テラーノベル
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私達は、街の書店に立ち寄っていた。
セレン「へぇ……最近はこういう魔導書もあるのね」
アイラ「セレン、こういうのが好きなの?」
セレン「ええ、これでも一応、魔女ですから!」
その平穏は突如として切り裂かれた。
男性「おい!金を出せ!脅しじゃねぇぞ!」
皆「きゃあぁぁ!」
セレン「急いで、みんな外へ!」
骨を砕くような鈍い音が店内に響き渡る。
セレン「あなた、大丈夫!?」
倒れ込んだ女性に駆け寄る。
女性「ええ……大丈夫……っ、グハッ……」
彼女の体から、どろりと黒い液体が流れ出し、床を染めていく。
心臓の鼓動が耳に響き、息を吸うたびに世界の音が遅く流れるようだった。
胸の奥が張り裂けるようで、手足の震えが止まらない。
セレン「ねぇ!ちょっと!しっかりして、起きて!」
私の掌から、確かな温もりが、みるみるうちに冷めていくのが分かった。
アイラ「大丈夫か、セレン……?」
私はただ、震えることしかできなかった。
アイラが転移魔法で彼女を病院へ送ったが、私の震えは止まらない。
――ピーーー。
セレン「また……また、救えなかった……」
アイラ「セレン……」
セレン「ええ、大丈夫よ。分かっているわ……少し、風に当たってくる」
私は重い足取りで病院の屋上へ向かった。
柵の向こう側を見つめ、限界まで足を出す。その瞬間。
アイラ「待って、セレン!」
アイラが後ろから私を強く抱きしめた。
アイラ「大丈夫、ここにいる」
ただ私を抱きしめ続けてくれた。
アイラの手が背中に回り、力強く押さえられる。鼓動が伝わり、徐々に私の呼吸も整っていく。
彼女の落ち着く香りと温もりが、今の私にはあまりにも、痛いほどに染みた。
皆「魔女様!ありがとうございます。貴方たちのおかげで、私達は生き延びることができました」
その感謝の言葉に、私はさらに声を上げて泣いた。
私はまた、誰かを救うことができなかった。
冷たい風が背中を撫でる。屋上の柵の向こう、街の景色が歪んで見える。
けれど、もし少しでも私にできることがあるのなら、私は……。
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水の魔女セレン(瑟伦)