テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
#mmdt
ろず
301
2,225
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
⚠️BL要素あり、年齢操作、ピアス捏造
以上が許せる方のみご覧下さい。
※学パロです
ピアスを開けてもらってからしばらく時間が経ったが、俺はまだ涼太の家にいる。『せっかくならゆっくりしていきなよ』という涼太からの申し出があったからだ。涼太と部活の話や先生の面白エピソード、進路の話などをしていると時間が過ぎていくのはあっという間だった。日が長い季節であるためまだ外はオレンジ色だが、開け放たれた窓からは他の家庭の夕飯の匂いが漂ってきていた。
ふと、涼太のスマホが軽快な通知音を鳴らす。
「あ、翔太からだ。ちょっと見てもいい?」
「俺のことは気にしないで!」
涼太は基本的に礼儀正しい。人と話しているときはスマホに触らないし通知がきてもチラッと確認するだけですぐ会話に戻る。
だけど、そんな涼太にも例外はあるわけで、その通知が翔太からの個人的な連絡だった場合はこの基本から外れる。それでも一度こちらに断りを入れてから連絡の内容を確認するわけなのだが、いつもその顔からは隠しきれない嬉しさが滲んでいた。
何度もやったやりとりだから今更妬くこともない。さっきまでの雑談と全く同じトーンで返事することなど造作もないことだった。
「…ふふっ」
「なんか嬉しそうだね〜。どんな内容?」
「ん〜?夕飯のお誘い」
幸福の擬人化のような顔をした涼太が差し出してきたスマホの画面には翔太とのトーク画面が映し出されており、そこには翔太らしい淡白な文面で『今日おばさんたちいないんだろ?』『うちで飯食ってけよ』『ファミレスでも可』と書かれた吹き出しが浮かんでいた。
「…へ〜、翔太の家でご飯とか食べるんだ!」
「まぁ家族ぐるみの付き合いだからね〜。家もすぐそこだし」
「そうなの!?俺も帰りに翔太の家寄ってみたい!」
「俺は良いけど多分翔太怒るよ?それに駅とは反対方向だから遠回りになっちゃうよ」
家族ぐるみと言った涼太の顔が少し暗くなったのを見て、俺は咄嗟にふざけたことを言わざるを得なかった。
二人は幼馴染でありお互いのご家族とも親しい間柄である。普通の恋愛ならこんな好条件が揃うことはなかなかないだろう。
だけどこの二人はそうは考えなかった。『もしも家族がこの気持ちを受け入れられなかったら、家族間の交流がなくなってしまうのではないか。』『そうしたら何も関係のない妹たちにまで影響してしまうのではないか。』とシスコンすぎるあまり暗い方に考えているように見える。明らかに両想いなのにどちらからも告白しないのは、おおかたこの考え方が邪魔をしているせいだろう(まぁ鈍すぎるというのも多分にある)。
俺は二人のご家族のことを二人が話すエピソードでしか知らないが、少なくとも俺は彼らの家族がそんなことをいちいち気にするような人たちには思えない。だから、きっとこれは二人の考えすぎだ。それでもこの二人は本気でそう考えているため時々こうして暗い顔をすることがある。
俺が悪くて賢い男だったらきっとこの状況をうまく使って涼太を手に入れるんだろう。でも生憎俺はそこまで器用にも悪役にもなりきれないから、こうして暗い空気をなかったことにするしかできることがないのだ。
「夕飯食べるならもうそろそろ行かなきゃだよね?結構長いこと居座っちゃったし、俺はこの辺でお暇しようかな」
「そういえばもうこんな時間か。楽しかったよ佐久間」
「こちらこそ!激レア宮舘家にお邪魔しちゃったし、何よりピアス!ガチでありがとう!」
「別に激レアじゃないでしょ。安定するまで触りすぎるなよ」
「我慢する!……あ〜、初めてのピアスが涼太でほんとに良かった!」
悪役にはなれないけど、せめて帰り際にほんとの気持ちを冗談っぽく言っちゃうような狡い奴にはさせてね。