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side 若井
打ち上げ帰り。元貴は少し顔が赤い。
「んぇ〜、、ぼく、そんなに飲んでないよ?」
そう言いながら、足元がふらつく。
俺がすぐ腕を支える。
「飲んでるじゃん」
優しく断定。
涼ちゃんがくすっと笑う。
「元貴の目、とろんとしてる」
元貴は二人を見る。
焦点がちょっと甘い。
「……二人とも、かっこいい」
突然。
俺と涼ちゃんが同時に止まる。
「きゅ、急にどうしたの?」
「んふふ、思っただけぇ〜」
語尾が伸びる。
完全に酔ってる。
家に着くと、元貴は靴も脱ぎかけのまま
ソファに倒れ込む。
「ふわふわする……」
涼ちゃんが隣に座る。
「水飲む?」
「いらなぁい」
即答。
そのまま涼ちゃんの腕に顔を埋める。
「りょぉちゃ、あったかいね〜」
涼ちゃんの心臓が跳ねる。
(近い)
俺は水を持って戻ってくる。
その光景を見て、少しだけ目を細める。
「もーとーき。俺のとこも来てよ」
元貴は顔を上げる。
「んー?」
俺の方へ体を伸ばす。
でも途中でバランスを崩す。
それを俺が受け止める。
「危ない」
元貴は俺の胸に顔を押しつける。
「ん、、わかぃ、いい匂い」
「今日香水つけてないよ」
元貴はむにゃっと笑う。
「んふ、しってる〜」
腕が自然に俺の腰に回る。
ぎゅっとくっつく。
甘い。
普段の元貴は、こんなに素直にくっつかない。
俺の喉が小さく鳴る。
「……ずるいな、」
「んぇ、、なにがぁ?」
上目遣い。
無自覚。
涼ちゃんが後ろから元貴を抱きしめる。
「ちょっとぉ、僕もいるんですけど〜」
元貴が振り向く。
距離が近い。
「りょーちゃんも好きっ」
あっさり。
真っ直ぐ。
俺の胸がじわっと熱くなる。
(、酔ってるから)
そう分かってるのに、嬉しい。
しばらく三人でソファに座る。
元貴は真ん中。
左右から抱えられてる。
「ん、、ねぇ、?」
とろんとした声。
「僕ねぇ、」
俺が髪を撫でる。
「うん」
「ふたりがいると、安心するの、」
ゆっくりした言葉。
本音。
涼ちゃんの目が少し揺れる。
「いまならね、ぜーんぶっ、言っちゃう」
元貴が続ける。
「一人にされたら、ぼく、ないちゃうかもよ」
その一言で。
空気が変わる。
俺の腕が少し強くなる。
涼ちゃんもぎゅっと抱き寄せる。
「一人にしない」
俺の声が低く、真剣。
涼ちゃんも頷く。
「絶対」
元貴はふにゃっと笑う。
「んふふ、知ってる」
その“知ってる”が、あまりにも信頼していて。
二人の胸が締めつけられる。
突然、珍しく元貴が俺の頬にちゅっとキスする。
軽い。
でも不意打ち。
俺は固まる。
涼ちゃんが目を見開く。
「……も、元貴?」
元貴はけろっとしてる。
「?、お礼だよ」
「何の」
「いつも守ってくれるから」
今度は涼ちゃんにも同じようにキス。
涼ちゃんの呼吸が止まる。
「んふ、りょーちゃっ、僕、幸せだよ」
ふわっと笑う。
でも目は少し潤んでる。
酔いで緩んだ本音。
俺がそっと額を合わせる。
「俺も」
涼ちゃんも優しく言う。
「僕もだよ」
元貴は二人の首に腕を回す。
「もっとぎゅーして」
命令じゃない。
お願いでもない。
ただの甘え。
俺と涼ちゃんは同時に抱きしめる。
挟まれて、包まれて。
元貴は安心しきった顔で目を閉じる。
「だいすき」
小さく呟く。
返事はない。
でも。
二人の腕が、答えだった。
しばらくして。
元貴はそのまま眠る。
規則正しい寝息。
涼ちゃんが小声で言う。
「はぁぁ、反則だよ、、」
俺も頷く。
「明日覚えてない可能性あるんだよなぁ、」
涼ちゃんが苦笑する。
「黙っとく?」
俺は少し考えて。
「黙っとこ」
二人は顔を見合わせて笑う。
酔ってほどけた夜。
でも。
ほどけたからこそ見えた本音があった。
元貴は夢の中でも、二人の服をぎゅっと掴んでいた。
コメント
4件
ぇ?尊...
頭の中に3人全てのやり取りが、浮かんできちゃう♥️💙💛 表情も仕草も…。 凄く幸せな気分になりました💕 ありがとうございました💛💙♥️