コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
放課後の生徒会室は、文化祭準備の資料でごった返していた。
机の上には各クラスに配るプリントやポスターが山積みになり、らんはチェックリストを片手に忙しそうに動いていた。
🌸「 … これ、各教室に配布する分なんだけど … 」
らんが指した段ボールは、コピー用紙がぎっしり詰まっていて、持ち上げただけで腕が震えそうな重さだった。
一緒にいたこさめとみことは、別のクラスへポスターを届けに向かったところ。
だから、この場に残っていたのは__
らんと、たまたま資料を運ぶよう頼まれていたいるまだけだった。
📢「俺が持ちます」
そう言って、いるまは迷いなく箱を持ち上げる。
思った以上の重さに少しだけ眉を寄せたが、それでも軽々と抱え直す姿に、らんは目を丸くした。
🌸「ぇ、でも … これ重いよ?」
📢「平気っす」
短く返し、そのまま廊下に出る。
らんは慌てて彼の横に並び、微笑んだ。
🌸「ありがとう、助かるなぁ。やっぱりバスケ部だね」
📢「 … 別に」
ぶっきらぼうに答えるいるま。
けれど、耳の先がほんのり赤く染まっているのを、らんは見逃さなかった。
静かな廊下に2人の足音だけが響く。
クラスメイトたちが準備に駆け回っている時間、こうして生徒会の用事を手伝ってくれる後輩と2人きりになるのは、らんにとっても珍しかった。
🌸「いるまって、普段から後輩のお世話とかしてるの?」
📢「まぁ、少しは … 下が頼りなくて」
🌸「ふふっ、優しいんだね」
らんの柔らかな笑顔に、いるまは心臓を撃ち抜かれたような感覚を覚える。
📢「 … 別に優しくなんか、、 … 」
言いかけて言葉を飲み込み、視線を前に戻す。
廊下の窓から差し込む夕陽に照らされるらんの横顔が、どうしようもなく眩しく見えた。