放課後の図書館。
夕暮れが窓を赤く染めていた。
翔太は、少し遅れてやってきた。
目黒はいつもの席で本を読んでいる。
その姿は穏やかで、でもどこか遠くを見ているようだった。
翔太はそっと向かいの席に座り、ノートを開く。
『今日もここ?』
目黒は小さく笑って頷く。
翔太が続けて書く。
『飽きねえの?』
目黒はペンを受け取って、
『静かなのが好きだから』
と書く。
翔太は少しだけ笑った。
「…..お前らしいな」
二人の間に沈黙が流れる。
ページをめくる音。風で揺れるカーテンの音。
その中に、どこか懐かしい安心感があった。
ふと翔太がペンを止める。
『そういえば、蓮の声…..久しぶりに聞いてないな』
その一文に、目黒の手が止まった。
一瞬だけ視線が揺れて、ノートの端を指でなぞる。
少し間をおいて、目黒は書く。
『家では話すけど、外ではあまり」
『なんで?』
翔太の文字は迷いながらも、まっすぐだった。
目黒はしばらく何も書かず、窓の外を見つめた。
光が沈んでいく。街の音が、少しずつ遠ざかる。
そして、ゆっくりペンを走らせる。
『声を出しても、自分では聞こえない。それが怖くて、少し苦しい。』
翔太はその文字を見つめる。
コメント
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.....気になりすぎてエッグチーズバーガー🥚🧀🍔食べそう
続き気になる、今回も最高!