テラーノベル
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■読まれる前の注意書き
・本作は「カントリーヒューマンズ(CountryHumans)」の二次創作(ファンフィクション)です。
・実際の歴史、国家、政治団体、宗教、および実在の人物とは一切関係ありません。
・かつて対立していた国々が、現代風の平和な世界線でひとつ屋根の下、あるいはご近所さんとして仲良く「ほのぼのとした日常」を送っているパラレルワールドを舞台にしています。
・キャラクターの口調や性格に独自の解釈(マイルド化)が含まれます。
・以上の点をご理解いただける方のみ、お進みください。
■第20話
題名:湯煙の向こうの境界線、あるいは雪見風呂の幸福論
ジャンル:日常・温泉旅行ほのぼの
日帝の風邪もすっかり完治した一月の終わり。家事能力選手権での労いも兼ねて、4人は一泊二日の温泉旅行へと出かけることになった。
行き先は、山間にひっそりと佇む古い温泉旅館。送迎バスを降りると、そこはしんしんと雪が舞う見事な銀世界だった。
「わあぁぁ! 旅館だ! 畳の匂いがするし、お部屋がとっても広いよ!」
浴衣に着替えたイタ王は、さっそく部屋の広間に置かれたお茶請けの温泉饅頭を見つけて目を輝かせた。
「ふむ、木造建築の情緒と、硫黄の成分を含んだ空気……。日常の喧騒から離れ、肉体と精神の稼働効率を回復させるには最適な環境だな」
ナチは紺色の羽織をきっちりと羽織り、窓から見える雪景色を眺めながら満足げに頷いた。
「ナチ、堅苦しい分析はそこまでだ。温泉といえば、まずはこれだろう!」
ソ連はすでに浴衣の胸元をはだけさせ、温泉への突撃体制を整えている。
「皆さん、まずは長旅の疲れを温泉で癒やしてきてください。私は少しお部屋で荷物の整理をしていますから」
日帝が笑顔で見送ると、三人は連れ立って大浴場へと向かった。
湯気で真っ白に煙る大浴場の扉を開けると、その奥には岩造りの広々とした露天風呂が広がっていた。目の前には、雪を戴いた美しい山々がそびえ立っている。
「冷たっ、でもあったかーい!」
イタ王が真っ先に湯船に飛び込み、ふぃ〜と幸せそうな声を上げた。
「イタ王、湯船に入る前は掛け湯をしろと日帝に習わなかったのか。……しかし、この温度管理は絶妙だな。摂氏四十一・五度といったところか」
ナチが静かに湯に浸かり、冷えた肩までお湯の中に沈める。その端正な顔立ちが、湯気に蒸されてほんのりと赤く染まっていった。
「ははは! この程度の寒さ、我が国の冬に比べればおがくずのようなものだが……このお湯の温かさは、確かに五臓六腑に染み渡るな」
ソ連も巨体をドサリと湯船に沈め、ふぅ、と深い吐息を漏らした。
少し遅れて、日帝も露天風呂へとやってきた。4人は並んで岩に背中を預け、目の前の雪景色を眺める。
「極楽、極楽ですね」
日帝が手ぬぐいを頭の上に乗せながら微笑む。
「ねえねえ、見て! 雪が降ってきたよ!」
イタ王が空を指差すと、ひらひらと舞い降りた雪の結晶が、温かいお湯に触れて一瞬で消えて いく。
「……かつては、こうして貴様たちと同じ湯に浸かるなど、計算の分母にすら存在しなかったな」
ナチが、湯面に映る自分の顔を見つめながらポツリと呟いた。
「うむ。お前たちと顔を合わせる時は、常に張り詰めた冷たい空気の中だったからな。こんなに温かい場所に全員でいるのは、奇妙な気分だ」
ソ連が、自分の大きな手のひらでお湯をすくい上げながら、静かに笑う。
「過去は過去、今は今です。この温かいお湯の中では、かつての境界線など綺麗に溶けてなくなってしまいますよ」
日帝の優しい言葉に、ナチもソ連も、そしてイタ王も、どこか穏やかな表情で頷いた。
「ねえ、お腹空いてきちゃった! 今日の夜ご飯は何かな?」
イタ王が、お腹をさすりながらおねだりするような声を上げる。
「ふふ、今夜は山の幸をふんだんに使った豪華な懐石料理だそうですよ。お部屋に用意していただきましょう」
日帝が立ち上がると、三人も名残惜しそうにお湯から上がり、バスタオルを手に取った。
その日の夜、部屋の座卓には、新鮮なお刺身や、地元の山菜の天ぷら、そしてメインである最高級牛のしゃぶしゃぶが並んだ。
「素晴らしい。肉のサシの入り方が均一で、芸術的な美しさだ」
ナチは箸で肉を一切れ持ち上げ、お湯にくぐらせて口に運んだ。その瞬間、あまりの美味しさに言葉を失い、静かに目を見開いている。
「うむ、美味い! 日帝、この旅行の夜にこそ、地元の美味い日本酒という液体を……」
「ソ連殿、すでに仲居さんにお願いして、冷酒を二合ほど用意してありますよ。今夜は特別ですからね」
「おお! さすが日帝、同志の心が分かっている!」
ソ連は満面の笑みで盃を掲げ、4人で新年の旅を祝し て乾杯した。
夜が更けると、部屋の電気を少し暗くし、4人は布団を並べて横になった。窓の外では、静かに雪が降り続いている。
「楽しかったね、お兄ちゃんたち。またみんなで旅行に行こうね」
イタ王が、すでに半分眠りにつきながら呟く。
「ああ。次の目的地は、私の計算によって最適なルートを導き出してやろう」
ナチの声も、いつもよりずっと柔らかい。
「うむ。どこへ行くにも、この4人なら退屈はせんからな」
ソ連が大きな寝返りを打つ。
日帝は、三人の穏やかな寝息を聞きながら、そっと目を閉じた。
湯煙の向こうに消えた過去の確執と、目の前にある温かく愛おしい日常。
4人の終わらない物語は、冬の静かな温泉街の夜と共に、どこまでも優しく、深く更けていくのだった。
コメント
4件

温泉街に行きたくなってきちゃった(笑)
温泉旅行、いいですねえ。雪見風呂で湯気の向こうに山々が見える情景、目に浮かぶようでした。ナチの「計算の分母にすら存在しなかった」という呟きと、日帝の「過去は過去」という優しさが染み入ります。4人の距離が確かに縮まっている、そんな温かさを感じたエピソードでした。
ゆこあ
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#政治的意図・戦争賛美✖
nekoisi@200人記念!
7,151
瑞稀🇩🇪🍺🏰
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