テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
Chapter 3:Rebirth ― 共鳴の夜
⸻
【グラミー本番3日前/ロサンゼルス】
巨大なホールのステージで、ミンジュは立ち尽くしていた。
「まるで宇宙みたい…」
照明テストのライトが、星のように煌めく。
「ここが、お前の居場所だろ?」
テヒョンの声が背後から聞こえる。
その声に、ミンジュは小さく笑った。
「ここは“ジウン”の居場所だった。
でも──今日は、私の番だよね。」
⸻
【当日/リハーサルスタジオ】
BTSの7人が揃い、
中央にはミンジュ。
これは、彼女がデビュー以来、初めて正式に“BTSと共演”するステージだった。
「じゃあいくよ、カウント!」
ナムジュンが指揮をとる。
ジョングクがミンジュのマイクの角度を直し、
ホソクはダンスラインのテンションを上げる。
ミンジュのパートが始まると、
スタジオが一瞬、静寂に包まれる。
🎵
「もう泣かない もう戻らない
私の光を 今、あなたに──」
🎵
音と声が重なり合い、
ミンジュの歌声が、BTSの音楽と溶け合っていく。
テヒョンがハーモニーで寄り添い、
ジョングクが目を逸らさず見つめる。
それは、“共演”ではなく、“共鳴”だった。
⸻
【BTS控室/本番30分前】
「緊張してますか?」
ジョングクがミンジュの隣に座り、小さく問う。
「してないって言ったら嘘になる。」
「じゃあ…終わったら、どっか行きましょ。
2人だけで。音楽抜きで。」
不意の言葉に、ミンジュの心臓が跳ねる。
「…まだ返事はしない。」
「知ってます。でも、期待して待ってますよ。」
テヒョンが背後から近づいてきて、ジョングクを小突く。
「おい、うちの妹、ナンパすんな。」
「ナンパじゃないです。…覚悟です。」
テヒョンとジョングクが睨み合い、ミンジュは思わず吹き出す。
「やめて、ステージ前にお腹痛くなる。」
⸻
【ステージ本番/全世界生中継】
暗転。
観客の静寂の中、ピアノの音だけが響く。
ミンジュが一人、舞台中央に立つ。
その後ろに、BTSの7人。
🎤「Introducing…
The Moonlight Siren, with BTS…」🎤
光が差し、歌が始まる。
ミンジュが前奏を歌い出した瞬間──
SNSは爆発、世界のトレンド1位を即座に更新。
🎵
「孤独が名をくれた夜
でも今は、“私”を歌える──」
🎵
サビでBTSが一斉に加わる。
ジョングクとミンジュのハーモニーが空を裂き、
テヒョンの声が妹の音を包む。
一つ一つの音に、
過去と現在、痛みと希望が交差する。
ラスト、ミンジュがつぶやくように言う。
「…もう逃げない。」
照明が落ち、静かに幕が閉じる。
会場は数秒、静寂の後、爆発的なスタンディングオベーションに包まれた。
⸻
【バックステージ】
ミンジュは涙をこらえながら、マイクを外す。
「…終わった。」
「いや、始まったんだよ。」
テヒョンがそっと肩を叩いた。
⸻
🌙 To be continued…