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うわ、でっか! 人、すっご!
有名校とは噂で聞いてたけど、でかすぎだろ。 それに、入学式とか……久しぶりすぎて吐き気がしてきた。この時点で俺死にそう。
「……人混み苦手なんだよなぁ」
俺の小さな嘆きは周りの喧騒の渦に消えていった。
結局、魔法が上手く使えないまま入学式当日になってしまった。一年間練習しまくったおかげで多少改善したものの魔法と呼ぶにはほど遠い……そんな俺を見てクァペールは申し訳なさそうにしていた。アイツどんだけいいヤツなんだよ、ありがとな本当。まぁ魔法学校なんだ、ここで身につければいいだろ。俺はそんなふうに魔法が上手く使えないことを楽観視して入学式に臨んだ。
ここは入学式の会場。この会場には一階、二階と席が並べられていて、その席で囲むようにした中央一階に演台が設置されている。ちなみに俺は二階の席に座って下階の者どもを見下しているぜ。ここは普段は集会などの時に使われる場所みたいだ。入学式とか、俺の学校では体育館だったな……こういうところで財力の違いが分かるとは。それにしても、校舎の規模といいこの会場といい……金持ちすぎだろこの学校。
「皆さん、こんにちは」
おっと、始まったみたいだ。今話しているのは白髪で優しそうなおじいさん。きっとこの学校の校長先生だろう。よかった、校長先生は優しそうだ。この学校は荒れてるって聞いてたから、もっとこう世紀末なものかと思っていたが大丈夫そうだな。……もしかしたら、その優しさゆえに生徒の暴挙を許しちゃってるのかも。そういう優しさは良いとは言えないと思うぞ校長せんせー、生徒が悪事を働いたらちゃんと叱るのもまた優しさではないのかー……っといっけね、変な茶番してたせいで校長先生の話全て聞き逃してしまった。まぁ校長先生の話なんて内容があるようでないみたいなもんだからな、大丈夫っしょ。……こういう事言ってるから先生からの信頼ゼロだったんだろうな俺。
「それでは生徒の皆さん、先ほどご説明したクラスに移動してください」
え?
え。ちょ、え?……やべぇめっちゃ聞き逃した。あ、もう移動開始してる。やばい、初日からやらかすのはやばい。えー……とりあえず先生に聞こう。初日から気ぃ緩みすぎだろとか思われてもいいから聞きに行こう。方法それしかないから……。えーと、二階から降りるには……あの階段を降りればいいのか。んで、そしたら左に曲がって……こっちであってるよな。そうすれば外に出れるから、そこに指導の先生がいるはず……お、いたな。あの人であってるよな? まぁ先生であれば別にいいか。
「「あの、すみません」」
ん?なんか今誰かと声が被った…ってあらまぁ可愛いおぜうさんだこと! どうしたのかしら? もうみんな移動してしまっているというのに。
「は、はい……お二人ともどうしたんですか? もう他の生徒達は移動していますよ?」
僕も移動したいんですけどね! どこに行けばいいかわからないからできないんです! 話聞かない子ですみませんほんと!
「実はその、ぼーっとしていて……話を聞き逃してしまったと言いますか……」
まさかとは思っていたが、やはりこの子も聞き逃していたか。というか校長先生の話を聞き続けるなんて無理だろ普通。そんな事をさせてくるそっちにも非があると思うね俺は。
「そうでしたか。……もしかして、あなたも?」
「……はい、そうです」
女子の後に言うのは気が引けるな。なんか申し訳ないと言うか……うん。
「それでは少々お待ちください、先生が確認してきますので。……あと、先生が話している時はぼーっとしないように」
「「すみません、以後気をつけます……」」
初日からやらかした生徒にも優しく対応してくれる心優しい先生は軽い忠告を済ますと、早足で校舎に向かって行った。ところで、俺達は先生が来るまでここで待機してなきゃいけないよな?
ものすごく気まずい……。