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第四話
中級討伐
あのレポートが良かったらしく、私たちの討伐ランクは引き上げられた。
一気に中級クラスの討伐任務。
「はぁ……緊張してきたわ。どないしよ……。うち、今日は三種類しか持ってきてないんよ」
いつもの元気はどこへやら。
椥辻さんの緊張が、こちらにも伝わってくる。
「ぼ、僕も増強剤とか、回復薬はいつも以上に……っ、用意してるけど……」
可威くんも不安そうに鞄を抱えている。
「ね、椥辻さん、御厨くん。二人に攻撃を任せてもいい? 私は今回、防御に回ったほうがいいかもしれない」
初めての中級クラス討伐。
出発前、担任から言われた言葉が頭から離れない。
――遺書を用意しておけ。
遺書。
その言葉だけで、今までの敵とは比べ物にならないことを物語っていた。
「大丈夫よ、綺ちゃん♡」
七鳳がいつもの笑顔を浮かべる。
「あたしと椿希ちゃんで、二人を守ってあげるからね」
その明るさが、今日の私にはとても助かった。
「……」
一方、神剣くんは――
相変わらず寝ていた。
本当に頼りにならない。
……大丈夫なのかな。
◇ ◇ ◇
「しっかりして、御厨くん! 今、治癒で――」
「だめだよ、早乙女さん!」
可威くんが叫ぶ。
「君の防御壁を解くわけにはいかない! 御厨くんは僕に任せて!!」
「皇刃くん……わかった!」
私は頷き、全身の力を防御壁へと回す。
ズンッ!!
目の前で、化物の巨体が地面を叩きつける。
防御壁が大きく揺れた。
「くっ……!」
御厨くんは、もう虫の息だった。
一人で化物を相手にしている椥辻さんも、限界が近い。
なのに――
あの男は……っ!
「は、ぁ……っ。ドジちゃったわ……。ご、ごめんなさいね……可威くん……っ」
「喋らないで、御厨くん! 気にしなくていいから!」
可威くんは必死に薬を調合している。
「……可威くん……っ」
「なに?」
「調合中は……っ、前髪……あ、げるのね……っ」
苦しそうに息をしながら、御厨くんが微笑む。
「青い瞳……と、ても……っ、き、れいよ……っ」
「だめだ、御厨くん!」
可威くんの手が震える。
「もう少し待って!!」
私の力も限界に近かった。
防御壁が軋む。
椥辻さんの動きも、明らかに鈍くなっている。
このままだと――
「……おい」
その時だった。
重たい空気が、戦場を包んだ。
「……え?」
あれだけ私たちを蹂躙していた化物が――
その一言を聞いただけで、動きを止めた。
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「神剣……くん?」
振り返る。
そこには、いつもの眠そうな顔をした神剣くんが立っていた。
「……うるせーぞ」
低い声。
ただ、それだけ。
なのに――
空気が震えた。
大地が軋む。
そして。
化物が、一歩。
後退った。
「……え?」
さらに一歩。
化物が、神剣くんから距離を取る。
嘘……。
化物が……?
怯えてる……!?
コメント
1件
第4話、読み終えました。中級討伐、一気に緊張感が増しましたね。椥辻さんの「三種類しか」の不安、可威くんの必死の調合、綺ちゃんの防御壁の軋み――それぞれの立場がよく描かれていて、臨場感がありました。そして何より神剣くんの「うるせーぞ」の一言で化物が怯える展開、痺れました。普段寝てるだけのキャラがここで一気に化ける、カタルシスがすごいです。あの空気の震え、大地の軋み……何者なんだろう。続きが気になります。