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水郷の夏再び

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水郷の夏再び

5 - 第5話 声の力

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2025年08月31日

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第1章 第5話「声の力」


練習試合から数日後。柳城高校野球部のグラウンドには、いつもより熱気が漂っていた。

試合で小早川啓介が見せた声とリードに刺激を受け、上級生たちの姿勢がわずかに変わり始めたのだ。


「ランナーコーチの声が小さい! 走者に届かんぞ!」

ノック中、城島監督が鋭い声を飛ばす。

「野球は“声”で変わる。全員でつくるスポーツだ。小早川、あの日の声を、もっとチームに広げていけ。」


突然名前を呼ばれ、啓介は少し驚いたが、深くうなずいた。

「はい!」


すると練習の最中、今度は3年の田村が啓介に声をかけてきた。

「お前、あの試合のリード……悪くなかったぞ。もう一度受けてくれ。」

エース格の先輩が、自ら1年生に頭を下げてきたのだ。


啓介は胸が熱くなった。

(僕の声が、少しずつチームを変えてる……?)


その日の紅白戦、啓介は田村のボールを受け続けた。

相手打者の癖を見抜き、外角低めにミットを構えると――三振。

マウンド上の田村が思わず笑顔を見せた瞬間、ベンチからも大きな拍手が起きた。


試合後、グラウンド整備をしながら城島監督は静かに言った。

「勝つことだけがすべてじゃない。だがな……“変わること”ができるチームは強くなる。」


夕暮れのグラウンド。スパイクの音と共に、選手たちの声が途切れなく響く。

それは、数週間前の荒れたチームにはなかった光景だった。


啓介はトンボをかけながら、胸の内で小さくつぶやいた。

(俺は、この柳城を……必ず変えてみせる。)



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