効くみたいだな」
次の瞬間。
二人が同時に動いた。
ドン!!
衝突。
カイが空間を歪める。
グニャリ。
しかし黒雷がそれを裂く。
バチィィ!!
レイの蹴りがカイの肩に入る。
カイも反撃する。
空間を圧縮。
ドォン!!
レイが吹き飛ばされる。
床を滑る。
だがすぐ立ち上がる。
ルナが興奮して叫ぶ。
「いける!」
ミナも言う。
「互角……!」
カイは息を吐いた。
「すごいね兄さん」
「でも――」
指を軽く振る。
空間が大きく歪む。
ゴゴゴゴ……
周囲の瓦礫が浮き上がる。
ミナが顔を青くする。
「空間圧縮……!」
カイは言う。
「範囲技だ」
次の瞬間。
ドォォォン!!
空間が一気に潰れる。
瓦礫が弾丸のように飛ぶ。
レイは雷で弾く。
バチバチ!!
しかし数が多すぎる。
一つが肩に当たる。
「ぐっ!」
ルナが飛び出そうとする。
「レイ!」
ミナが腕を掴む。
「ダメ!」
「今入ったら巻き込まれる!」
戦場の中心。
カイが言う。
「兄さん」
「僕と来ればいい」
「こんな人間たちのために戦う必要ない」
レイは立ち上がる。
血が頬を流れている。
「……断る」
カイが少し眉を動かす。
レイは言った。
「お前」
「一つ勘違いしてる」
黒雷がさらに強くなる。
バチバチバチ!!
「俺は」
「人間だから戦ってるんじゃない」
拳を握る。
「仲間がいるから戦ってる」
ルナが目を見開く。
ミナも静かに息を飲む。
レイは続けた。
「それだけだ」
カイは少し黙った。
そして――
小さく笑った。
「……そっか」
「じゃあ」
金色の目が輝く。
空間の歪みが今までで最大になる。
ビキビキビキ!!
床が裂ける。
壁が崩れる。
カインが興奮して叫ぶ。
「いいぞカイ!」
「やれ!」
カイは手を前に出した。
「終わりにしよう」
巨大な空間圧縮。
レイへ向かう。
ドォォォン!!
しかし――
その瞬間。
影が広がった。
ドン!!
攻撃が止まる。
カイが目を細める。
「……影?」
ルナが前に出ていた。
息を切らしながら言う。
「レイ」
「一人でカッコつけすぎ」
レイが驚く。
「ルナ?」
その隣にミナも立つ。
氷の槍を構える。
「私たちもいる」
ルナがニヤッと笑う。
「チーム戦って言ったでしょ?」
レイは少しだけ笑った。
「……悪い」
カイは三人を見る。
しばらく黙り――
静かに言った。
「なるほど」
「それが人間の強さか」
そして手を下ろした。
空間の歪みが消える。
ルナが警戒する。
「……何?」
その時。
カインの声が響いた。
「そこまでだ」
全員が振り向く。
カインはゆっくり拍手していた。
「十分だ」
「データは取れた」
レイが睨む。
「逃げる気か」
カインは笑う。
「また会おう」
「次はもっと面白い舞台で」
カイはレイを見た。
「兄さん」
少しだけ微笑む。
「次は本気で殺す」
空間が歪む。
ドォン!!
次の瞬間。
カイとカイン、エデンの能力者たちは消えていた。
静寂が戻る。
ルナがその場に座り込む。
「はあああ……」
ミナも力が抜ける。
レイは空を見上げた。
割れた天井から月が見える。
そして小さく呟いた。
「弟……か」
黒い雷がゆっくり消えていった。
――しかし。
この戦いは。
まだ始まったばかりだった。