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琳埜
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唇が、そっと触れる。
ほんの一瞬のキス。
ローレンがゆっくり離れる。
夜風が二人の間を通り抜けた。
葛葉は固まっている。
「……」
『……』
「……え」
ローレンは目を逸らす。
『……今の』
『忘れろ』
「無理」
『……無理じゃない』
「いや無理だろ」
葛葉の顔は真っ赤。
「……お前からキスした」
『……勢い』
「勢いでキスするな」
『……うるさい』
葛葉は少し笑う。
「……ローレン」
『……何』
「もう一回して」
『……は?』
「さっきの」
『……断る』
「えー」
ローレンは耳まで赤い。
『……もう部屋戻る』
くるっと背を向ける。
そのまま部屋に入る。
葛葉は少し遅れてついていく。
――――――――――――
部屋の中。
ローレンはソファに座る。
落ち着こうとしているのが丸わかりだった。
葛葉はその前に立つ。
「……ローレン」
『……何』
「顔赤い」
『お前も』
「……さっきのさ」
「嬉しかった」
ローレンが一瞬止まる。
『……そう』
「うん」
葛葉は少しだけ笑う。
「だから」
「逃げんな」
『……逃げてない』
「逃げてる」
ローレンは立ち上がる。
『……風呂入る』
その瞬間。
葛葉が手首を掴む。
『……ちょ』
ぐいっと引き寄せる。
ローレンの体が葛葉の胸にぶつかる。
距離ゼロ。
「……ローレン」
『……離せ』
「やだ」
「……なんで」
「さっき」
「キスしたの」
ローレンは視線を逸らす。
『……したかったから』
「じゃあ」
「俺もしていい?」
『……』
ローレンは何も言わない。
でも離れない。
葛葉はそっとローレンを抱きしめる。
ぎゅっと。
ローレンの肩が少し力抜ける。
「……タバコの匂い」
『……悪いか』
「いや」
「嫌いじゃない」
ローレンは小さく息を吐く。
『……ばか』
葛葉はそのままローレンの額に軽くキス。
『……っ』
「顔真っ赤」
『……うるさい』
葛葉は少し笑って言う。
「……こっち」
ローレンの手を引く。
ベッドのある部屋へ。
『……おい』
「何」
『……どこ行く』
「ベッド」
『……は?』
葛葉は振り返る。
少し照れながら笑う。
「……ただ」
「一緒に寝るだけ」
ローレンはしばらく黙って、
『……ほんとかよ』
「ほんと」
『……信用できねぇ』
「ひど」
「でも、ローレンが可愛すぎて襲っちゃうかも」
『っ……、』
ローレンは息を飲む。
でも手は離さなかった。
夜はまだ長い。
その先は、
二人だけの時間だった。
コメント
1件
ついに来ましたね…!ベランダでのあの緊張感がここで結実する流れ、めちゃくちゃいいです。特に「忘れろ」「無理」の掛け合いとか、照れ隠しで距離取ろうとするローレンとそれを許さない葛葉のバランスが絶妙で、読んでるこっちまで赤面しました。二人がゆっくり縮まる距離感が丁寧に描かれていて、夜風の描写も効いてたなあ。甘噛みさんの"空気の書かせ方"、本当に好きです。続き、気になりますね——!