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#原因は自分にある。
宇空#🎹,🐈⬛
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#原因は自分にある。
バディ乃杜バディ子
26,254
かなめが目を覚ましてから一週間。
退院まではもう少しかかるものの、リハビリは順調に進んでいた。
病室には毎日のようにメンバーが訪れ、以前のような笑い声も少しずつ戻ってきていた。
「まさや、またかなめのプリン食べただろ?」
「いや!かなめがくれるって言ったんだよ!」
「かなめはまさやに甘すぎ!!」
病室中に笑い声が広がる。
りょうたも笑った。
でも、その笑顔はどこかぎこちなかった。
⸻
「りょうた。」
帰り際、かなめが呼び止める。
「少しだけ残れる?」
「……うん。」
メンバーは空気を読んだように病室を出ていく。
二人きりになると、かなめは少し真剣な表情になった。
「最近さ。」
「俺、何か忘れてる気がするんだ。」
りょうたの胸がどくりと鳴る。
「忘れてる?」
「うん。」
かなめは苦笑した。
「みんなは普通なのに、りょうただけ時々、すごく悲しそうな顔するんだ。」
「俺、その理由を知らない。」
「でも、その顔を見ると胸が苦しくなる。」
りょうたは何も言えなかった。
「ごめん。」
かなめは小さく笑う。
「俺、何かりょうたを傷つけることした?」
その言葉に、りょうたは慌てて首を振った。
「違う!」
思わず大きな声が出る。
「かなめは何も悪くない。」
「本当に?」
「うん。」
「だから、自分を責めないで。」
かなめは少し安心したように笑った。
「よかった。」
⸻
その夜。
病院の屋上。
りょうたは一人で夜景を見つめていた。
「ここにいたかー。」
振り返ると、たかとが立っていた。
「何となく、ここにいる気がした。」
りょうたは苦笑する。
「ちょっと分かりやすすぎる?」
「すこーしねぇ。」
二人は並んで夜景を見る。
しばらく沈黙が続いたあと、たかとが口を開く。
「かなめのこと、話してないんだな。」
「……うん。記憶のこと。言えない。」
りょうたは小さく息を吐く。
「かなめが忘れたままなのに、『実は告白してくれたよね』なんて言えない。」
「もし記憶が戻らなかったら?」
「もし戻っても、その気持ちまで変わってたら?」
「考えれば考えるほど怖い。」
たかとは静かにうなずいた。
「怖いよな。」
「でも。」
「かなめは記憶を忘れただけで、人まで変わったわけじゃない。」
りょうたは顔を上げる。
「……え?」
「見てたら分かる。」
「かなめ、お前のことばっかり目で追ってる。」
「え?」
「無意識なんだろうけど。」
「お前が部屋を出ると目で追うし、お前が笑えば笑う。」
「お前が帰る時間になると少し寂しそうな顔する。」
りょうたは驚いた表情のまま固まった。
「気持ちは、記憶だけじゃ全部消えないのかもしれないな。」
たかとはそう言って笑った。
⸻
翌日。
りょうたが病室へ入ると、かなめが窓際に立って外を眺めていた。
「おはよう。」
「おはよ。」
かなめは振り返り、自然に笑う。
その笑顔を見た瞬間、りょうたの胸は温かくなった。
「りょうた。」
「ん?」
「退院したらさ。」
「どこか出かけない?」
りょうたは少し驚く。
「二人で。」
その一言に、りょうたの鼓動が速くなる。
かなめは照れくさそうに頭をかいた。
「理由は分かんないんだけど。」
「事故の日、俺たちが行こうとしてた場所がある気がする。」
「その続き、やり直したい。」
りょうたは目を潤ませながら、小さく笑った。
「……うん。」
「一緒に行こう。」
あの日は最後までたどり着けなかった公園。
今度こそ二人は、その場所へ向かおうとしていた。
コメント
1件
第21話、読み終えました。記憶を失っても、かなめの無意識の目線や笑顔に前と変わらない想いが滲んでいる——たかとの指摘がとても沁みました。「気持ちは、記憶だけじゃ全部消えないのかもしれないな」って言葉、本当にそうだなって。最後の「その続き、やり直したい」は切なくて温かくて、胸がぎゅっとなりました。あの日の公園、今度こそ二人でたどり着けますように。