朧気な意識が段々と覚醒していき、目を開ける。
まず最初に視界に入ったのは襖と畳だ。
自分の家に和室なんてない。明らかにおかしい。
それに誰かに抱っこされている感覚がする。
「あら、この子目が開いたわ。」
声のする方に顔を向けると、和服を着た知らない女性と目が合った。
(…何この状況?ここどこ?この人誰?)
私の頭の中に大量の疑問符が浮かびあがる。
おまけに私の身体を見ると赤ん坊のようになっていた。
少し考えて出た結論は‘これは夢’ということだった。
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あれから、どのくらい経ったのだろうか。
夢にしては長すぎて、私は15歳にまで成長していた。
ここがおそらく明治時代頃だということがわかった。
生活は現代と比較にならないくらい不便だ。
布団は一般市民にも流通しているが、高級品なため持っていない。
今夜も畳の上で寝ていると、変な気配がした。
「ダ…タア」
何かが襖を壊してくる。
恐る恐る見ると、化け物がいた。
「え…」
まるで呪霊のようだ。というか本当に呪霊なのかもしれない。
ソレの口の中には、この世界での両親が四肢をもぎ取られて入っている。
「ハ…ラワダ…」
変な声を出して私の方に近付いてきた。
後ろは壁で逃げる場所もない。
きっと私もこの世界の両親のように喰い殺されるのだろう。
「嫌だ…助けて…!」
ソイツは細長くドロドロな手で私の下腹部を触る。
その瞬間に妙な気持ち悪さを感じた。
その後は何もしないまま、ソイツは去っていった。
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