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チトセ_kt国
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#二次創作
よんがつ
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#夢小説
しらすのお部屋
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つばささん、第20話読ませていただきました。 パラドが「俺がやる」って言った瞬間、心臓がぎゅっとなりました。永夢くんの「だめだ!」って叫び、あの震え、すごく伝わってきました。それでもパラドが「お前はどうなんだよ」って永夢自身の笑顔を問う場面、じんわり胸に響きました。最後の「任せろ、永夢」が優しくて、涙が出そうになりました。お互いを想う気持ちのぶつかり合い、本当に素敵でした。
病室の空気が、わずかに変わる。
今まで見えなかった出口が。
ほんの少しだけ、見え始めていた。
だが。
飛彩は冷静なまま口を開く。
「可能性があるというだけだ」
その一言で、空気が引き締まる。
「ゲムデウスとレウコイドは別物だ」
「同じ方法で成功する保証はない」
永夢も静かに頷いた。
それは分かっている。
だが。
何もないわけではない。
それだけでも十分だった。
「……どうするんですか」
永夢が尋ねる。
飛彩はモニターへ視線を向けた。
「まずは解析だ」
「骨髄穿刺で採取したサンプルが残っている」
永夢の表情がわずかに変わる。
あの検査の時のものだ。
大我が続ける。
「レウコイド因子を徹底的に調べる」
「構造」
「性質」
「全部だ」
貴利矢が肩をすくめる。
「敵を知らなきゃ攻略もできないからね」
飛彩が頷いた。
「その上で」
「 抗体を作る」
病室が静まり返る。
永夢が小さく呟く。
「抗体……」
「ゲムデウスワクチンと同じ考え方だ」
飛彩が説明する。
「レウコイド因子に順応し、それを抑制できる抗体を作る」
「それをガシャット化する」
永夢の瞳が揺れた。
もし本当にできるなら。
レウコイド因子だけを狙って除去できるかもしれない。
白血病治療への道も開ける。
だが。
大我が低く言った。
「問題はそこからだ」
貴利矢の表情も真剣になる。
永夢が顔を上げた。
大我は腕を組んだまま続ける。
「ゲムデウスワクチンがどうやって完成したか覚えてるか」
病室が静かになる。
貴利矢の脳裏に、あの戦いが蘇る。
そして、重たい口を開く。
「…ウイルスへの順応」
「ああ」
大我が頷く。
「抗体を作るには」
「まず、そのウイルスに耐えなきゃならねぇ」
沈黙。
永夢の表情が強張る。
そして。
パラドが静かに口を開いた。
「なら」
全員の視線が向く。
パラドはごく当たり前のように言った。
「俺がやる」
病室が凍りついた。
パラドは腕を組んだまま続ける。
「レウコイド因子をガシャット化するんだろ」
「だったら誰かが順応して抗体を作る必要がある」
一拍。
「人間じゃ無理だ」
飛彩も否定しない。
レウコイド因子がどれほど危険か。
この場の全員が知っている。
パラドは永夢を見る。
「だったら」
「俺しかいないだろ」
その言葉に。
永夢の顔色が変わった。
「だめだ!」
即答だった。
病室の空気が張り詰める。
永夢は真っ直ぐパラドを見ていた。
「そんなこと――」
声が震える。
「そんな危険なこと、認められない」
パラドは視線を逸らさない。
ただ静かに。
永夢を見返していた。
病室が静まり返る。
永夢はパラドを見つめたまま続けた。
「あの時、ゲムデウスの抗体を作った時だって……」
拳が震える。
「貴利矢さんも、黎斗さんも」
「命懸けだったって聞きました」
貴利矢の表情がわずかに曇る。
あの戦いを思い出したのだろう。
永夢は唇を噛む。
「パラドだって同じだ」
「不死身じゃない」
「消滅する可能性だってある」
沈黙。
誰も否定しなかった。
それだけで十分だった。
永夢は目を伏せる。
「そんなの……」
かすれた声。
「そんなの、だめです」
小さくため息が落ちた。
永夢が顔を上げる。
パラドは肩をすくめる。
「それくらいの覚悟はできてる」
一拍。
「ふざけるな!」
思わず声が響く。
「命だ!」
「お前の!」
視線がぶつかる。
それでもパラドは逸らさない。
「でも――」
「でもじゃない!」
遮るように叫ぶ。
声が震えていた。
怒りなのか、恐怖なのか、自分でも分からない。
「僕は……」
息を吸う。
胸の奥が苦しいほど締め付けられる。
「お前を危険に晒してまで――」
言葉が詰まる。
それでも永夢は絞り出した。
「そんなことしてまで、生きたくない!」
病室に沈黙が落ちた。
しばらくして。
パラドが静かに口を開く。
「……俺は」
一歩だけ近づく。
「お前から命の大切さを教わった」
永夢が息を呑む。
「だからこそ」
「俺は、お前の命を守りたい」
言葉を失う。
何も返せない。
ただ胸だけが痛かった。
「でも……」
ようやく絞り出す。
「言ったじゃないか……」
「自分の命も大切にしろって」
パラドは少しだけ笑った。
「心配すんな」
永夢は何も言えない。
怖かった。
また失うことが。
もう二度と会えなくなることが。
そんな永夢を見ながら、パラドは続ける。
「お前、いつも言ってるだろ」
低い声。
「患者の笑顔を取り戻すって」
永夢の肩がわずかに揺れる。
「じゃあ」
視線が重なる。
「お前はどうなんだよ」
逃げ場のない言葉。
「自分の笑顔は取り戻さなくていいのか」
胸の奥が強く締め付けられる。
何度も。
何度も。
自分が患者に伝えてきた言葉だった。
それが今。
自分自身へ向けられている。
だが、パラドはそこで終わらなかった。
「それにな」
静かな声。
「お前自身だけの話じゃない」
永夢が顔を上げる。
パラドは真っ直ぐ見据えたまま言った。
「お前がここで諦めたら」
一拍。
「これから先、お前に救われるはずだった患者はどうなる」
永夢の息が止まる。
「お前が生きてたら笑顔になれた奴がいる」
低く。
けれど確かな声。
「苦しくても、お前なら助けられた奴がいる」
胸が痛い。
「お前は医者だろ」
パラドの視線が揺らがない。
「だったら、責任もって生きろ」
その言葉は命令じゃない。
願いだった。
「お前が生きないと」
小さく息を吐く。
「これから先、大勢の患者を笑顔にすることができないんだぞ」
そして。
「それでもいいのか、永夢」
永夢は目を閉じる。
そして小さく笑った。
「……ずるいよ」
かすれた声。
「そんな言い方」
パラドが鼻で笑う。
「お前に教わったからな」
永夢はしばらく黙り込む。
やがて。
ゆっくりと顔を上げた。
「……本当に」
永夢の声は小さかった。
「消えないんだな?」
確認するような問い。
次の瞬間。
パラドは呆れたようにため息を吐いた。
「……お前な」
「そもそも俺が消えたらどうなる」
永夢が目を瞬かせる。
「え……」
「抗体作れねぇだろ」
あまりにも当然のような声だった。
病室が一瞬静まる。
貴利矢が思わず吹き出した。
「そこかよ」
大我も呆れたように顔をしかめる。
「相変わらずだな」
だが。
パラドは真面目だった。
「目的は抗体を作ることだ」
「途中で消えてたまるか」
一歩近づく。
「だから」
真っ直ぐ永夢を見る。
「安心しろ」
短い言葉。
それだけだった。
けれど。
永夢には十分だった。
その言葉に嘘はなかった。
永夢は目を閉じる。
怖さが消えたわけじゃない。
納得したわけでもない。
それでも。
信じたいと思った。
ゆっくりと目を開く。
そして。
一人ずつ見渡した。
飛彩。
大我。
貴利矢。
そしてパラド。
「……お願いします」
短い言葉。
だが。
その中には覚悟が込められていた。
一瞬の静寂。
大我が鼻を鳴らす。
「最初からそのつもりだ」
飛彩も小さく頷いた。
「成功させる」
貴利矢が笑う。
「患者にお願いされたら断れないしな」
そして。
パラドは腕を組みながら口元を緩めた。
「やっと決めたか」
視線がぶつかる。
「任せろ、永夢」
そう言いながらも。
その声はどこか優しかった。