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耀聖(ようせい)
1,723
#創作
M.S
926
M.S
1,460
こと
358
「さて。よくぞ集まってくれました!」
とテンション高く言う神羽(じんう)。一方あくびをする雪姫(ゆき)と
「はい!」
と元気よく返事をする夏芽(なつめ)。頷く名論永(めろな)。
居酒屋「天神鳥(てんじんちょう)の羽」の引き戸には
へたくそな字で書かれた「臨時休業」という紙が貼ってあった。
「本日は丸1日!新メニュー考案の時間に充てたいと思います!よっ!拍手!」
と言う神鳥に
「よっ!」
と言いながら拍手する夏芽と、なにも言わず拍手する名論永。拍手せずに眠そうな雪姫。
「金城崩(かなしろほう)さんも今日大丈夫なんだよね?大学は」
「あ、はい。もう3年生なので、そんなに講義講義の毎日ではないので」
「よし!それなら一安心だ!ということで、キッチン担当の梨入須(ないず)にももちろん来てもらってな」
なにも言わず目を瞑って「そうですねー」みたいなリアクションを取る雪姫。
「ま、夏前ということで。しかも金城崩さんが沖縄県民ということで
以前から話していた沖縄料理をメニューに加えられたらと思っております」
「はい」
「じゃあぁ〜まずは買い出しかな。みんなでスーパーへGo〜」
ということで4人でスーパーに買い物へ言った。スーパーに入って買い物カゴを持つ夏芽に
「あ、いいよ」
と買い物カゴを持つ名論永。
「あ、ありがとうございます」
「ソーセージソーセージ!試食コーナー!」
と歌いながら試食コーナーで焼かれているソーセージの匂いに釣られて
ソーセージの試食コーナーの前に行く神羽。そして爪楊枝が刺さった焼いたソーセージを食べ
「うまっ。買います!」
と言って名論永の買い物カゴに入れる神羽。
「店長。これいつも買ってるやつじゃないですよ」
と言う雪姫。
「いいのいいの。オレの酒のツマミよ」
「なんですかそれ」
「堅いこと言うなよぉ〜」
とゆらゆらと試食コーナーに戻って、もう1つ手に取って、雪姫の口に運ぶ神羽。
目の前に差し出されて思わず食べてしまう雪姫。
「…。ま、美味しいですけど」
「でしょぉ〜?特別に梨入須も酒のツマミで食べていいから」
「なんですかそれ」
と言いつつも
…あれ?今私、「あぁ〜ん」されたのでは?
と思って急激に照れる雪姫。
「さあぁ〜て。今日は金城崩さんの沖縄料理特集だから、必要なものどんどん入れちゃって」
「沖縄料理特集。番組みたいに」
と笑う名論永。
「たしかに」
と夏芽も笑う。
「あ!そーめん持ってくる。なんかこだわりあったりする?」
「あ、いえ」
「じゃ、いってきー。ウインナーを焼いてウインナーを売ってー」
と歌いながら神羽は素麺を探しに行った。
「あの、梨入須さん、卵ってありますか?」
と雪姫に聞く夏芽。
「…あぁ。ありますよ」
「じゃあ買わなくてよし。人参はありますか?」
「ありますよ」
「玉ねぎはあった。ネギもあったから大丈夫。ごま油は」
「あります」
「そりゃあるか。てかあったな。サラダ油もある。豚バラ肉は」
「…あるんじゃないですかね」
「じゃ、一応買っておきましょうか。あって損はないでしょうし。合い挽き肉も買っておいて。
あ、ニラはありますか?」
「ニラ…。どうだったかな」
「じゃあ買っておきましょう。ツナ缶はないです?」
「ツナ缶はないかもです」
と言いながら
備蓄品にあるかもだけど…
と思う雪姫。
「じゃツナ缶も買って。白出汁はある。梅干しもー…あった。うん。レタスとトマトは」
「…レタスはないかも。トマトはあるはずです」
「なるほどです。チーズはあるし、厚揚げはありますか?」
「…あぁ〜…。冬はおでん用に買ってるんですけど、この時期はないかもです」
「じゃ、厚揚げも買って、ゴーヤーゴーヤー…。
あ、調味料なんですけど、カレー粉はありましたよね?たしか」
「ありますね」
「じゃ、タバスコってありますか?」
「…。タバスコはぁ〜…、ないかもです」
「じゃ、タバスコも買わないと」
「そーめんこれでい?」
と素麺を持った神羽が現れた。
「あ、はい。ありがとうございます」
なんて感じで買い物をして店に戻った。
「なんでホンキも寄ったんすか」
と言う雪姫。
「え?いやさ?なんかいいの売ってないかなぁ〜って思って」
「なんの目的なく行ったんすか」
「ま、テキーラ福箱とか買おうかと思ってた」
「やめてくださいよ。パリピが集まるバーみたいになったら私辞めますからね」
「わかってるって。自慢じゃないけどオレ、バーとかクラブとかほぼ行ったことないからね?
働き詰めだったから」
「あぁ。いや、関係ないでしょ。
ここをテキーラとかバンバン飲みにくるようなバカが集まるような変な店にしないでくださいねって話です」
「はいはい。雪姫(ゆきひめ)の仰せのままに」
というやり取りを見て
「仲良いですよね」
と言いながら買ってきたものをレジ袋から出す夏芽。
「その仲間に金城崩さんも加わったってことだね」
と言いながら買ってきたものをレジ袋から出す名論永。
「そうなれるといいんですけど…」
「オレはもうそのつもりだけど」
と言う名論永にクスッっと笑って
「嬉しいです」
と言う雪姫。
「でも、梨入須さんとはまだ打ち解けられていなくて…」
「まあぁ〜、梨入須さんは人見知りだからね。オレも打ち解けるまでには時間かかったから」
「そうなんですね」
「オレもその頃は人見知りっていうか、そんなだったからあんま気になんなかったけど。
だから金城崩さんのほうが早く打ち解けるんじゃないかな」
「だといいんですけど…」
「梨入須さんも内心、女の子の仲間ができて嬉しいと思ってるはずだし」
と話していると
「おぉ〜。こう見ると随分買ったねぇ〜」
と神羽がテーブルにカウンターに並んだ食材を眺める。
「タバスコ?沖縄料理に?」
と神羽がタバスコを手に取りながら聞く。
「はい。沖縄の代表的な料理に使います」
と答える夏芽。
「へえぇ〜」
「一応今日のことを聞いて、母にLIMEでちゃんとレシピを聞いたので間違いないと思います」
「あ、わざわざ。ありがとうございます」
「いえ。ただ、沖縄料理ではあるんですけど、うちの味付けなんですけど大丈夫ですかね」
「ん?大丈夫大丈夫。沖縄の金城崩さんの家の料理なら沖縄料理よ」
と笑顔で言う神羽。
「さて。最初はなにを作ってくれるのかな?」
といつもはカウンターの中にいる神羽が、カウンターの席に座って楽しみそうに夏芽に聞く。
「じゃ、まずは簡単に作れるものから」
と言って夏芽は人参とツナ缶を持ってキッチンへ行った。
キッチンからトントンジュージュー音が聞こえてくる。
「楽しみっすね」
と神羽が名論永に言う。
「ですね」
「なんか腹減ってきました。な、梨入須」
スマホをいじる雪姫に話を振るが
「んー。そーっすねー」
と空返事する夏芽。しばらくして
「お待たせしました」
と出てきたのは、人参と卵、ツナがまぶされているシンプルな料理だった。
「お。美味しそうだけど、料理名は?」
「人参しりしりです」
「あ、聞いたことある」
と言う神羽。
「私も聞いたことある」
と言う雪姫。
「オレもどっかで聞いたことある」
と言う名論永。
「でもたぶん食べたことはない」
「私もです」
「たぶんオレも」
という3人はまかないを食べる用のそれぞれの箸で
「「「いただきます」」」
と言ってから大皿から取り皿に持っていってから口へ運んだ。
「うまっ」
神羽がいの一番に声をあげる。
「うん。美味しい。ちょっと味付け濃いめだけど」
と言う名論永。
「うまっ」
雪姫も静かに驚いていた。
「あ、私も記憶の中でも、母に聞いて事前に作ったときも味付けが濃いなと思ったので母に聞いたんですけど
味付けが濃いめなのは、父のお酒のアテだったからだそうです。
夜ご飯ができる前に軽くできるので、それで繋いでいたそうです」
「なるほどねぇ〜。これは、…小鉢で…出せるね…。人気…出そうだし…原価安いし…簡単に作れそう…」
「食べるか喋るかどっちかにしてください」
と言う雪姫。飲み込んでから
「梨入須もいいと思うっしょ?簡単に作れるし」
「ま…。そうっすね」
「じゃ、次の作っても大丈夫ですか?」
「うん!お願いします!」
「はい」
と夏芽は食材を手にキッチンへ向かった。またトントンジュージューと聞こえてくる。
「人参しりしりうまっ。酒欲しくなるわ」
「飲まないんすか?」
「新メニュー考案会だからな。我慢我慢」
「考案会って。考案したのは金城崩さんですけどね」
と言う雪姫。
「たしかに。じゃあなんてーの?なに会?」
と聞く神羽に、斜め上を向いて考える雪姫。
「選考会?」
と名論永が言うと
「「それだ!」」
神羽と雪姫がハモった。なんて話していると
「お待たせしました」
と夏芽が卵焼きの乗ったお皿を出してきた。
「シンプルぅ〜」
と笑う神羽。
「卵焼き?」
と言う名論永。
「っすね。でも沖縄料理なの?」
と神羽が不思議そうに聞く。
「はい。一応。アーサのだし巻き卵って感じで」
と言う夏芽に
「「「アーサ?」」」
とハモる3人。
「アーサ?ゲームとかでよく出てくるやつ?」
と神羽が言うと
「それアーサーじゃない?」
と言う名論永。
「アーサーのだし巻き卵ってなに。めっちゃ怖い」
と言う雪姫。そんな3人に
「あ、アーサは、あ、おさです」
と説明する夏芽。
「あぁ!あおさ!」
「へぇ〜。食べたことない」
ということで食べてみることに。
「おぉ〜?おぉおぉ。美味しい美味しい。なんかもっと磯臭いかと思ったけどあれだね。
海苔の感じ。ラーメンのスープに浸して溶けた感じの」
「そうですね。うん。美味しい。シンプルに卵焼きが美味しい」
と言う名論永に
「めろさん、卵焼き好きなんですか?」
と聞く夏芽。
「うん。オムライスとか、子どもっぽいけどね」
「いえいえ」
「オムライスは美味しいっすよ。全然子どもじゃないっす。オレも好きっすもん」
と言う神羽。
「じゃ、次の作ってきますね」
とまた夏芽は食材を持ってキッチンへ行った。
「あおさのだし巻き卵かぁ〜…。うちもうメニューにだし巻き卵あるからなぁ〜」
「でもいつもの工程にあおさ混ぜるだけなんじゃないですか?」
「まー…。どお?梨入須的には」
「…ま、美味しいですけど、工程がめんどうならちょっと。
めろさんが言ったみたいにあおさ混ぜるだけなら、まあ」
「金城崩さんいるときだけ、あおさのだし巻き卵もメニューに加えて
あおさのだし巻き卵の注文入ったら、それは金城崩さんに作ってもらうとかは?」
「ま、それなら全然いいですけど」
などと話していると
「すいません。だいぶお待たせしてしまって」
と夏芽がキッチンから出てきた。
「ううん大丈夫よ。人参しりしりをつまみに話してたし。ま、お酒欲しくなるけどね」
「ですよね」
と言いながらお皿を出した夏芽。お皿にはチヂミのようなものが乗っていた。
「お。チヂミ?」
「そー、ですね。沖縄版って感じです。ヒラヤーチーっていいます」
「ヒラヤーチー?」
「はい。一応どうしたらいいのかわからなかったので、ソースはかけてません。
ソースかけて食べてもらうんですけど」
「あぁなるほどね?実際お客さんにお出しするときにソースかけて出したらいいのか
お客さんに食べる直前にかけてもらったほうがいいのかってことね?」
「はい」
と夏芽が答えると
「素晴らしい!」
と拍手する神羽。
「いや、お客さんのことを考えていて素晴らしい。ちなみにどれくらいかければいい?」
「こればっかりは好みなんですけど、べっとりかける人もいれば、かけずに食べる人もいますし」
「じゃ、まずはかけずに食べてみますか」
ということで、まずはソースをかけずに食べてみた。
「んん!美味しい美味しい」
「うん。美味しい」
と言う神羽と名論永、静かに食べる雪姫。
「よかったです」
「ムズイなぁ〜。このままでも美味しいけど、今はシラフだからなぁ〜。
酔ってるときに食べたらって考えると、物足りない…かも?うん。ソースはお客さんの好みでかけてもらおう」
実際にソースをかけて食べてみると
「うん!うまい!インパクト!」
ガツンとした濃いうまみがダイレクトアタックしてきた。
「じゃ、次の作ってきます」
と言ってまた夏芽はキッチンへ行った。
「人参しりしりは小鉢。ヒラターキー?は小さく焼けるんなら1枚かな」
と出し方を想定する神羽。
「そんなシラタキみたいな名前でしたっけ?」
と言う雪姫。
「…。正味覚えてない。平たいから「ヒラ」だけは覚えてたけど。
てか沖縄料理ってもっとクセ料理のイメージあったけど、めっちゃ馴染む美味しい料理ばっかじゃん」
と言う神羽に
「たしかに」
同意する名論永。
「まだ3品だけですけどね」
と言う雪姫。しばらくすると
「お待たせしました。揚げ物あんまり家でしないので、うまくできたかわかんないんですけど」
次は揚げ物だった。
「お。うまそ。…うだけど、なにこれ?なんの天ぷら?」
「もずくの天ぷらです」
と言う夏芽に
「もずくの天ぷら?珍しっ」
と驚く神羽。
「これは、塩とか麺つゆとかつけずに食べるほうがいい?」
「そうですね。そのままってのが」
「おっけ。じゃ、いただきます」
と言って食べる3人。
「うん!うまっ。あれだね。衣厚めだね?」
と言う神羽。
「そうですね。これ揚げたてなんでサクッっとしてるんですけど
地元では、お惣菜として売ってて、そのときはもっと、なんていうんだろう。
もっさり?した感じなので、ちょっと違うんですけど」
「へえぇ〜。じゃ、ちょっと置いて食べてみようかな」
「じゃ、その間にまた作っちゃいますね」
と夏芽がキッチンへ行って、しばらくしてから出てきた。
「ゴーヤーチャンプルーです」
「おぉ!ど定番」
「私苦いの苦手なんだよなぁ〜…」
「厚揚げ入ってるの?あれ?入ってたっけ?」
「いや、地元では島豆腐を使うんですけど、こっちでは見ないので
私なりに木綿とか絹とか高野豆腐とかいろいろ試したんですけど、一番近かったのが厚揚げかなって思って」
「あ、へえぇ〜。元々豆腐入ってたんだ?全然印象になかった」
「あと、本当はスパムを使うんですけど、私がスパム苦手で、兄と姉と弟と妹も苦手で
じゃあってことで母が豚バラに変えてくれて、それがうちのゴーヤーチャンプルーになりました」
「あぁ〜たしかに。スパム。そうか。なるほどね?」
と言いながら食べてみる3人。
「うん!沖縄ぁ〜」
「たしかに沖縄だなぁ〜」
雪姫はゴーヤーを避けて食べた。
「厚揚げと豚バラうまっ」
「梨入須ーゴーヤも食べい」
と雪姫のお皿にゴーヤーを乗せる神羽。
「ちょ。やめてくださいよ。パワハラっすよ」
「は?好き嫌いする子に教育してるだけですー」
「うわ。暴力教師とかの言い分」
「いいから食え」
と言う神羽に、嫌ぁ〜な顔をしてから食べてみる雪姫。
「…。苦い…」
「そうか?なんかふつーより苦みマイルドな気がするけど。ま、そんな頻繁にゴーヤ食べないけど」
「私もそんなにゴーヤーの苦みが得意じゃなくて、兄弟と姉妹も得意じゃない子多くて
それで母に「なんか工夫してた?」って聞いて、一応苦みをマイルドにしてた技を教えてもらったんです」
「だから」
と納得する神羽に
金城崩さんも苦いの好きじゃないんだけど。沖縄の人なのに意外
と夏芽に少し親近感を抱き、興味を持ち始めていた。
「ゴーヤ食べるだけで一気に沖縄感ある」
「わかります」
「じゃ、また作ってきます」
「お願いしまーす」
夏芽がキッチンへ行く。そして少し時間が経ったもずくの天ぷらを食べてみる。
「あぁ〜…。重い」
「たしかに。もっさりって表現そのまんまだ」
「ですね。でも中がジュルッって感じなんで、ま、いけますけどね」
「飲みの後半にこの重いのはキツイかなぁ〜…。揚げたてで全部食べてもらえたら大丈夫だけど」
などと話していると
「うわっ。めっちゃいい匂いしてきた」
キッチンから濃い匂いが漂ってきた。しばらくすると
「すいませんお待たせしました」
と夏芽が出てきた。お皿には
「おぉ!タっコ、ラぁイス」
タコライスが盛られていた。
「うまそぉ〜!」
と目を輝かせる神羽に生唾を飲む名論永。
タコライスって沖縄料理なの?
と思う雪姫。
「いただきまぁ〜す!」
と言って育ち盛りみたいに食べる神羽。
「うまぁ〜…。え。今オレ高校生に戻ってない?」
と雪姫に聞く神羽。
「タトゥー入ってる24歳です」
「戻ってないかぁ〜。でもマジで育ち盛りに戻るくらいうまい」
と目を輝かせて夏芽に言って
「よかったです。ありがとうございます」
と言う夏芽の言葉の後
「…ん?タコライスって沖縄料理なの?トルコとかそっちの料理じゃないん?」
と疑問が浮かんだ神羽。
「なんでトルコなんですか。メキシコでしょ」
と言う雪姫。
「そうなん?」
「知らないですけど」
「なんだそれ」
という神羽と雪姫に
「正直どこの料理かとかはわかんないですけど、沖縄では結構日常的に食べてたので」
と言う夏芽。
「へえぇ〜」
と言う神羽の横でスマホをいじる雪姫。
「…あ、沖縄料理、なんですって」
と調べて、スマホの画面を神羽に見せる雪姫。画面には「タコライスは沖縄県発祥」と表示されていた。
「へえぇ〜。マジか。AIが言うなら本当か」
と言う神羽に
「いや、AI全面的に信じないでください」
と言う雪姫。
「じゃあなんで見せたんだよ」
「いや、驚いて。…ま、でも他サイトでもタコライスは沖縄料理って書いてますから本当なんでしょうね」
「AIは信じないで、どこの誰かわかんないやつが書いたサイトの言葉は信じんのか」
「うるさいなぁ〜。AIの言うことなんでもかんでも信じないほうがいいって言ったんです。
ちゃんとソース調べましょうよ。って話です」
「…梨入須って変なとこちゃんとしてるよな」
「変なとこってどーゆーことっすか」
と神羽と雪姫が話す中
「あ、じゃ、次お願いしても」
と夏芽に言う名論永。
「あ、はい」
とキッチンへ行く夏芽。
「ちなみにタコライスのタコは海のタコじゃなくて、タコスのタコだそうです。
ちなみにタコスは、メキシコ料理ですぅ〜」
と「言ったでしょぉ〜」みたいな言い方をする雪姫。
「あぁ〜、そおぉ〜ですかあぁ〜」
と言った後、タコライスを食べる神羽。
「うまっ」
しばらくすると
「お待たせしました」
とお皿を持ってやってきた夏芽。
「一応これが最後になります」
お皿にはそうめんと人参、ネギなど色鮮やかな野菜に、薄っすらピンクがかったソースがかけられていた。
「え。なにこれ。ピンク」
「あ、前話してたソーミンチャンプルーです」
「あぁ!え、これが?イメージと全然違った。へぇ〜。ピンクなんだ?すごっ」
「あ、いえ。たぶんうちの家庭だけかなって。
他にもやってる家あるかもしれないですけど、相当珍しいと思います」
「へえぇ〜。じゃ、ま、いただきます」
そう言って神羽、雪姫、名論永がそれぞれ取り皿に取って食べてみる。
「うまっ!え。しっかりした味なのにさっぱり食べれる。なにこれ」
「たしかに。めちゃくちゃ爽やか」
と言う神羽と名論永。静かに驚く雪姫。
「…あぁ。これツナか」
「はい。ツナです」
「金城崩さんツナ好きなのね。人参しりしりにも入ってたし
ヒラヤーチー?だっけ?にも入ってるって言ってたし。
…あ、もしかしてご家庭がツナ好きとか? お父さんとかご兄弟とか」
「あ、いえ。あ、もちろん私も好きなんですけど、沖縄ではツナ缶が日常的にあるんですよ。
スーパーでも、東京みたいにバラで売ってるとかじゃなくて
箱で平積みされてるのが当たり前で。お中元なんかでもツナ缶の段ボールが届くくらいで」
「へぇ〜。お中元でツナ缶。高級なやつ? 」
「高級ぅ〜…どうなんですかね。それはわかんないですけど。
それで、東京来たらスーパーでツナ缶の主張が少なくて…。
大学の友達に聞いたら「うん。それ沖縄だけだね」って言われてそこで初めて気づきました。
沖縄だけなんだって」
「へえぇ〜。このピンクいのは?」
と神羽が言うと
「梅干し」
と雪姫が呟く。
「そうです!味付けに梅干しをほんの少しだけ入れてるんです。
白出汁に梅干しを混ぜて少し置いとくので、ピンクがかるんですね」
「なるほど梅干しか。たしかに言われてみれば梅の香りがほのかにする。
だからさっぱり食べれたわけだ。めっちゃ綺麗よな」
「綺麗ですね。これだと梅干し苦手な人でも食べれるー…かも?」
「たしかにっすね。いやぁ〜…。これはシメ料理だな」
と言いながら神羽は腕を組んで大きく頷く。
「ま、もちろん酒飲んでるときに食べてもうまいだろうけど
これはシメにもスルスルいけてしまう、魅惑のソーミンチャンプルーだよ。
あ、魅惑のソーミンチャンプルーってメニュー名どお?」
「ま、いいんじゃないですか?」
「でもなぁ〜…」
と腕を組み悩む神羽。
「自分で言っといて?」
と呟く雪姫。
「いや、金城崩さんが持ってきてくれた料理だからぁ〜…。
あ!夏のソーミンチャンプルーは?夏らしいし、金城崩さんの名前の一部入ってるし」
「お。いいんじゃないですか?」
「え。私の名前。いいんですかね」
「いいのいいの。「シメにピッタリ!(びっくりマーク)」とか書いてね」
「全部採用なんすか?」
と言う雪姫に
「うぅ〜ん…」
と腕を組み悩む神羽。
「全部美味しかった。ただぁ〜…。タコライスに関しては、ちょっとうちではって感じかな。
もちろん美味しかったし、個人的には食べたくはあるんだけど
メニューとして出すとなると、非常に難しい。1人で来てくれるお客さんもいるから
もし頼まれるとなると、1人だと完食できない可能性がある。
もちろん美味しいから完食できるとは思うんだけど、お酒でお腹膨れてて、酔ってると
気持ちよくて胃袋のキャパもリミット無し!みたいな感じに思えるけど
どっかしら気持ち悪いじゃん?そのときにこの、結構ガツンとしたタコライスは厳しいかも。
昼メニューとしては全然ありなんだけどねぇ〜…。ま、あとは全部レギュラーメニューにしたいくらい」
といつもおちゃらけている神羽がまともなことを言って、夏芽は目をパチクリさせていた。
「あ、これでも店主だからね」
と言う名論永。
「ビックリしてる」
呟く雪姫。
「あ、金城崩さんもありがとうございました。お疲れ様でした。
こっち来て休んでいいよ。にしても美味しいわぁ〜…」
と食べる神羽。カウンターの内側から出てカウンター席に座る夏芽。
「お疲れ様です」
と名論永が言う。
「あ、ありがとうございます」
「ん。ほうあ。さえおむ?(訳:あ、そうだ。酒飲む?)」
「食べ終わってからしゃべってください」
と雪姫に言われ、飲み込んでから
「酒飲もう!なにがい?」
と言いながら立ち上がる神羽。
「私梅酒サワー」
手を挙げながら言う雪姫。
「好きだなぁ〜」
「美味しいし。それにソーミンチャンプルーにも合うし」
「…。たしかに。天才のそれだな。オレも梅酒サワーにしよー」
と言う神羽。立ち上がる名論永。そして
「金城崩さんはどうします?」
と聞く。
「あ、自分で作るので大丈夫ですよ」
「嫌じゃなければ自分ののついでに作ってくるけど」
「え、あ、じゃあ。私も梅酒サワーをお願いしてもいいですか?」
「はい。梅酒サワーですね」
と言ってカウンターの内側へ行く。
「めろさんも梅酒サワーっすか」
「うん。2人の話聞いてたら飲みたくなってね」
ということで4人で梅酒サワーで
「かんぱぁ〜い!」
「「「かんぱい」」」
乾杯した。
「…。お。梅酒サワーうまいな。ビールから移行しようかな」
とグラスを見ながら言う神羽。
「最初は疑ってたくせに」
「え?そうだっけ?」
「そうですよ。「居酒屋で梅酒サワーなんて出るか?」なんて言って」
「でも置いてるってことは、お試しで入れたんだろ?優しいじゃんオレ」
「自分で言いますか」
「ぬははぁ〜」
「でも私のお陰で若い女性客も来るようになったんだから感謝してほしいっすね」
と言う雪姫に
「梨入須」
と真剣な声で雪姫を見る神羽。
「なっ、なんすか」
「うちに来てくれてありがとな」
と笑顔で言う神羽に、ドキッっとして顔が赤くなる雪姫。
「あぁ〜どうもどうも」
「ん?顔赤くね?もう酔ったん?」
「酔いました酔いました」
「あ。わかった」
と言う神羽に、気持ちがバレたかとドキッっとする雪姫。
「オレがイケメンすぎて照れたんだ」
と大きく的は外してはいないが的外れな解答に安心し
「アーハイハイ。ソレデスソレ」
とテキトーに流した。
「おい!流すなよ!」
「たしかに梅酒サワーに金城崩さんのソーミンチャンプルー合う」
と言う名論永。
「ん。ほんとだ。女子が好きそうなコンボですね」
「だね」
なんて試食会は盛り上がった。
コメント
3件
わあ、沖縄料理試食会の話、すごく楽しかったです!人参しりしりからソーミンチャンプルーまで、どれも美味しそうでお腹が空きました。特に雪姫さんが「あ〜ん」されたことに気づくシーンが可愛かったです。神羽さんとのやり取りも温かくて、この店の雰囲気が伝わってきました。夏芽さんの家庭の味がメニューになる展開、素敵ですね!