翌日─────
「おはようございます、暁人さん」
「ん、はよ小葉」
「あ、おはよー!小葉くん!」
翌日、依頼人である晴山副総理が訪問する事になり、唯一の事務職員である中村小葉(ナカムラ コノハ)が出勤した。
可愛らしい名前と顔立ちからよく異性に間違えられることもしばしばあった。
「あー、また散らかしてる、、、僕が3日前あんなに片付けたのに、、、」
小葉がせっせと掃除を始める。
床のちり紙は、素早く捨てられ、雑巾や掃除機が一瞬の間にかけられていった。「副総理がいらっしゃるのに、、、」
「アキくんって片付け下手くそだよねー」
「片付けが世界で1番無駄だと思ってる」
小葉が掃除を進める中、野々花が茶菓子などの準備をはじめる。
「あ、こらアキくん。それ晴山さん用なのに」
「ペッペッ」
「あぁ!吐き出してる!飲み込め〜!」
「抹茶味嫌い」
「アキくんの茶菓子じゃないし〜!」
「カランカラン」
「あ、いらっしゃいましたよ」
「「!」」
玄関に目をやると、小柄なメガネの男性と長身の女性が扉を開けていた。
「先生、こちらになります」
小柄な男性は、暁人達に手先を向ける。
暁人が1歩前に出て、わざとらしく会釈をする。
「ようこそお越しくださいました、春山さん?」
「どうも」
「どうぞ、おかけになってください」
小葉が暁人がいる反対側のソファへ案内する。
「改めて、初めまして春山さん。僕はこの事務所の責任者、鳥谷部 暁人と申します」
いつも以上に丁寧な言葉遣いは、暁人が仕事モードに入ったことを物語らせた。
「重ねて、助手の中村と、、、、、、長谷です」
少しためらい気に2人を紹介した。
「さて、本日のご依頼内容になりますが、、、」
「わかっているでしょう」
暁人の言葉を遮るように晴山が声を出す。
「ニュースはご覧になって?」
「、、、拝見いたしました。報道されている内容は事実に値しますか?」
口を紡ぐ晴山の横をこもった声が通り抜けた。
「実は、我々もハッキリわかってはいなくて、、、」
「あなたは、、、書記官の萩本殿。わかっていない、というのは?」
「ニュースで報道されていた内容ですと、山中で発見された女性の変死体は自治組織の”裏切り者”。彼女と晴山先生が血縁関係にあるとのことで、、、」
「私の身内にそんな輩は存在しません」
また、萩本の話を遮り、キッパリ答えた。
「、、、と先生もこの一点張りでして」
「なるほど、、、もう少し情報が必要ですね」
うーん、とわざとらしく唸った。
「ご依頼はお引き受けします。ただし、依頼料になりますが、、、」
「この騒動が落ち着くのなら、いくらでも」
「せ、先生、、、!」
にや、と暁人が笑った。
「そうですね、、、ではざっと、3億辺りかと」
「「さ、3億!?(萩本・野々花)」」
「そんな、3億なんて大金、払えません!先生、違う事務所に依頼変更しましょう!」
「いえ、3億でいいでしょう。本当にこの件が落ち着くのなら、、、」
「任せてください、鳥谷部 暁人。精一杯努めます」
「ほ、ホントに引き受けちゃったよ〜、、、」
「流石暁人さん、と言うべきか、、、」
数分後の事務所。依頼説明等が終わり、
がらんとした事務室では野々花と小葉が
ため息をついていた。
「ねーねーアキくん、ホントに解決できるの?」
「わかんね」
「あ!いつものアキくんだ〜!」
野々花が嬉しそうに暁人の肩を連打する。
「とりあえず情報収集だな、知り合いに刑事いるから色々聞いて、、、何事も明日からやるか」
「なるほどね〜!んじゃ明日、
この事務所集合ね!」
「そうですね、、、ってあれ、野々花さんも?」
「うん!新メンバーだよ- ̗̀𖤐」
「そうなんですね!よろしくお願いします!」
「お前らな〜!!!!」