テラーノベル
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■読まれる前の注意書き
・本作は「カントリーヒューマンズ(CountryHumans)」の二次創作(ファンフィクション)です。
・実際の歴史、国家、政治団体、宗教、および実在の人物とは一切関係ありません。
・かつて対立していた国々が、現代風の平和な世界線でひとつ屋根の下、あるいはご近所さんとして仲良く「ほのぼのとした日常」を送っているパラレルワールドを舞台にしています。
・キャラクターの口調や性格に独自の解釈(マイルド化)が含まれます。
・以上の点をご理解いただける方のみ、お進みください。
■第7話
題名:大掃除の伏兵は、思い出のアルバム
ジャンル:日常・お片付けほのぼの
年末が近づき、日帝の屋敷では恒例行事である「年末大掃除」が始まっていた。
天井の煤払いから庭の落ち葉掃きまで、広い屋敷を4人で手分けして進める中、普段は滅多に使わない開かずの物置部屋の担当になったのは、ソ連とナチの二人だった。お互いに「私の足を引っ張るなよ」「それはこちらのセリフだ」と言い合いながら、埃を被った古い木箱を渋々運び出していた。
「おい、ソ連。その重い箱をそっちの棚へ回せ。サイズごとに効率よく分類するんだ」
「分かっている。合理主義者め、命令するな。……ん? なんだこれは」
ソ連が持ち上げた古い衣装箱の底から、一冊の分厚い革張りのアルバムが床に滑り落ちた。表紙には、少し掠れた手書きの文字で『みんなの思い出』と書かれている。
「……掃除の手を止めるな、ソ連。サボることは許さんぞ」
「まぁ待て、ナチ。少し見るくらいはバチは当たらん。ほら、お前もこれを見ろ」
ソ連が床に胡坐をかき、アルバムを開くと、そこには数年前、この家で4人が暮らし始めたばかりの頃の写真が収められていた。
まだお互いにトゲトゲとした空気を隠しきれていなかった時期の写真だ。カメラを向ける日帝の後ろで、ナチとソ連が明後日の方を向いて凄まじいメンチの切り合いをしている。イタ王だけが二人の真ん中で、呑気にピースサインを作って満面の笑みを浮かべていた。
「くくく、なんだこのお前の顔は。まるで酸っぱいレモンでも食ったような、ひどく偏屈な顔をしているぞ、ナチ」
「貴様こそ、この不審者のような構えは何だ。今にも私に殴りかかりそうな野生動物の凶暴さではないか」
ページをめくるごとに、写真の中の彼らの表情はどんどん柔らかくなっていく。
近所の公園へみんなで初めて行ったお花見の写真、ソ連がウォッカで泥酔してナチに肩を組み、ナチが本気で嫌そうな顔で拳を握りしめている写真、イタ王の誕生日に、男三人で柄にもなく不器用な手作りの輪飾りを天井に飾り付けた時の写真。
「……随分と、お互いに顔つきが変わったものだな」
ナチが、ふっと小さく、自嘲気味ながらも穏やかな笑みを浮かべて呟いた。
「ああ。あの頃のトゲが嘘のようだ。今の平和な生活にすっかり毒された、と言いたいところだが……悪くない変化だ」
二人が掃除の手を完全に止め、アルバムに見入っていると、パタパタと廊下を走る足音が聞こえ、「おーい、二人ともー! お掃除進んでるー?」とイタ王が雑巾とバケツを持って部屋に入ってきた。その後ろからは、はたきを持った日帝も静かに続く。
「……あ、アルバム見てる! ずるい、僕も見たい!」
「コラ、お二人とも。大掃除の最中に古いアルバムを見始めてしまうのは、お片付けにおける最大の罠ですよ」
日帝が困ったように眉を下げて微笑むが、ソ連は「まぁ固いことを言うな、日帝。ほら、お前の若かりし(?)頃の写真もあるぞ」と彼らを床に呼び寄せた。結局、大掃除は一時中断となり、4人で埃っぽい物置部屋の床に車座になって座り込み、一冊のアルバムを囲むことになってしまう。
「あ、この時のスイカ、すっごく美味しかったよね! ナチが種を遠くに飛ばす競争で一番だったやつ!」
「日帝、この私が縁側でうたた寝している写真はいつ撮った。即座にネガごと消去、破棄を要求する」
「ふふ、秘密です。とても良い表情をされていましたから」
掃除のノルマはすっかり後ろ倒しになってしまったけれど、過去の尖っていた自分たちを愛おしく笑い合える「今」がある。その温かい事実が、冬の冷たい空気が残る古い物置部屋を、何よりも優しく満たしていた。
コメント
1件
あら、素敵なエピソードでしたね……! 大掃除の途中で思い出のアルバムを見つけて、つい手が止まっちゃう展開、すごく共感しました。最初はギスギスしてた4人の写真が、ページをめくるごとに表情が柔らかくなっていく描写が特に印象的です。最後に日帝が「とても良い表情をされていましたから」と秘密めかして笑うところ、優しい空気がじんわり伝わってきました。ノルマは後回しになっちゃったけど、今の温かい関係性が何よりだなって思える、ほっこりするお話でした🌷