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解釈違いって話。


文才なんかありません。

案の定駄文。駄文。

cpはどこかに記載してます。

主はにわかです。解釈違いがあると思います。

※ご本人様には関係ありません。


不穏

若干のグロ表現有

流血・死・殺人の表現有

死ネタ






















「…あきな」

『…なぁに、ふわっち』

「なあ、これ、あきながやったん?」

不破の問いに三枝は答えず、ただ目を伏せた。 辺りに広がる血の海の中心で、静かに。

未だに広がり続ける鮮血は、彼の抱えているから出ているようだ。きっともう、その者の息は無い。

まあ、そんなこと、一目見れば誰だってわかるのだが。

綺麗な黒髪に、特徴的な青緑のインナーカラー。陽の光を浴びたがらない彼の白い肌が、一面の赤の中、酷く浮いていた。

「…まゆ、死んだんか」

『そうかも』

三枝は曖昧に告げた。答えは明確に三枝の腕の中にあるというのに。

「そ、っかぁ」

不破は改めて、黛灰の死体に目を向けた。

それは不破が今まで見たこともない程に酷い状態で、三枝の腕の中に収まっていた。へそ辺りから下は存在しておらず、とめどなく血が流れ出すぐちゃりとした断面から、長い管のような臓器と、砕けた背骨が飛び出している。あれは大腸だろうか、いや、太さ的に小腸かもしれない。

そこまで思考してしまって、不破は頭を軽く振った。友人から飛び出している臓器のことなんて、考えたくもない。

次に、三枝を見た。三枝の視線はこちらではなく、彼の抱えている黛へと向けられている。

「明那。なんで、こんなことしたん?」

不破は落ち着いた声で問う。怒鳴りつける気にはならなかったし、怒りは何故か湧くことがなかった。

ちら、と三枝は一瞬不破を見やって、そしてまた黛へと目を向ける。

『まゆはさ、おれの神様だったんよ』

三枝は微笑みながら言った。

『一目見た時から、あ、俺はこの人のためなら何でもしようって、そう思わせてくれた人。まゆのためなら何でもできた。もっと役に立てるようにって、勉強も、仕事も。何でも頑張れた』

そう語る三枝の表情は柔らかく、眼差しは優しかった。そんな三枝が見るに堪えなかったのか、不破はそっと俯く。

『でもね』

諦めたような声を、顔をすると、三枝は続く言葉を紡いだ。

『俺の神様は孤高だから』

聴きながら、不破はきゅっと唇をかみ締める。三枝の言いたいことが、既に何となく分かってしまった。

『俺の神様の世界には、誰もいなくていい。ずっと誰もいない世界で、自分に向き合い続けてるから』

『誰もいないその世界に、俺が、ふわっちが入り込んだせいで、まゆは神様じゃなくなっちゃった』

そこまで言うと三枝は、はは、と乾いた笑いを漏らした。

『まゆが、ただの人間になっちゃった。俺の神様なのに…..そうじゃなきゃ、いけないのに』

そうして。ゆったりと目を閉じた。

歪んだ信仰。狂った愛情。異常な執着。

今の三枝を表す言葉はいくらでも出てくるというのに、このぐちゃぐちゃな盤面を打破する策は何ひとつとして浮かばない。

「…だから、まゆを殺したん?」

『殺した?そんなわけないじゃん』

三枝がからからと笑う。

『ただの事故だよ。俺の神様は自殺も他殺もしないし、されないから』

『偶然そこに地雷があって、偶然まゆが踏んじゃっただけ』

なるほど。死体の状態とここに来る前に聞こえた爆発音から大体分かっていたが、やはり死因は地雷による爆発に巻き込まれたことらしい。

「でも、地雷を置いたのは明那やろ」

『そうだよ。だけど、踏んだのはまゆだからね。置いてるだけじゃ爆発はしないでしょ?』

でも、と続けそうになった不破は、言葉を飲み込んだ。きっと今の三枝に反論しても堂々巡りするだけだろう。 だから。

そっか、と静かにそれだけ言って。

不破は三枝に銃口を向けた。

こうなってしまったからには、殺さなくてはいけない。いや、きっと、もっと前にこうすべきだったのだ。

こうなる前に。

「…….最後に、言いたいこととかある?」

自分自身でも驚く程に淡々とした声が出た。

こちらを見た三枝が、ふは、と笑って。

ふわっちは優しいね。そう、ぽつりと呟いた。

『…ごめんね、ふわっち』


もう、いいよ。


ぴく、と不破の拳銃を持つ手が震えた。 口を開いて、閉じて、それを三度ほど繰り返してから、不破は漸く声を発した。

「…明那」

『…なぁに、ふわっち』

三枝の色素の薄い瞳が、不破を見つめた。やはり、どこまでも慈しむような瞳で。

不破の、望まない瞳で。

「…….おれな、明那が好きだったんよ。初めて会った時から」

何も期待してないような瞳が、死にそうなくらい白い顔が、誰とも喋ってこなかったせいで掠れた声が、人形みたいに表情を変えない明那が。好きなものも、嫌いなものも。夢も、希望も、縋る人もいない明那が。何もできない明那が。

神様のいない明那が。

「…すきだった」

『うん』

「…だから」

三枝は、不破を見ると、眉を下げて笑った。

『…最後まで神様でいられなくて、ごめんね。ふわっち』

ひく、と喉を引き攣らせながら、不破は引き金に手をかけ。



「ばいばい、あきな」



その瞬間、耳を塞ぎたくなるような発砲音が辺りに響いた。




不破の放った銃弾は、真っ直ぐに三枝の脳幹を撃ち抜き、三枝の体は血の広がるそこに力なく横たわる。きっと、苦しむ間もなく死んだだろう。

「…あーあ」

たった今、大切な人を殺したというのに。不破の目から涙が零れることはなかった。

こつ、こつ。不破は革靴の踵を鳴らしながら、二人に近づいた。

傍にしゃがみこんで、僅かに開いている三枝の目をそっと閉じさせる。顔の中心からはとめどなく血液が溢れているというのに、その顔は幼く、ずっと綺麗なものだった。

そのことにくすりと笑って、不破は立ち上がると、数歩後退り。

最期の言葉を紡ぐために、静かに冷たい空気を吸って。


そして。









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コメント

2

ユーザー

この3人書く時は幸せな話にしようとかいう考えは何処へ消えたんですか?普段中々書かないレベルの不穏。

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