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真夜中、ノアは弱くなった焚き火に乾いた葉と木の枝を投げ込む。火を見張っていると、簡易的に設営したテントから物音が聞こえる。
ノア「傾?まだ交代には早いけど…」
傾「そうか。俺は川に行く。」
ノア「1人じゃ危ないし、一緒に行こうか?」
傾「要らん。」
それだけ言うと、傾は1人でさっさと川に行ってしまう。
ノア「…傾でも真っ青な顔をすることあるんだなぁ…。あれこれもしかして失礼だったかな…。」
傾「寝汗で気持ち悪いな。これじゃろくに寝付けん。…もっとも、寝汗がなくとも暫く寝付けそうにないが。 」
???「そんならわっちが手伝ってあげんしょうか?」
傾「…誰だ?」
???「なっ…、酷いでありんす…。わっちとのあの熱い夜を忘れたんかい? 」
傾「は?」
???「まぁ怖い。」
傾「…あぁ思い出した、お前白雪か。」
白雪「思い出しんした?くふふ。」
傾の目の前で雪のような尻尾を揺らし、白雪と呼ばれた妖狐は艶めかしく笑う。
傾「いや熱い夜ってなんだよ。」
白雪「忘れたとは言わせんせん。わっちはあの夜、心の奥底で眠っていた感情が再び芽吹いたのを感じたんでありんす…!」
白雪は恍惚とした表情でそう話す。
白雪「主さんが、心臓、両足、両腕、右耳に、6の槍に貫かれたあの夜のことでありんす。」
白雪は順に傾の身体に触れながら答える。
傾「やめんか、気持ち悪い。」
白雪「つれないでありんすね。」
傾「あとさらっと服を脱がそうとするな変態。なんの用だ。」
白雪「風の噂で主さんが帰ってきんしたときいて、飛んで駆けつけたんでありんす。」
傾「要は野次馬か。何も面白くないぞ。とっとと帰れ。」
ノア「傾、遅いけどだいじょ…」
傾「そんなに時間が経っていたか。 」
ノア「…とりあえずどうしたらいい?」
傾「とりあえずその物騒な物は下ろせ。敵じゃない。味方でもないが、ただの野次馬だ。」
白雪「くふふ、血気盛んな者はわっちは好きでありんす。」
傾「とりあえずこの変態を剥がしてくれればいい。」
ノア「それは分かったけど、一体何がどうなってこうなったの?」
白雪「わっちは御奉仕をしようとしただけでありんす。」
傾「お前はもう喋るな。」
ノア「ぐっ…!さっきから引っ張ってるのにビクともしない…!」
傾「妖だからな。」
白雪「わっちは再び主さんが舞台に立つのを待ってやす。」
傾「残念だったな。俺はもう舞台に立つことは無い。二度とな。お前はいい加減、ヒトの舞台だけを見て、興奮するな。気色悪い。 」
白雪「まぁ。あちきを主役にしてくれるんでありんすか?」
傾「俺がなんでしなきゃならない?勝手にやってろ。」
ノア「このっ…妖とは…どういう…関係…あぁもうダメだ疲れてきた。」
傾「昔の知り合いだ。別にコイツが死んでもどうも思わんが、身の安全を考えるならやめた方がいい。 」
ノア「もうほんと無理。ごめんけど諦めて。」
傾「はぁ…非力な…。」
ノア「いやこれ無理だって!なんかもう地面に突き刺さってるみたいなんだよ!」
白雪「女性にそう言うもんじゃありんせんよ。」
アリィ「…2人とも何してるの?」
ノア「あ、起きちゃった!?ごめん…!」
アリィ「大丈夫だけど…なんか凄いことになってるね…。」
ノア「この妖を…傾から剥がさなきゃ…なんだけど…!びくとも…ふぐぐ…!」
アリィ「じゃあ私やるよ。ノアちょっと移動出来る?」
白雪「今度はこの愛らしい幼子がわっちを運んでくれるんでありんす?くふふ。流石に女子には無理かと思いんすが… 」
白雪がそう言い終える前に、アリィは軽々と白雪を持ち上げる。
白雪「はわ…」
アリィ「大丈夫?アイツに何かされたの?」
傾「被害者は俺だが??」
アリィ「あっそう?ごめん。で、どうすればいいの?」
傾「そこの川にでも沈めとけ。」
アリィ「えぇ…。」
白雪「くふふ。実によいでありんす。主さんの名前を聞いてもよろしゅうござりんすか?」
アリィ「待ってなんて??」
傾「お前は何も答えるな。白雪はその気色悪い顔をやめろ。」
白雪「よいでありんすなぁ…!」
白雪は己の世界にふける。
白雪「決めたでありんす。わっちは主さん達について行くんでありんす。」
傾「やめろ。どっか行け。」
白雪「つれないでありんすね。」
傾「そろそろ本気でしばくぞ。」
アリィ「…はぁ…もう私寝にもどるね。」
そう言い、アリィはそそくさとテントにもどる。
白雪「さっきから主さんは、わっちを殺すのを極度に恐れてるみたいでありんすけど…わっちの仕返しを恐れる必要はありんせんのでは?主さんはわっちらと同じ妖でありんしょう?」
ノア「えっそうなの?」
傾「何がどうなってそんな噂が流れるんだ…すぐ騙されるな。」
白雪「そうなのかい?」
傾「よく考えろ。この見た目で更に自覚のない妖とか属性ありすぎだろ。 」
白雪「属性なんてもんはあればあるほどいいとわっちは思いんすが。」
傾「なんでそう思ったんだ…。」
白雪「だって主さんは1度死んでるじゃありんせんか。生き返るなぞ、本来ありえねぇでありんす。主さんは妖でなければ、なんだと言うのでありんす?」
傾「知らん。」
白雪「ところで…情報を噛みきれず、固まっているこの方は放っておいてもいいのでありんすか?」
傾「そのままでいい。今度姿をだしたら、絶対しばいてやる。」
白雪「まぁ怖い。」
そう言い終えると白雪はどこかへ姿を消す。
傾「…とっくに知り合いなぞ皆死したと思っていたんだがな。」
ノア「1度死んでるって…そんなことある?死にかけてただけじゃないの?」
傾「今となっては知る由もない。それよりもう俺は奴のせいで完全に目が覚めた。少し早いが、見張りを代われ。」
ノア「あ、いいの?じゃあお願いしようかな…。…もし本当に1回死んでるならなんだけど…」
傾「俺は『鴉』に、アビスの近くには寄るなと口煩く言われている。」
ノア「ならいっか…。もし、生き返った理由が分かったら教えてもらっても?」
傾「シイシャン、お前は死したものをアビスの目に晒すつもりか?」
ノア「…まだ分からないかな。同じように出来るかも分からないし、ボクは今自分のエゴだけで動いてるから。」
傾「俺は死したものを生き返らせようと思ったことはない。だが覚えておく。『羊』がお前の目的を容認した。なら『狼牙』も、少しくらいは手を貸してやる。」
ノア「…記憶覗いた時も思ったけど、本当に『羊』のこと大好きだね。」
傾「強いからな。」
ノア「全く手合わせして貰えてないのに?」
傾「仕方があるまい。それが奴の人間性だ。 」
ノア「あれ怒られるかと思ったんだけど…」
傾「俺をすぐ、くだらん事で怒る能無し共と同じと思っているだろう。俺はあれらよりは分別がつく。お前はとっとと寝ろ。」
ノア「はーい。」
アリィ「んん…。」
アリィはゆっくり起き上がり、しばらくの間ぼうっと何も無い空間を眺める。
アリィ「……。」
(厄介なことになっちゃったな。)
アリィ「今は…」
テントから顔を出し、アリィは空の明るさを確かめる。
傾「朝だ。」
アリィ「…あれからずっと交代してなかったの?」
傾「いいや。交代はしっかり行っていた。たまたま今は俺というだけだ。」
アリィ「朝なら起こしたらいいのに。」
傾「朝といっても早い時間だからな。それにやることがあった。」
アリィ「やること?」
傾「昨日の切れた服の手直しだ。」
アリィ「あー…霧に突っ込んじゃったの?」
傾「…まぁそんなところだ。飯は川で釣れた魚を焼いて塩をかけたものだ。」
アリィ「もう出来てるの?」
傾「焼き途中だ。運が良かったな。今なら好きな塩の量にできるぞ。」
アリィ「やったね。 」
傾「昨日の妖のことは覚えているか?」
アリィ「覚えてるけど…彼女がどうかしたの?」
傾「アレには耳を貸すな。奴らは善意を装い己の好奇心、欲望を満たすために動く。擬態型の悪魔と同じと思え。 」
アリィ「…1mmも話が通じないの?」
傾「いいや。通じるからタチが悪い。」
アリィ「んん…?まぁいいやわかった。」
傾「シイシャンも起きろ。」
アリィ「今日はどこまで目標?第三休憩所まで?」
傾「…いや。ここまでだ。」
そう言い、傾は第三休憩所と現在地点の第二休憩所の中間地点を指す。
アリィ「…?ここならすぐ着くと思うけど。」
ノア「おはよう〜…。昨日色々あったから寝不足だよ。」
傾「また会ったら奴のことは怒鳴っていいぞ。」
ノア「いやいいかな…。」
アリィ「あちっ!」
傾「そりゃ火でずっと炙られてるからな。俺も食べるとしよう。」
ノア「…本当に魚って食べても平気なの?」
傾「体調を崩すことはない。まぁ強いて言うなら、噛みにくいぐらいか?」
ノア「不思議。ボクの中の獣人の知識は大昔で止まってるみたいだし、色々勉強させてもらうよ。」
傾「勝手にしろ。…あ、前から気になっていたんだが…」
ノア「うん?」
傾「お前は記憶の魔法を持っていて、消すことが主体ではあるが…忘れた記憶を掘り起こすこともできるのか?」
ノア「忘れた記憶をボクが保管してる場合に限って掘り起こすことは出来るよ。でも本来記憶の持ち主が忘れてしまったら、その記憶は二度と取り戻せない。なにか思い出したい記憶があるの?」
傾「分からん。…忘れたことさえ、忘れたのかもな。 」
ノア「深層意識に眠ってるだけの可能性もあるし、探してみようか?追憶って形になるからそっちにフラッシュバックとか起こる可能性もあるけど…」
傾「フラッシュバックなんざ、今更だ。毎晩起こしている。」
アリィ「定期的に夜、傾が起きてるのって…」
傾「ああ。あるフラッシュバックによる悪夢だ。昔からだ。」
傾はノアに目配せし、話すなと視線で釘を刺す。
ノア「君はなんの記憶を探して…記憶じゃないか。何を探してるの?」
傾「俺がこうなった要因だ。だが、先程シイシャンが挙げた方法は遠慮する。」
ノア「え、いいの?」
傾「見て楽しいものじゃない。それに、そろそろ出発しなければならない。」
そう言われ、アリィとノアはどちらも食べ終わってるのを確認する。
傾「行くぞ。」
足が思うように動かない。
いや、動かないわけじゃない。
ただ、足がすごくもつれる。
重たい体を無理やり持ち上げ、息を切らす。
ふと、ノアの声が聞こえてきた。
ノア「今日なんかペース遅くない?」
傾「足場が悪いからな。後はアレだ。」
そう言い、傾はかなり後ろにいるアリィを指さす。
アリィは木にもたれ掛かり、息を切らしている。
ノア「昨日起こしちゃったし、疲れが溜まってるのかな…アリィ、大丈夫?」
アリィ「…大丈夫。」
傾「……。」
気づけば、アリィの目の前に傾は立っていた。
傾「まだ動くか?」
アリィ「…気付いてたんだ。こんなすぐに休んでいれないよ。目標の場所までは行くから。 」
傾「病人を引きずるつもりはないと言った俺の言葉をよく覚えているようだ。」
ノア「ねぇ傾、これ道であってるー?」
傾「すぐに向かう。」
アリィ「…悔しいったらありゃしないや…」
(傾が第三休憩所に今日中に行かないと決めたのは…私が行けないと思ったからだ。でも、 )
こんなことで立ち往生できない。
無理やりでもせめて第三休憩所には、
行かないといけない。
私よりジークの方が辛いかもしれない。
風邪を引いたから、ペースを落とす?
治るまで休む?
そんなの…
アリィ「…ただの我儘だ。」
傾の耳がピクリと動いたが、アリィの目には見えなかった。
ノア「傾って記憶覗かれるの嫌いなタイプ?」
傾「なんだ突然。」
ノア「いや、ボク分かんない言葉とか出てくると咄嗟に近くのヒトの記憶を覗いてなんの事か調べる癖があって…嫌だったら気をつけなきゃと思って。」
傾「別に覗いても構わんが、覗かないことを推奨する。俺の記憶なんざいいもんじゃない。それよりは杏から覗いた方がどうだ?」
ノア「あー…それね。前に魔力は反発し合うことがあるって言ったでしょ?杏ともそれ、起きるんだよね。覗かれたくないみたいで。杏側がボクの魔法を無効化してるんだ。…多分。」
傾「随分と自信なさげだな。」
ノア「何だか…感覚が違うんだ。他の魔力と反発した時はえーと…魔力、ボールがぶつかり合ってそれぞれの持ち主のとこに転がる感じで見えるんだけど…アリィの魔力と反発するときだけは、確かにボールを投げたはずなのに、最初から投げていなかったような…分かるかな…?」
傾「言いたいことはそれとなく伝わった。」
ノア「とにかくそういう理由なんだ。」
傾「哀れだな。直接言えば良いというのに、わざわざ魔力で防ぐとは。信頼など最初からないのか。」
ノア「ボクのことなんて信じてくれなくてもいいんだ。ボクが彼女を信じるから。」
傾「ただの1度も不安に思わないと?」
ノア「そういう訳じゃないんだけど…前にね、言いたくないなら言わなくていいって気遣われたことがあって、それがすごく楽だったんだ。言うのも思い出すのも辛いことだから。だから、ボクもそうしてるだけ。言わないなら聞かない。それだけ。 」
傾「…それなのにも関わらずお前は…」
傾はハッとし言い切る前に、後方へ顔を向け即座にアリィの元へと走る。
傾「倒れるなら倒れると言え。頭を打ったら面倒だ。それともなんだ?そんなことも言えないくらい反射能力はないと?」
傾は倒れかけたアリィを頭を打つ寸前に受け止め、悪態をつく。
ノア「杏、だいじょ…」
ノアも慌ててアリィと傾の元に走っていく。
傾「なんだ?」
ノア「…ごめん、今日はもうここで休もう。気を失ってる。」
傾「いいや、ここでは休まない。」
ノア「でも今無理やり動くのは…」
傾「ここは足場が悪すぎる。」
ノア「分かった。杏はボクが運ぶよ。」
傾「ああ。」
暗闇からゆっくり瞼を開ける。
アリィ「……。」
傾「目が覚めたか。ノア、俺の荷物袋にある緑色の薬を出しておけ。」
ノア「分かったよ。緑?随分凄い色だね…」
そう言いながらノアは傾の荷物袋を漁る。
アリィ「…今は…どこ…」
ノア「…目標地点だった場所より少し離れたところだよ。」
アリィ「…行こう。もう大丈夫だから…」
傾「お前はふざけているのか?」
アリィ「…ずっと真剣だよ。」
傾「呆れたな、馬鹿げている。足を引っ張っている自覚もないのか?俺が気付いたから良かったものの、お前が頭を打っていれば、町まで戻ることになっていたんだぞ。」
アリィ「そんなに怒るなら…なんで止めなかったの?」
傾「止めても無駄だったろう。それに俺は怒ってなどいない。怒りを覚えているのはお前の方だろう?」
アリィ「なんの話…」
白雪「あら、お嬢さんは起きたんでありんすか? 」
傾「ああ。幻術は?」
白雪「問題ありんせん。相手からは何も見えんせん。わっちが要求した対価は、覚えてやすよね?」
傾「馬鹿にしてるのか。そんな短時間で忘れん。場所を変える。」
傾はアリィとノアを置いて白雪と共にどこかに移動する。
ノア「とりあえず、今は薬を飲んで寝よう。」
アリィ「……ん…ごめん。」
ノア「無事ならそれでいいよ。」
アリィ「でもこれ私達が持ってた薬とは…」
ノア「違うよ。杏達が作れるのはあくまで傷薬だし、病用の薬は持ってない。それは、傾のだよ。」
アリィ「…アイツが、くれたの?」
ノア「うん、俺が持ってても宝の持ち腐れだ、
って。」
アリィ「…そっか。」
ノア「さっきのこと、そこまで気にしなくて大丈夫だよ。無理はして欲しくないけど…ほら、傾はいつもあんなだしさ。」
アリィ「…そうだね。」
アリィはノアに促されるまま、薬を飲みふたたび眠りにつく。
ノア「ふぅ…もう心配したら心配したって言えばいいのに。幻術…か。」
アリィが目覚める少し前のこと。
ノア「ねぇ傾、お願いがあって。」
傾「なんだ?」
ノア「少し…ボクの代わりに杏の看病をしてて欲しくて。」
傾「見張りは?そもそも何をしに行くんだ。 」
ノア「ええと…見張りはごめん。ちょっと出来ない。熱が酷いから水を汲みに行きたくて。」
傾「アヴィニア人はあまり風邪は引かないらしいが、お前は看病が何かを分かっているのだな。」
ノア「これでもそういう立場のヒトだったからね。」
傾「理由は把握した。それ自体に反論はない。しかし、俺に看病と介抱を同時には出来ん。」
白雪「くふふ、こまっているようでありんすね。」
傾「帰れ。」
白雪「即断!?よよよ…」
白雪は嘘泣きをするが、傾には見透かされているのか、ゴミを見るような視線しか返って来ない。
ノア「えーと、白雪さんが水を汲んできてくれるのかな?」
白雪「嫌でありんす。そのように重い物、乙女に持たせるべきじゃありんせん。わっちから提案するはただ1つでありんす。わっちの幻術でありんす。 」
ノア「幻術?ボクの記憶には無いけど…どんなものなのか教えてもらってもいい?」
白雪「無論。噛み砕けば、幻術とは幻を見せる術でありんす。わっちはソレで、ここに居るはずの主さん達を居ないように見せることが出来るでありんす。」
傾「対価はなんだ。」
白雪「そうでありんすねぇ…。主さんに聞きたいことが1つ。主さんに要求したいことが1つ。 」
白雪は傾を指し、そう答える。そして今度はノアの方を見つめる。
傾「条件を飲もう。」
傾は何かを察したのか条件の全貌を聞いてないにも関わらず、即座に条件を飲んだ。
ノア「…有るものを無いように見せる…つまりこっち側が透明になるってこと。…彼の…メスヘルの魔法みたいだ。ってそんなこと言ったら怒られるか。」
ノアは目を閉じれば浮かぶ記憶に想いを馳せる。
記憶の中のメスヘル「だーかーらー!俺の魔法は、透明になる魔法じゃねぇの!」
ノア「ふふ。じゃあなんなのさ。…聞いても答えてはくれなかったけど。全く、本当に意地悪だったな。」